タイでフォワーダーとして起業してみた話。物流会社の日本人社長がすべき事とは?

どうもこんにちは、飯野です。

これまでのフォワーダー大学のブログ記事はノウハウ系が多かったのですが、最近は物流の知識やノウハウに関してはYouTubeで解説をしています。

ブログの一般的な投稿が止まっていたのもそれが原因で、一般投稿をどうしようかと考えていたのですが、ノウハウではなく私が思ったことをツラツラと書いてみることにしました。

イーノさんイーノさん

なので、今回からテイストが少し異なりますがご了承下さい。

今回のテーマは私がタイで国際物流会社を経営し始めた時に意識をした営業、マーケティング、経営について書いていこうと思います。

タイでフォワーダーを始めた簡単な経緯

私がタイに来たのが2014年の2月。タイに来た当初は現在の親会社にあたるHarpers Sea Freightというタイのローカルのフォワーダーに日本人営業マンとして入社しました。

そこで3年弱の営業を経験してから、現在の自分の会社であるHPS Tradeを設立したのが2016年の8月です。

現在は会社設立をして5期目。起業当初は組織として色々問題もあったんですが(今ももちろんあります)、おかげさまで経営は安定してきました。

では起業してから、これまでの4年はどのような感じだったかをお話ししていきたいと思います。

タイでの物流担当者は誰?

タイに日系の製造業や商社業は泰日商工会議所に登録されているだけで約4,000社あります。しかし、ほとんどの会社で物流のオペレーションはタイ人スタッフさんが担当することになります

日本人が物流を担当するのは本当に大手の企業ですね。もちろん1つ1つの細かい案件を見ておらず全体の監督をする感じです。物流は安全に納期通りに運べることが出来ればコストとして見られます

そこにコストが高い日本人の担当責任者を置くというのは確かに非合理なので、タイ人スタッフさんが物流を見るのは至って普通かなと思います。

日本人による物流の営業とは?

お客のタイ人スタッフさんが物流を対応している現場で、タイにいる日本人の物流営業マンはどのように活動をするのでしょうか?タイ人スタッフさんに日本人が直接アプローチをするのは言語の壁もあり困難です

私も当初はタイ人に英語で売り込み提案をしに行ったことが何度かありましたが、やっぱりメリットが響きにくいんです。タイ人のお客さんにとっても第二外国語の英語で話されるより、タイ語で説明してもらった方が楽ですから。

同じ原理で、日本人の物流営業マンは主にお客の日本人に連絡をして自社の物流を売り込みます

お客の日本人も物流を把握していない

物流はタイ人のスタッフさんが見ていることが殆どとご説明しました。なのでお客の日本人の担当者さんは工場全体を見ていたり、営業専門だったりします。

その日本人に物流の提案をしなければいけません。

これって日本で日本人に向けて物流の営業をするよりハードルが少しあがるんですよね。それは日本人のお客さんは現在使っている物流のことをよく知らないケースが多いから。

イーノさんイーノさん

よく言われるのは「タイ人に任せているから」。。。

そこに何とかアポをとって、提案しに行って 見られる所はほぼ100%価格のみです。なので価格競争力がないと新規獲得が難しくなります

日本で関係がある会社

タイにある日系のフォワーダーでは、日本で既に取引があるということでタイでも同じ会社と取引をするケースがあります。

しかし、弊社のような日本に本社もないフォワーダーはそのコネクションを使えません。当時は電話営業でアポを取り、とにかく製造業の日本人のお客さんに会いに行きました。

お客さんにもよりますが、一応 日本人同士なので飛び込みの電話アポ依頼をしても快諾してくれるところは多かったです。とはいえ起業当初は泥臭い営業が必要だと思います

徹底したコスト管理

営業訪問して会社説明をしてから、次に見られるのは先程ご説明した価格です。物流価格にメリットがないとトライアルすらしてもらえません

だから弊社のようなフォワーダーは自社のコストを徹底して下げています。安い売値でも利益が取れるように、会社全体でコスト管理を徹底する

例えば、日本語が話せるタイ人の通訳を雇っている製造業もありますが、弊社ではそんな無駄な人件費は使えません。また英語が話せる人材もコストは上がりますので、私がタイ語を覚えた方が全体のコストが下がります

イーノさんイーノさん

駐在員のような家賃補助的なボーナスもちろん私にはありません。

こんな感じで、タイで起業してからは他社の日系フォワーダーに比べると泥臭い営業や経営努力をしている印象があります。

仕入れコストを下げる

フォワーダーの仕入れとは海上運賃・航空運賃だけでなく、通関費用、トラック費用、倉庫費用などがあります。海上運賃と航空運賃を見られることが多いので、ここの値段を安くしなければいけません

これは「卵が先か鶏が先か」理論に近いかもしれませんが、安く仕入れないと他社に勝てません。しかし安く仕入れるためには大量にBookingをする必要があるのです。

なので最初は上述したような自社のコストを下げて、1件あたりの利益が低くなっても生き残れるという状態で経営を続け、その積み重ねで大量に仕入れることが出来ることになります。

イーノさんイーノさん

最初が辛いんですけれども、ここを理解した上で営業・経営をすると割と勝ちやすいんじゃないかなと思います。

まとめ

フォワーダーというのは設備を持たない業種なので、比較的簡単に始めることが出来ます。タイでは日本人1人に対してタイ人スタッフを4人雇うルールがあるのですが、多くの中小のフォワーダーが最低人数で経営をしています。

始めるのが簡単なので、競合の数が多い。だから価格競争になりやすいんですね。そんなマーケットで生き残るには徹底した自社のコスト削減が大切なんです。

独立系フォワーダーとして日本人が海外で起業するのは簡単です。でも上手くいくかどうかは別の話で、かなり泥臭いことをしないといけないと思います。