2022年6月物流ニュース!
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どうもこんにちは、飯野です。
今回は2022年6月の物流ニュースをお届けします。海運市況を中心に、北米や欧州の現況を解説していきます。
では行ってみましょう。
北米の物流業界で雇用が減少傾向。内陸の目詰まり続く
アメリカの雇用統計によると、5月にトラック運送会社、倉庫会社、宅配便会社は、合わせて32,900人の雇用を増やしましたが、4月の44,700人を下回る結果となりました。
コロナ渦以降、堅調だったオンライン販売から、消費者が店舗に戻ってきており、オンライン販売の伸びは、歴史的な高水準から後退していると報告されています。
あるデータによると、eコマースの荷物運搬業者を含む宅配便・メッセンジャー会社は、4月は約1万5000人の雇用増でしたが、5月に1,900人だけに留まりました。
しかし、北米の内陸ではまだ物流の目詰まりがあります。
コンテナは港から早く取り出されてはいますが、内陸に移動しただけで、内陸ではまだ混雑が続いているという情報もあります。
まだ内陸の物流が解消していないにも関わらず、トラックや倉庫の人材が増えないことに懸念の声もあります。
北米で海事法改正案が下院で可決、船会社のサービスに制限
米国超党派グループが米議会下院に提出していた海事法改正案が6月13日、賛成多数で可決されました。
今回の改正案の主な項目は、FMC(連邦海事委員会)の監視機能を強化し、船社によるデマレージ・ディテンション課徴に関し、FMCに準拠することを求めています。
北米のコロナ禍の混乱中に、船会社からのデマレージ・ディテンションが不当のものだったのでは、ということです。
この改定案は、船会社が空のコンテナをアジアに早く返したいため、アメリカからのBookingを制限していましたが、それを規制するものです。
これに対し、船会社側の団体WSCではコロナ禍以降、コンテナ船社は2021年に555隻、2022年に208隻を発注し、需要に応えるための投資を行ってきたと強調しています。
米国西岸でアジアからの輸入が急増、5月に予想外の過去最高を記録
アジアから米国西海岸への輸入量は、上海のロックダウンや米国でのインフレ上昇にもかかわらず、5月に月間新記録を達成しました。
北米西岸の混雑を避けるために、東海岸とメキシコ湾岸に向かう船が増えていましたが、東海岸とメキシコ湾岸の港の混雑が大きくなりました。
よって、東岸に回されていた貨物が西海岸に貨物が戻ってきています。
また、4月の貨物が上海のロックダウンのため、他の港を経由して北米に向かったことにより、ずれ込んで5月に輸入となったことも輸入量増加の原因の一つと考えられます。
北米東岸向けコンテナ市況、1年ぶり1万ドル割れ。荷動き増も供給増で軟化か
アジア発北米向けのスポットコンテナ運賃が、6月24日時点で西岸向けが40フィートコンテナ当たり7,384ドル、東岸向けが9,804ドルとなりました。
東岸向けが1万ドルを割り込むのは実に1年ぶりです。
一般的に北米のピークシーズンは10月の中国国慶節前の7-9月です。
しかし、繁忙期にもかかわらず貨物が集まらず、足元では運賃を下げる動きが続出しているとのことです。
一部ではサービスコントラクトを結んだ契約運賃でもブッキングが減少しており、価格に関するSCの修正要請も増加しています。
国際物流が混乱、欧州港湾の混雑が深刻化
国際物流の先行き不透明感が増しています。
労使交渉が続く北米西岸港湾で混雑悪化の懸念が高まるほか、現在、北欧州のハブ港では混雑が深刻化しており、港湾ストライキにも直面しています。
マースクやJIFFA(国際フレイトフォワーダーズ協会)の代表者らによると、「欧州港湾ではコンテナがあふれかえり、往航・復航とも遅れが状態化している」とのことです。
欧州航路のスケジュールの順守率は大きく低下し、航海日数も増えています。
対ロシアの経済制裁により、EU・英国税関当局が貨物検査を厳格化したことに加え、シンガポールなどアジア側のトランシップ港の混雑が影響しているようです。
更に、欧州ではストライキが多発し、インフレなどを背景に労使の緊張感が高まっています。
解説コーナー
では、今回の物流ニュースの解説コーナーです。
先ずは北米の運輸業界での雇用減少のニュースです。
北米でトラック・倉庫業で雇用が減少傾向にあります。
