2021年7月物流ニュース
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2021年7月物流ニュース!

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どうもこんにちは飯野です。

今回は2021年7月の物流や海運に関するニュースをまとめて、「物流の今」を紹介していきます。
先月のニュースをご覧になった方も、ご覧になっていない方もわかるように解説していきたいといます。

それでは、いってみましょう。

北米向けコンテナ輸送混乱拡大、内陸鉄道施設パンク寸前


アジア発北米向けコンテナ輸送の混乱が続いています。北米西岸港湾の混乱に加えて内陸部、特に中西部の混乱が悪化しています。

シカゴの内陸輸送の中継施設では、これ以上の貨物の引き受けができなくなる状態です。船会社関係者の話では、内陸向けを止めると今度は北米西岸港湾がパンクするとのことで、内陸部の状況は悪化しています。

米国西部鉄道のユニオン・パシフィック(UP)は19日、西岸港湾発シカゴ向けの貨物の受託を1週間停止しました。
シカゴへのルートはUPとBNSFの米国鉄道2社のため、これら2社とも状況は変わらず長引けば、様々なところに悪影響を及ぼすことが予想されています。

コンテナ運賃、値上がり止まらず


コンテナ運賃高騰に止まる兆しが見えません。

7月16日に上海航運交易所がまとめた上海輸出コンテナ運賃は北米西岸向けが40フィートで5,334ドル、北米東岸向けが9,655ドルとなり 前週に比べて300ドル超の値上がりとなりました。
また北欧州向けは20フィートで7,023ドル、地中海向けは6,893ドルと前週から200ドル前後の上昇。また北欧州向けは初めて7,000ドルの大台を突破しました。

北米向けは、港湾混雑や内陸輸送がパンクし、東岸向けへ輸送が殺到し東岸向け運賃は上昇。欧米諸国向け以外では豪州向けで20フィートが3,000ドルを突破しましたが、それ以外はほぼ横ばいの数字となっています。

商船三井、メタノール生産 最大手メタネックス子会社へ出資


商船三井は16日、メタノール生産 最大手メタネックス(カナダ)の海運子会社ウォーターフロントシッピング(WFS)の株式取得に向けて協議していることを明らかにしました。

船舶用メタノール燃料は、従来燃料に比べて、SOX(硫黄酸化物)排出量を最大99%削減でき、他にもPMやNOX(窒素酸化物)、CO2(二酸化炭素)なども削減できます。
さらに再生可能資源から生産されたメタノールは、二酸化炭素を最大95%削減できることから、メタノール燃料船は追加の設備投資なしで IMOが掲げるCO2削減目標の達成に貢献できます。

今回の合意に当たり、メタネックスのCEOは「今回の新たな戦略的パートナーシップが低環境負荷 舶用燃料としてのメタノール市場拡大に大いに貢献すると確信している」と期待を述べています。

マースク、初のメタノール燃料のコンテナ船を発注


海運最大手マースクは韓国、現代重工グループの現代尾浦造船(Hyundai ミポ造船)とメタノールを燃料とするフィーダーコンテナ船の発注契約を結んだことを発表しました。

メタノールを使用するコンテナ船は世界初で、マースクはこれにより将来的なコンテナ船輸送のための実験の場を提供し、顧客にカーボンニュートラルなサービスを提供するとコメントしています。

マースクが発注したフィーダーコンテナ船は北欧州とバルト海北部を結ぶフィーダーサービスに投入され、メタノールに加え従来の低硫黄燃料を使用できる2元エンジンとなります。

ハパックロイド、ナイルダッチ買収。西アフリカ事業拡大へ


独船社ハパックロイドは8日、コンテナ船社ナイルダッチの買収を完了したと発表しました。

ナイルダッチはアフリカ航路に強みを持っており、コンテナ船、多目的船サービスを提供しています。今後主要事業の統合を進め、西アフリカでの事業拡大を進めていくようです。

キューネアンドナーゲル、生鮮品 物流網強化。ノルウェー企業買収へ


国際物流大手キューネアンドナーゲルはノルウェーの水産物のフォワーディング大手、サーモスペッドを買収すると発表しました。

これにより、生鮮品の物流ネットワークとノルウェー発 航空貨物の輸出事業も強化するとのことです。
サーモスペッドはオスロに本社を置き、サーモンなど水産物の物流を専門として、昨年の売上高は約142億円。貨物取扱量は約6万トン。コロナ禍でもノルウェーの魚類輸出は好調で今後も成長が期待されています。

キューネアンドナーゲルの生鮮品物流の強化は、エクアドル(2018年)、カナダ(2019年)、今回のノルウェーと続いています。

解説コーナー


それでは今回の物流ニュースの解説コーナーにまいりましょう。

今回のニュースでは、大きく分けて昨今の①海上運賃の高騰について②脱炭素燃料としてのメタノール、そして③企業買収について選定をしました。
私個人的にこの3つの内容が現在の物流業界の注目ポイントなのかなと思っています。

海上運賃の高騰についてはここ数ヶ月ずっと上昇をしているので、いつになったら収まるの?と注目している業界関係者は多いと思います。
現状から判断すると年内は難しいでしょう。北米向けのクリスマス商戦の国際輸送は通常8月から始まりますが、コンテナ船のスペース不足の問題もあり、7月に前倒しが発生しています。

また10月1日は中国の国慶節ですので、その前の9月に中国からの出荷は更に集中し、再度 北米の物流に目詰まりが発生する可能性が高いです。ニュースでもお伝えした通り現在は北米西岸だけでなく、内陸の鉄道に目詰まりが発生しています。

一度発生した物流の目詰まりは直ぐに解消するものではありませんので、年内は回復の兆しが見えないと思います。

そして忘れてはいけないのがアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が2022年7月1日に失効します。これによりロサンゼルス、ロングビーチなどの港の機能が低下し、コンテナ滞留につながる可能性が高いです。

荷主もそれを避けるために北米東海岸向けに航路変更をするでしょうから、また北米西岸、東岸ともに海上運賃の高騰、スペース不足が予想されます。

そして船舶燃料としてのメタノールですね。これまではLNG、水素、アンモニアが脱炭素の燃料として注目をされていましたが、メタノールについては 私は全く知りませんでした。

メタノールはCO2だけでなく、SOXやNOX削減にもつながるとのことで、これからの展開が楽しみな燃料だと思っています。そしてこの燃料を世界で初めてコンテナ船に採用したのは、業界最大手のマースクでした。「なるほどなぁ」と物流業界の流れって面白いなと思いました。

最後に企業買収についてですが、大手物流企業による関連企業の買収が最近は多いような気がしています。

国際物流業界では物量を取れるスケールメリットがかなり影響します。大きな会社は買収を繰り返して更に大きくなっていき、自社の得意を更に強化していきます。今回ご紹介したキューネ&ナーゲルが良い例ですね。

物流業界ではコロナによって収益を大きく伸ばした会社と、そうでない会社もあり、物流業界の企業買収の動きは更に活発になるのでは?と個人的に予想をしています。

まとめ


今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。ニュースをまんべんなく紹介するより、ポイントを絞ってお伝えする方がより詳しく業界の流れが分かるのでは?と思って今回はそのようにやってみました。

感想などをコメントから頂けますと、今後の改善につなげられますので非常に助かります!

今回は以上になります!ありがとうございました!


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飯野飯野

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