ドイツのライン川の水位が低下、サプライチェーンに影響も。長期化の可能性も。

どうもこんにちは、飯野です。

本日はJpb.comの記事から、「ドイツのライン川で水位が下がり、輸送制限、サーチャージが発生」についてお話していきたいと思います。

2022年8月10日イーノさんの物流ラジオ

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ライン川、水位低下

ヨーロッパの重要な水路であるライン川の主要な地点で水位が危機的に低下しているため、ライン川の主要なバージ船のサービス提供者の1社が割増料金と貨物制限を課しています。

ライン川はスイス、ドイツ、オランダの工業地帯を流れ、北海につながっている川です。

低水位サーチャージ発生

どういう状況かというと、ヨーロッパの内陸輸送サービスプロバイダーのコンタルゴは、ドイツのケルンから上流のカウブの水位が、今後数日で50センチ以下に下がると予想されるため、約600ドル/20’と約790ドル/40’の低水位サーチャージを実施しました。

「これだけ水位が低いともはや輸送する義務がない」と、バージ船のオペレーターは今週、顧客に警告しました。

ライン川の制限の影響

Hapag-Lloydの広報担当者は、「ライン川のバージ船は容量の半分しか積載できず、輸送会社の内陸物流サービスに影響を及ぼしている」と語っています。

更に「船舶がウクライナ向けに石炭やその他の商品を大量輸送しているため、ライン川の利用可能な容量はすでに少なくなっている」とも述べています。

また「ヨーロッパの内陸工業地帯はライン川に大きく依存しており、Hapag-Lloydは貨物を上流に運ぶために鉄道や道路を使った代替輸送手段を見つけなければならなかった」と付け加えました。

エネルギー不足とサプライチェーンの問題悪化

この件に関する他の記事は、ロシア・ウクライナ情勢による天然ガスの価格高騰となっているなか、主にライン川で、バージで輸送される石炭の輸送に影響がでて、ヨーロッパでのエネルギー不足、が懸念されるとのことです。

このライン川の低水位は乾季の夏に発生する季節的な問題ですが、今回の貨物輸送の制限は、特に都合の悪い時期に発生したようです。

ヨーロッパ最大の内陸港であるデュイスブルク港の広報担当者は、「船はより少ない貨物しか積載できず、現在のサプライチェーンの問題をさらに悪化させている」としています。

ベルギーのアントワープ港のコンテナターミナルでは、浅瀬でのバージの積載量が限られているため、ライン川を発着するサービスを、20個のコンテナよりも小さなサイズであれば運航することを許可しています。

同港の広報担当者によると、鉄道事業者もサービスの頻度を増やし、より長い列車を使用しているとのことです。

ここでポイントなのが、ヨーロッパの各地の港湾でストが発生することです。

ヨーロッパのスト

他の放送回でもお伝えしましたが、ヨーロッパのインフレ率と賃上げ率がマッチしておらず、港湾労働者が騒いでいます。

水位低下の問題がサプライチェーンの乱れの問題に拍車をかけることになっているようです。

Kuehne + Nagelの広報担当者は、「利用できる船積みスペースは確かに少なくなっている」と述べています。

また、DB Schenkerは「道路および鉄道事業者に追加の容量を予約」しています。

ヨーロッパの大手フォワーダーも影響を受けて対策を取っています。

問題長期化

ドイツ連邦水文学研究所は、気候変動による氷河の縮小と降雪量の減少により、ライン川の水位が低い時期が今後長期化すると予想しています。

これは輸送業者だけでなく、メーカーにとっても大きな問題です。

特に化学品メーカーは大変で、原材料は危険物であり、バージ船から鉄道や道路に簡単に移動できないものや、大量にまとめて輸送しなければならないものがあり、ライン川の容量が制限されると、メーカーの輸送手段は限られています。

このように環境からもヨーロッパのサプライチェーンに影響が出ています。

イギリスのフェリクストゥ港でもストが行われる予定で、このような先行き不透明ななかで、このような環境問題も発生しています。

また引き続き、追加情報をお伝えしていきたいと思います。