フォワーダーの新入社員の仕事とは?国際物流業の新卒がやるべき6つの事。

早いもので今年も4月。日本では新社会人たちが、それぞれの想いを持って入社をしたと思います。タイでは新卒の入社時期は特に決まっていません。好きな時に入ってきます

イーノさんイーノさん

タイは全く季節感がありません

日本独特の4月のフレッシュな雰囲気というのは、外から見ていて「なんか良いな」とこの季節が来るたびに思ってしまいます。

そんな初々しい新入社員の方たちの中で、国際物流の業界で働く人たちもいると思います。

今回はタイでフォワーダーを経営している立場から、日本の国際物流業界で働き始めた若者たちに向けて、もし私が新卒だったらというテーマでお話をしたいと思います。

イーノさんのフォワーダーとしての経歴

簡単な自己紹介ですが、私が初めてフォワーダーの仕事をし始めたのは、30歳の時。自分の事業が失敗した直後で、とにかく早く就職しないとヤバいという状態で、私の英語力を買ってくれる会社がフォワーダーでした。

人材紹介のサービスを使って、外資系のフォワーダーに派遣社員として働き 最初は海上輸入の業務をしていました。

その後、タイで働く機会があり、最初にタイで入社した会社は現在の親会社。タイのローカルのフォワーダーで営業として入社しました。

そこで営業成績が良く、またオーナーと仲良くなったので 自分の会社を立ち上げることになりました。現在、会社は5期目を迎えていて おかげさまで安定した経営が出来ております。

カモメ先輩カモメ先輩

ええ加減なキャリアプランやな。。

イーノさんイーノさん

我ながら行き当たりばったり感がすごい。。

国際物流の登竜門とは?


私が初めてフォワーダーの業務として仕事をした時に実感をしたこと、また現在ではスタッフを抱えて教育をしているので、国際物流の仕事で新人が感じることは共通していると思います。

フォワーダーの新入社員として働く皆さんも同じことを感じると思いますので(多分)、まずそれについて説明をしていきたいと思います。

なんでこんなに書類が多いの?

ネコ先輩ネコ先輩

書類が多すぎる。。

カモメ先輩カモメ先輩

インコタームズも複雑。。Freight Prepaid/Collectも分からん。。

国際物流では取り扱う書類がとにかく多いです。

国際物流の書類 – 例

・Invoice
・Packing List
・B/L(Draft/Original/Surrender/Waybill)
・Letter of Credit
・Shipping Instruction
・Booking Confirmation
・VGM/AFR(書類ではないが提出があるルール)
・原産地証明書
・その他、他法令に関する各種書類
・Arrival Notice
・Delivery Note

ざっと思いつくだけでこれくらいあります。

何で単に物を送るだけなのに、こんなに書類が多いのか?個人の荷物を送る時にはこんなに沢山の書類を要求されませんが、商業貨物だと必要になります。

1件のプロセスが多い

国際物流では貨物が別の国に送られるまでに複数のプロセスがあるからです。この各プロセスでそれぞれの書類が必要となります。

簡単にですがざっとプロセスをご紹介します。

国際輸送のプロセス

・船/飛行機の予約(S.I, Booking Confirmation)
・貨物のピックアップ
・貨物の梱包(必要な場合)
・貨物の重量の申告(VGM)
・貨物の事前申告(AFR/AMS)
・輸出申告(通関,C/O)
・海上・航空輸送(B/L, AWB)
・貨物の到着案内(Arrival Notice)
・輸入申告(輸入通関)
・税金の支払い
・貨物を港でピックアップ(D/O)
・配送完了

イーノさんイーノさん

1つの案件でこんな感じの複数のプロセスがあります。。

フォワーダーの会社に入社した人は、まずこの全体像が見えないと何もできないと思います。

ネコ先輩ネコ先輩

全体像を理解するために動画で流れを解説したよ!




イーノさんが新入社員なら

さて前置きが長くなりましたが、本題です。もし私がフォワーダーの営業マンとして新入社員となったら何をするか。

前提条件として中小企業のフォワーダーとします。企業の規模で出来る事や期待されていることが違うと思いますので。

1. 業界に関する基本ルールを超勉強する

まずルールが分からないと、お客さんに提案が出来ません。その前にお客さんの問題も見抜けなかったりします。営業マンだからといって海上・航空のスペースを売れば良いというだけではありません

海上・航空のスペースだけであれば、スペースの確保力と価格競争になります。スペース確保は新人が出来ることではなく、会社組織としての総合力の問題です。

そして価格競争であれば大手が本気を出したら勝てません。

だから国際物流の基本ルールをまず学んで、自分の引き出しを増やすこと。お客さんを訪問した時にお客さんが何で悩んでいて、もしくはより良い提案が出来るような基礎知識を身につけることが本当に重要です。

