ASEANのクロスボーダー トラック輸送について解説。タイからミャンマー・ラオス・マレーシア ・カンボジア・ベトナム・シンガポール・中国を陸送するトラック手配について。

地図を見るとわかるのですがタイはASEAN地域の中でとても良い立地にあります。タイには日系企業も多く品質の高い製品が製造される一方で、人件費が高騰し続けています。その為に周辺国に工場を構えて製造する企業も増えてきました。いわゆる「タイ+One」。

2015年にAECが発足しASEAN地域での関税撤廃やタイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアを含めた大メコン経済圏でのインフラ整備なども進み、貨物輸送では陸送が注目を集めています

タイで国際物流に携わって現在7年目。クロスボーダートラックの要望や案件は実際に増えてきていると実感します

今回はこのクロスボーダートラックの輸送手配を現場感覚でお伝えしていきたいと思います。

クロスボーダートラックのリードタイム

クロスボーダートラックの魅力と言えばリードタイムです。流石に航空輸送には敵いませんが、海上輸送に比べると断然に早いのが特徴です

タイからの輸送リードタイム

・クアラルンプール(マレーシア):約4〜5日
・ビエンチャン (ラオス):約2〜3日
・ヤンゴン(ミャンマー):約4〜5日
・プノンペン (カンボジア):約2〜3日
・ホーチミン(ベトナム):約3〜4日
・ハノイ(ベトナム):約3〜4日
・シンガポール :約4〜5日

ネコ先輩ネコ先輩

通関で何があるか分からないから「約◯日」としたけど大体こんな感じかな。

例えば、ヤンゴン向けの海上輸送だとDoor to Doorで約3週間かかっていたのが、約4日ですので圧倒的に早くなっていますね。

カモメ先輩カモメ先輩

タイーヤンゴンは船足が長い(約14日)からな。

ホーチミンやシンガポールでも海上輸送の船足は短いのですがCYに入れたりしてDoor to Doorだと週をまたいでしまいます

クロスボーダートラックのコスト・費用

これは「向け地」と物流業者さんの「売値のさじ加減」にもよるのですが、弊社の感覚だとクアラルンプールだとクロスボーダーと海上輸送でDoor/Doorだとほぼ同じという印象です。

ネコ先輩ネコ先輩

クロスボーダーの方がちょっと高いかなという感じ。

ホーチミン向けなどは海上運賃が安いのでコスト面では海上輸送の方が有利な場合が多いのですが、日系やローカルのトラック会社によっても変わってきます。

日系企業のクロスボーダートラック

筆者もネットから情報をとる時に日系企業の情報をよく見ます。

流石だなと思うのがクロスボーダートラックでASEANだけにとどまらず中国やインドまで支店を置いて陸送しているのが日通さんです。

その他、K-Lineロジッスティクスや三九さんなど、やはり大手の物流業者さんはASEAN地域を網羅しているように見えます。

鴻池さんはクロスボーダートラックでも冷蔵・冷凍の強みを持っており、コールドチェーンを確実に取りに行っているように見えます。

嬉しい混載サービスまで

日通さんや日立物流・佐川さんなどはタイ〜ベトナムで週1便などで混載サービスを提供しています。

コンテナやトラック一杯にならないくらいの貨物の場合は日系のトラック会社がお勧めです

カモメ先輩カモメ先輩

流石、大手の日系の物流会社はスゴイわ。

ローカルのクロスボーダートラック会社

筆者はローカルのフォワーダーとして様々な物流サービスを主に日系企業のお客様にご提供しているのですが、基本的にローカルのトラック会社しか使いません。

ネコ先輩ネコ先輩

ウチが日系使ったら、ほぼ意味ないからね。。

ローカルの業者には価格面でメリットがあるのですが、日通さんのような混載サービスを提供している会社を筆者は知りません。

コンテナかトラックで貨物を運ぶ

ローカルのトラック会社では上述しているような混載サービスはありません(筆者は知りません)。

なので「40‘コンテナ」で運ぶか「4Wheelか6Wheelトラック」でチャーターで運ぶかになります。

カモメ先輩カモメ先輩

感覚的にはトラックのサービスが増えてきた印象。前はコンテナが多かった印象やな。

※しっかりと調査した訳ではありません。あくまで筆者の肌感覚でお話しています。

国境での積み替え

クロスボーダートラックの特徴として、”基本的に” 国が変わると車輌も変えなければいけません。

同一のトラックで輸送できるライセンスを取得している業者もあり、そのトラックを使えば積み替え不要ですが、まだそれは多くなくて殆どが積み替えます。

コンテナを積み替える

国境にはコンテナを持ち上げる設備があり、輸出国のシャーシーから輸入国のシャーシーへコンテナを載せ替えます。

トラックで貨物を積み替える

コンテナの場合、コンテナごと積み替えるので大きな問題は起こりにくいのですが、トラックの場合は国境沿いにある倉庫で作業員が詰め替え作業をします

貨物がパレットに乗っていればフォークリフトを使っての積み込み積み下ろし作業となりますが、バラ積みの場合は現場の作業員の登場です

ネコ先輩ネコ先輩

頼むから貨物を投げないで。。あと盗まないで。。

ここがトラック輸送でのクロスボーダーのリスクです。弊社でもトラックでの陸送を希望されるお客様の場合はこのリスクを説明しております。

カモメ先輩カモメ先輩

ぶっちゃけ、トラックでのバラ積みの場合は断ってるしな。

ライセンスを持っている業者であればトラックでも開けずにそのまま運べるので、弊社でもそういうサプライヤーを増やしてる最中です。

まとめ

昨今の物流ではとにかくリードタイムの短縮を希望されるお客様が多く、クロスボーダートラックでの輸送は大メコン経済圏内において今後も増えていくでしょう。

あとはコストとのバランスです。弊社ではローカルのトラック業者をメインで使っていますがサービス品質は悪くありません。

ローカル業者でも最近ではGPSは当然で、通関対応にも非常になれたローカルのサービスコストと納期のバランスが取れた選択肢として有効です。

とはいえ日系のトラック会社にもサービスの強みもあり、状況に応じて使い分ければ良いと思います。