2021年6月物流ニュース
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2021年6月物流ニュース!!

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どうもこんにちは飯野です。

本日は2021年6月分の物流ニュースをお届けします。6月に報道された物流や海運に関するニュースをまとめてみました。

物流に興味がある方、物流関係者の方に役立つ情報を厳選しておりますので、物流のニュースをご覧になった方も、ご覧になっていない方でも分かるように解説していきたいといます。

それでは、いってみましょう。

「2021年1月から3月期 コンテナ船社、記録的な好決算」


主要コンテナ船各社は最高益を大幅に更新し、記録的な決算内容が発表されました。

例年1-3月期はコンテナ輸送の閑散期にあたり、赤字計上する船会社もありますが、今期はコロナ禍の反動で各社とも異例の過去最高益を記録しました。運賃の値上がりが影響し、売り上げ、利益ともに倍以上という驚異的な数字となりました。

船社最大手マースクは売上が前年同期比31%増となりました。40フィートの平均運賃は35%上昇する一方で燃油価格は3割弱も下落したため、4半期の利益額は過去最高となっています。

その他船社各社も大幅増益し、仏のCMAーCGAも前年同期の倍増、中国のCOSCOシッピングホールディングスも売上高がほぼ倍増。その他これまで赤字決算だった台湾のエバーグリーンや陽明海運、韓国HMMも黒字転換し、最高益となり活況をみせています。

「北米航路の混雑、港湾から内陸へシフト。シャーシ不足が深刻化」


昨年から北米航路が混雑し、貨物滞留を引き起こしていますが、その混雑している場所が北米西岸から内陸部へと変化しています。

これまで、北米航路は西岸港湾で沖待ちコンテナ船が40隻超えと港湾に混雑が集中していました。現在は港湾から内陸部にシフトしており、急増する貨物への対応が悪化しているとのことです。

内陸部の中継地点であるシカゴの各鉄道ターミナルに貨物が滞留しており、引き取りに時間がかかっています。

米国の鉄道ターミナルでは一般的にシャーシにコンテナを載せた状態で平置きで運営しています。この方法だとトラックはヘッドだけで来てその後はすぐに、ピックアップできるなど利点が多いのです。

しかし、コンテナの急増やシャーシ不足からコンテナを直置き・段積みに変更せざるを得ない状況になっています。その結果コンテナを直置きしたものの、最終的にはシャーシに載せての輸送になります。シャーシオペレーションの手間が増えたこともあり、貨物滞留を引きおこしています。

シャーシ不足は深刻で船会社はコンテナとシャーシの早期返却を荷主に呼びかけています。

「北米東岸、欧州のコンテナ運賃高騰。塩田港の影響か」


中国・上海航運交易所が発表した上海発北米向けのコンテナ運賃は西岸向けが40フィートコンテナ当たり4,658ドル、東岸向けが8,554ドルとなりました。

西岸向けは2週間ぶりに下落しましたが東岸向けは最高値を更新しました。また北欧州・地中海向けは20フィートコンテナあたり6,000ドルを突破するなど、値上がりが続いています。

これは中国の塩田港の混雑が運賃上昇に影響を与えているようです。

中国の塩田港では港湾遅延が深刻化しており、周辺港の蛇口、南沙港にも波及しており、輸出コンテナの搬出制限が行われています。2021年6年10日時点で、本船遅延は15日程度となっています。

塩田港は新型コロナウイルスの感染者が発生し、検疫が強化されターミナルの処理能力は通常の約3割に落ちこんでいるといいます。そのため船社各社は塩田港の抜港や寄港地変更で対応しています。

この混雑が主にスエズ運河経由の欧州向けや北米東岸向けのサービスに影響を及ぼしており、需要が逼迫している中で運賃高騰に拍車がかかりそうだとのことです。

「マースク社、脱炭素化に向け新サービス Co2排出量測定ツールを提供」


マースクは顧客のサプライチェーン全体で排出されるCo2を測定できる、排出量ダッシュボードの提供を開始しました。

これは顧客が自社製品の輸送にどれだけCo2が排出されているかを分析する装置で、1つの輸送モードだけではなく、船舶、トラック、飛行機などの輸送モードごとのドアツードア全体の排出量を測定できます。