5月の雇用統計ではアメリカ全体では39万人増えたにもかかわらず、運輸業での雇用は減少しています。
消費者がモノからサービスへシフト
これは、北米のコロナ禍以降、需要が衰え、消費者の支出がモノからサービスへとシフトしているためともみられています。
求人情報サイトIndeed.comは、この変化は物流業界の雇用に大きな変化をもたらしてはおらず、「運輸と倉庫業は引き続き好調である」と述べています。
しかし、依然として北米内陸で目詰まりが発生している中での雇用減少が、今後の物流混雑の解消にどう影響していくのかがポイントです。
北米からの空コンテナ返却制限
続いては、北米の海運改定案可決のニュースです。
船会社は、中国から北米へのドル箱航路へ多くのコンテナを出すため、空コンテナをできるだけ早めに北米から中国に戻すようにしてきましたが、これが規制されるようになります。
これまでの様に北米からの空コンテナの早期返却ができなくなると、他の国から空コンテナを中国に集めることとなり、特定の地域でコンテナ不足が発生する可能性があります。
今回の下院での法案可決は昨年とは違う動きのきっかけになると思いますので、今後の北米の動きに注目です。
北米西岸、輸入量大幅増
北米西岸の輸入量が5月に過去最高を記録しました。
アジアから西海岸への輸入は5月に約174万TEUとなり、前年比5.7%増、コロナ前の2019年5月に比べると、25.1%の大幅な上昇となりました。
一方で、5月の東海岸の割合は、4月の35.9%から33.5%に減少し、メキシコ湾岸の割合は6.7%から6.3%に減少しています。
東海岸の処理能力が限界のため、結局貨物が西海岸に戻ってきています。
現在、北米向けは割とスペースが取りやすい状態であり、西側の沖まちも20数隻ほどに減少しています。
東岸から西岸への貨物の戻りのほか、小売業者が早々に在庫の積み増しをしている可能性もあります。
既に東岸が混雑しているため、今後の西岸の目詰まりにも注意が必要です。
コンテナ運賃軟化
コンテナ運賃の軟化傾向が鮮明になってきています。
5月の北米東航コンテナ輸送量は前年同月比8%増の199万TEUとなり、単月実績では過去最高を記録しました。
しかし、荷動きは堅調なものの、サービス拡充に伴う供給量増で需給が緩んでいる模様です。
コロナ禍でコンテナが足りなくなり、コンテナを増やし、他の船会社もドル箱航路であるアジア北米間のサービスを増やしたため、供給は増えている状況です。
消費財の貨物量も落ちつつあるという関係者もおり、潮の変わり目ではとの認識も増えています。
航空貨物需要も軟化
コンテナ輸送の混乱により好調だった航空貨物輸送でも、需給軟化の傾向が強まっています。
すでに日本発着の航空貨物市場は「今年3月が市況のピークで、今は需給軟化が鮮明になっている」と担当者は発言しています。
北米の小売企業が在庫一掃に乗り出したほど、在庫コストは上昇、更には、北米の荷動きを支えていた家具類などの需要減退を指摘する声も上がっています。
よって、今後は通常より仕入れボリュームが減少する可能性が高くあります。
欧州の港で混雑悪化
最後に、国際物流の先行き不透明感のニュースです。
5月下旬には労働者不足により、欧州の港で目詰まりが発生しましたが、現在も欧州の港では混雑が深刻化しており、コンテナの滞留が発生しています。
欧州の陸側では、輸送が中断されたロシア向け貨物の滞留により、倉庫スペースが圧迫、更にウクライナ人ドライバーの帰国でドライバーが不足しています。
また、船社情報によると6月初旬にハンブルクなどのドイツの港湾でストが行われたのに続き、6月20日、ベルギーのアントワープ・ブルージュ港で労働組合が24時間ストに入りました。
ヨーロッパでは、5月のユーロ圏消費者物価指数は過去最高を更新し、前年同月比から8.1%上昇するなど、インフレが加速しています。
欧米でのインフレ、労働者不足、ロシア・ウクライナ情勢の影響、西岸港湾の労使交渉、更に中国はゼロコロナ政策で突然の地区封鎖など、物流への影響は多数あります。
昨年ほどの混雑はなく、今現在、スペースは取りやすいですが、7月以降はどうなるのでしょうか。
また目詰まりが発生する要因は十分にあると思います。
要因が多い中、今後どうなるかはわかりませんが、各々今自分ができることをし、幅広く情報を取っていくことが大切だと思います。
まとめ
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