コンテナ不足の影響について!
2020年、20201年のコンテナ不足の影響について動画で解説
8分35秒の動画解説やで!
以前に投稿した「コンテナ不足の原因」という動画がとても好評でして多くの人にシェアをしてもらい沢山の人に見てもらうことが出来ました。皆様 本当にありがとうございます。
そこで今回はその続編としまして、現在のコンテナ不足によって起こっている「影響」についてお話をしていきたいと思います。
前回の動画「コンテナ不足の原因」を見ていないという方のために、概要欄にリンクを貼っているので、そちらの動画もあわせて見て頂ければと思います。
コンテナ不足の影響
ではコンテナ不足によって現在 どのような事が起こっているのでしょうか?
その影響を大きく分けて2つのポイントからご説明したいと思います。
・海上運賃の高騰について
・本船の遅延について
そしてフォワーダーとしての現場対応についても含め私が知る限りの情報をお伝えしていきたいと思います。
海上運賃の高騰
まずアジアや東南アジアで製造業・商社業・物流業に従事している方なら実感していると思いますが海上運賃がとんでもなく上昇しています。
2020年の10月の時点でアメリカ向けの海上運賃が過去最高に上がっていると前の動画でもお話ししたのですがそれがアジア近海の海上運賃にまで大きく影響してきています。
例えばタイから日本向けの海上運賃はここ数年 比較的低い水準で動きも小さかったのですが、11月から値上がりが始まり、12月には過去の2, 3倍の金額に跳ね上がっています。
特に中国出しの価格が著しく高いです。例えば上海からシンガポールまでの40’の海上運賃は以前であればUSD200/40’ほどだったものが今ではUSD 1,000/40’近くにまでなっています。
また天津からタイは以前はUSD 400/40’ほどでしたが、現在ではUSD2,000/40’を超えています。
コンテナの需要と供給
なぜこのように海上運賃が跳ね上がっているのか?一般的に価格は 需要と供給のバランスで変動します。
現在ではアジア・東南アジアでは特にコンテナが足りておらず、船会社も空コンテナの回漕船をフルに導入してるけれどもコンテナの需要に供給がおいつていません。
では、そのコンテナはいったいどこにあるのか? 実は多くのコンテナは現在 中国から北米・欧州などの長距離航路(ロングホール)の輸送に優先されています。
コロナの影響
ここで少しコロナの話をします。コンテナ不足の原因は前回の動画で主にコロナによる日用品の需要回復、ロックダウンによる人手不足もあると説明しました。それがやはり関係しています。
まず日用品の需要ですが、北米ではクリスマス商戦の需要だけでなく、コロナによる在宅ワークの定着により家で仕事をするための製品や雑貨、またスポーツ用品などの需要も高まりました。
これらの製品の生産国といえば、やはり中国です。
また欧州では、コロナの第3波に備えての生活必需品や消費財の在庫の積み増しと考えられる輸送が9月に中国から多くありました。
この需要の高まりとコンテナ不足が原因で9月から10月の上海出し、オランダのロッテルダム港 向けの海上運賃が上昇しています。
コロナによる人員不足
そしてロックダウンによる人手不足ですがイギリス全土とフランス全土で11月から12月まで2回目のロックダウンがありました。
ロックダウン中は外出禁止や港湾の作業員の人数も減りますので、荷役のスピードが格段に落ちます。
イギリスの港湾では今年の夏頃から船の混雑が始まっていましたが、このロックダウンを機に更に荷役が悪化します。コンテナの搬出作業にも時間がかかりターミナルにコンテナが滞留していきます。
これを少しでも解消するために船会社によってはイギリス向けのBookingは停止したり、イギリスの港を抜港したりするほどでした。
このように欧米での日用品の需要の高まりと、コロナによる人手不足の影響が コンテナ不足の原因です。
それに加え、船会社の収益確保がアジア圏のコンテナ不足に拍車をかけています。アジア内での短距離・中距離の輸送より、収益性の高い 中国から北米・欧州などの長距離航路が優先されています。