イーノさんイーノさん

国際物流の基礎知識は動画とテキストでまとめてますので、こちらで無料で学べます。

2. 業務能力を高める

フォワーダーの営業マンといえど、お客さんを訪問するだけではありません。会社によっても違いますが、お客さんの物流の業務はCS担当が全てするところもあれば、営業も業務に加わって対応する場合があります。

外回りの営業であったとしても業務能力が必要な理由は上述した通りです。国際物流では本当に多くのプロセスがあり、1つの小さなミスでも貨物をストップさせて大きな問題につながるからです

基本的に自分でミスをしない。もし他の人がミスをしてもカバー出来る様にするのが超大切です。業務能力が低いとミスが多発して全体に迷惑をかけてしまうので。

イーノさんイーノさん

フォワーダーの仕事の基本だと思います。

ネコ先輩ネコ先輩

全体像を理解して一つ一つ丁寧に仕事をしていくことだね。

カモメ先輩カモメ先輩

最初は早さより正確さが大切や。

3. 全ての仕事を快く引き受ける

国際物流の仕事は本当に色んなものがあります。取り扱う貨物や地域で違った規制が出てきて最初は混乱するかもしれません。

しかし新人であれば基本的に知識はゼロの状態。スポンジの様に色んな知識を経験してくことをお勧めします。色々と実際に体験してみないと分からないことも多いです。

体験・経験値の多さが今後の仕事の活動内容に影響するのは間違いなくって、最初から仕事を選ぶということはしない方がいいでしょう

ネコ先輩ネコ先輩

日系企業の新人なら仕事は選べないと思うけど。。

イーノさんイーノさん

爽やかに仕事を引き受けましょう。

4. 社内・社外で敵を作らない

新入社員で若い時の私は生意気だったので社内(商社)で敵を結構作っていたらしいですが、今振り返るとフォワーダーだったら特に終わっていたと思います。

何度も言いますが国際物流の仕事は沢山のプロセスがあり、関係者が多いのです。多くの人の協力を得て1件の仕事をまっとうすることになるのでチームワークが大切になります

イーノさんイーノさん

特に業務の人たちと良い関係がないと大問題です。

「営業マンは仕事を取ってきてなんぼ」みたいな古い考えがあったりするかもしれませんが、フォワーダーに関しては別です。

フォワーダーの場合では仕事の役割分担が違い、やることが違うだけなのです。他の仕事でも基本はそうですが。

カモメ先輩カモメ先輩

素直でいることが超大切や。

こういうのって若い時は特に気づかないものだと思います。中途半端に成果を出してしまうと「自分の実力」と勘違いしてしまうのですが、それは全て他の人たちのサポートがあるからです

イーノさんイーノさん

若い時の自分に説教をしたい。

5. 英語を身につける

他の業界でも英語は大切だと言われますが、フォワーダーという仕事においては英語能力はデフォルトだと言っても過言ではありません。

日本だけでなく他国の人たちとコミュニケーションを取って貨物を輸送する仕事です。メールはもちろん英語になり、営業マンであれば海外の人に電話をすることもありますし、海外に行くこともあります。

上述したように、フォワーダーの仕事はチームワークが大切です。これは社内だけでなく、国外の協力者(支店・代理店)も人たちも含めて協力して貨物を運ぶ仕事です

ネコ先輩ネコ先輩

コミュニケーションが取れなかったらチームワーク以前の問題。

副業はしない

昨今では大手企業でも副業解禁という風潮がありますが、私が新入社員なら副業はしません。自分が新人だった時に思いっきり副業をやっていましたが、もし新卒に戻れるなら絶対にやりません

副業、更に言えば起業もですが、いつでも出来ます

それよりも自分が所属した組織から学ぶ方が大きな財産だと思うからです。言い方は悪いですが会社を利用すれば良いと思います。

サラリーマンだと滅多なことでは首を切られませんし、失敗しても良いから挑戦をすること

イーノさんイーノさん

その挑戦が良い経験となって、自分のスキル・実力の底上げにつながります。

大切なことなので2回言いますが、副業・起業はいつでも出来ます。しかし新入社員として、組織から色々と教えてもらえる期間は限られています。この期間を自分なりに有効活用することをお勧めします。

まとめ

もし私が新入社員ならというテーマで簡潔に書きましたが、実際はもっと意識してやることはあります。※私の個人ブログの方で書こうと思いました。

ですが、今回はフォワーダーという仕事の特性を理解して、新人時代に特に意識することとして6つのポイントをお伝えしました。やるべきことが多いと結局何も出来なかったというケースは多いですからね。

私もタイでフォワーダーとして活動して8年目になります。新人の皆さんと私は同業者ですが、パートナーになれる可能性もあります。弊社では日本に支店はなく、代理店とお取り引きをするというスタイルをとっていますので。

これも何かのご縁だと思います。皆さんの成長に私の経験が何かのお役に立てばとても嬉しいと思います。頑張ってください!