北米の中小企業の荷主、2022年度に向けてサプライチェーンの価格高騰に対し、戦略を見直し。

どうもこんにちは、飯野です。

今日はウォール・ストリート・ジャーナルの記事から、「北米の中小企業の荷主がサプライチェーンの価格高騰に対して新しい戦略を見直し」というテーマでお話していきたいと思います。

2021年12月28日イーノさんの物流ラジオ

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2022年への新戦略

北米のサプライチェーンが乱れている中、中小の荷主が来年に向けて新しい戦略を取り始めています。

ある企業は使っていないトラック・トレーラーに商品を保管したり、また、ある企業は製品や原材料を自国の近く、または自国内(北米)で調達しようとしています。

12月も後半になって季節的な慌ただしさが少しおさまってきている中で、来年も米国の継続的な個人消費は強いとのことです。貨物需要を押し上げ、それが更なるサプライチェーンの逼迫を招き、輸送料金はさらに上昇すると予想されています。

よって、2022年は別の戦術を取らなければならないと記事で報じられています。

新戦略の例

ホーム・デポ社やウォルマート社など大手企業は、船舶のチャーターなどコストがかかる戦術を取ることが出来ますが、中堅・中小企業には活用できる資源が少ないので、各社それぞれの戦略を練っています。

例えば、ペット関連商品を販売するeコマースサイトの企業は商品のほとんどを中国から輸入していましたが、海上輸送費の倍増、航空輸送費の高騰が利益を圧迫したため、宝石や犬のサプリメントなどを米国のサプライヤーから購入するようになったとのことです。

また、メキシコにある金属加工会社と提携し一部の注文を顧客に直接発送することも始めました。

他には物流会社の例で、2万平方フィートの倉庫スペースが手狭になり、使用されていないトラックドックに商品を保管するためのセミトレーラーを探していると報じられています。

輸送に使えるほど状態が良くないもので、修理のための部品が不足しているセミトレーラーを倉庫として使おうとしています。それが出来れば新しい倉庫スペースに「とんでもない値段」を払わずに済むということのようです。

また、カナダに本社を置く会社では、アジアからの40フィートコンテナの輸送コストが2020年初頭から今年の夏にかけておよそ4倍になったとのことです。

顧客向けに値上げを実施すると述べており、他の会社も「値上げは絶対にあり得る。」としています。

この会社は最近、海上コンテナ1個の輸送に追加料金も含めて約3万ドル(340万円)を支払いました。コロナのパンデミック前は約5,000ドル(55万円)であったことと比較すると、恐ろしく高い金額ですよね。

これまでは1年に一回の価格改定でしたが、四半期ごとに行う必要があるとしています。

最後に、アパレルとアクセサリーの卸売業者で、1日に10万個以上の個包装を輸送している企業は、必要に応じて商品を移動できるように「魅力的な荷主になる」ことに注力しています。

魅力的というのは、トラックドライバーを同社の施設に迅速に出入りさせ、トラックを停滞させないことを意味します。トレーラーにあらかじめ荷物を積み込み、待ち時間を最小限に抑え、30分以内にドライバーを道路に戻すことを目指しています。

それほど迅速なサプライチェーンが重要になっています。

2022年、荷主の動きに注目

この記事から、来年北米の国内調達やメキシコからの調達がどれくらい増えるのかがポイントなのかなと思います。もしかしたらメキシコ投資が増えるかもしれません。

資本力のある会社がバルク船を使って卸をしたら、サプライチェーンの乱れは少し落ち着いていくとは思います。バルクチャーターとSOCコンテナが必要となりますが、可能性はゼロではありません。

また、倉庫も足りていないので、メキシコでの倉庫需要も上がっているかもしれません。

北米の荷主がどういう動きをとっていくのかが注目です。今年と同じように経営をしていたら、来年も高い輸送費用を払い続けなければならず、それを避けるため、今年とは別の動きを取っていく荷主が出てくるでしょう。

引き続き北米の動きの情報もチェックしていきたいと思います。