だから空のコンテナが中国を除くアジア・東南アジアにないのです。
このコンテナが限られている状況では、船会社が空コンテナの回漕を収益性が高い航路に優先するのが市場原理です。
本船の遅延
そしてこれらの影響は船の遅延にも繋がっています。
先ほど説明したようにコロナの影響で港の人材不足が発生しています。
これは再度ロックダウンとなったイギリス、フランスだけでなくアメリカのロサゼルス港、スリランカのコロンボ港はコロナの影響で荷役遅延が発生しています。
港の混雑
他にもアジアのハブとして大量のコンテナが集まるシンガポールでも港の混雑が深刻で、船が4−5日以上 港で沖待ちしている状態で、貨物を積み下ろす事が出来ません。
シンガポール港の混雑はマーケットの動きが影響しています。
先ほどご説明したように、最近ではロングホールの輸送にコンテナが優先されています。そして、そのロングホールの直行便の本船にスペースがなくなってきました。
その代替えとして、シンガポール経由のトランシップ便を使うようになっています。このトランシップの積み替え荷役の増加が、シンガポール港の混雑の原因になっています。
海上輸送では一つの港が混雑しているだけで、その航路を含む船のサービスは遅延してしまいます。現在、アジア圏ではシンガポールだけでなく、上海、釜山、ベトナムと各地で混雑が発生しています。
スケジュール通りに運行する本船が少ない為、荷主様には何卒ご理解を頂きたいです。
フォワーダーの現場対応
そして最後に私たちフォワーダーの現場対応についてご紹介をさせて頂きます。現在、本当にコンテナがありません。
私たちも各船会社と取引がありますがBooking予定のコンテナ本数を事前に伝えて確保してもらったり、日頃の関係から優先してコンテナを回してもらえることもあります。
そして荷主様もとにかく貨物を出荷しないといけないので、現行で使用しているフォワーダーだけでなく、別のフォワーダーにもコンタクトを取りコンテナの確保をより確実なものにしようとしています。
その為 2重でBookingとなることも珍しくはなく、より早いスケジュールや良い価格の条件のBookingを選ばれることになります。
そしてこうなると、船会社もBookingのキャンセル料の徴収を強化しはじめるようになります。
現在は海上運賃が過去最高になるくらいの状況ですがお金を積めば貨物を送れるという状況でもなくなってきました。更に船会社もBookingを停止するという動きも出たりしています。
いつになったらこの問題が解消するのか?残念ながらまだハッキリとした答えは出ていません。
2021年の2月頃に中国でコンテナ製造会社に発注しているコンテナの引き渡しがあったり、コロナのワクチンが流通して、少しでもコンテナ不足解消に向かうかもしれません。
私としては継続して情報収集をして、皆様により分かりやすく情報をお届けしたいと思います。
まとめ
では今回の内容をまとめましょう。
このコンテナ不足によっての影響は大きく分けて2つあります。
過去にないほど海上運賃が高騰しています。これまではアメリカ向け中国出しの運賃が高騰していたのですが日本やタイを含むアジア圏での近海でも運賃が上がって来ました。
そして空コンテナは船会社にとって収益性が高いとされるロングホールと呼ばれる長距離航路が優先されています。その為アジア圏内でのコンテナ不足に拍車がかかっています。
こんな状況ですので2重Bookingとなることもあり船会社もキャンセル料の徴収を強化し始めました。またコロナの影響やマーケットの動きの影響で港の混雑が発生しており、多くの本船が遅れています。
まだハッキリといつ頃に解消されるかという情報はなく実務をしている現場としてはコンテナ不足・値上げ・本船の遅延・Booking停止などで本当に混乱をしています。
出来るだけ早い状況回復を望みながらも私としては分かりやすく新鮮な情報を発信していきたいと思います。
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