既にマースクの顧客10社が試験的に利用し、その結果をマースクにフィードバックしたことで、今回の本格的な提供開始となりました。

「アメリカ小売大手 ホームデポ、コンテナ船をチャーター、自社輸送へ」


コンテナ船輸送が逼迫している中、荷主がついにコンテナ船をチャーターする動きがでてきました。

アメリカ小売り大手のホームデポは、7月自社輸送を開始するこのことです。アメリカ アマゾン社が航空輸送網を整備するなど、荷主も自ら輸送手段の確保の動きがありますが、コンテナ船をチャーターするのは極めて珍しいことです。

アメリカ海運専門誌がまとめた2020年のアメリカコンテナ輸入企業ランキングによると、ウォルマート、ターゲットに次いで3位。消費財関連の需要が高いです。
コロナ禍の巣ごもり需要で小売業の需要は急拡大し、消費需要はこれから繁忙期に突入することもあり、ホームデポでは輸送スペース確保に乗り出したようです。

「クリスマス商戦に影響が?中国の港の滞留で出荷ラッシュに混乱」


続いては、アメリカからのニュースです。

中国の塩田港の滞留により、世界のサプライチェーンがさらに混乱すると言われています。

ロサンゼルス港とロングビーチ港は1日平均30隻のコンテナ船が貨物の搬入を待っています。パンデミックによって引き起こされた世界的サプライチェーンの混乱は、消費者にとっては数週間に及ぶ配達の遅れを意味しています。

年末の輸入のピークシーズンは8月となっていますが、今期は需要が過度に多く、船のスペースや空のコンテナの供給が極端に不足しており、7月初旬に本格化すると予想されています。

それでもなお混乱は続きクリスマスの買い物リストに影響を与えるかもしれないと、デンマークの海洋コンサルティング会社のCEOは予想しています。

「利益率の低下や過剰在庫などのブルウィップ効果発生の危険性」


パンデミックからの急回復をめざす会社にとって危険な、ブルウィップ効果が現れる危険性が指摘されています。

このブルウィップ効果とは、企業が需要の急増に対応するために、必要以上の製品を発注して、需要の継続的な増加に備えたり、在庫切れを回避したりする現象のことです。

その需要の歪みはサプライチェーンの各段階を経るごとに増幅されていき、その結果、消費者の現実的な需要とはかけ離れ、過剰在庫を引き起こし、利益率を下げることになり、せっかくの経済回復の足を引っ張ることなります。

3月の企業在庫の売上高に対する比率は全体で1.23で、1992年から考えると最も低い数字になっています。そのため大量発注をしてブルウィップ効果の犠牲にならないようにと、警鐘を鳴らしています。

まとめ


それでは今回のニュースの解説のコーナーです。

6月では中国の塩田港の混雑が話題になりました。ニュースで解説したようにコロナによる感染対策で港の処理能力が大幅に落ちたことが原因でした。
現在 先進国の各国でワクチン摂取が進んできていますが、まだまだ逼迫した状況で、一つの港でこのように問題が発生するとサプライチェーン全体に影響する状態です。

それは港湾だけでなく、アメリカの内陸はシャーシ不足という問題で物流の目詰まりが発生してきました。更にクリスマス商戦の為のアメリカ輸入が7月初旬に早まるとも予想されています。
今後のワクチン接種の状況やクリスマス需要を考えると、コンテナ不足問題は年末まで解消しない恐れもあります。

それに伴い、ホームデポがコンテナ船をチャーターするという動きをとりました。ここまで海上運賃が上がりスペースが取りにくい状況ですので、超大手荷主ならではの力技です。
Amazonも航空輸送を整備しているとのことで、これからは荷主が自らアセットを持つ時代が来るかもしれません。非常に興味深いニュースでした。

そしてマースクのCO2排出量測定ツールの提供。現在、世界で進められようとしている脱炭素の動きに燃料だけでなく、こういう形で差別化を図ろうとしてくるのは、流石コンテナ業界のNo.1だと思いました。

海上輸送だけでは差別化が非常に難しい業態です。アセットを持つ船会社がこのような動きを取ったのは良い傾向だと思いますし、貨物を運ぶ周辺でこのようなサービス提供が出来ると私自身も非常に勉強になりました。

今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。物流の今が理解できたのではと思います。今回参考にしたニュースのソースは概要欄にリンクを張っておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

現場からは以上です!ありがとうございました。


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飯野飯野

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