2022年5月物流ニュース!
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どうもこんにちは、飯野です。
本日は2022年5月の物流ニュースをお届けします。
北米西岸の労使交渉、上海ロックダウン、ゼロエミッション、デジタル化への取り組みを主なトピックとしてお届けします。
北米西岸労使交渉、東海岸のILAが港自動化に徹底抗戦
5月10日に北米西岸港湾の労使交渉がスタートし、東海岸の労働組合(ILA)のダゲット会長は、米国におけるさらなる海上ターミナルの自動化に「徹底抗戦」すると発言しました。
ダゲット氏は、西岸のILWUと団結し、港の自動化へ反対する旨をビデオで声明しています。
その中で、「オートメーションは生産性を向上させない。自動化は生産性を向上させるものではなく、生命と生活を破壊するものであり、私たちはILWUとともに徹底的に戦う」と述べています。
しかし一方で、港の使用者団体であるPMAは、西海岸の2つの自動化ターミナルは、非自動化ターミナルに比べて、既存の設置面積でより多くのコンテナを処理できると報告書を発表しています。
技術が着々と進んでいる中、自動化による失業を懸念している労働者との交渉は、長期化が予想されます。
北米西岸港湾の労働交渉、長期化で混乱を生み出すか?
続いても北米西岸労使交渉のニュースです。
北米の西海岸29港の港湾労働者22,400人の新契約をめぐる交渉は、解決に数ヶ月かかる可能性があり、米国の輸出入業者にとってさらなる懸念材料となると報じられています。
港湾労働者は、賃金の引き上げ、福利厚生の改善、荷役設備の自動化の制限を要求するとみられています。
直近の3回の契約交渉のうち、2002年と2014年の2回で労使間の意見の相違があり、貨物の遅延が発生し、個々のメーカーや小売業者が数百万ドルの収入減を被りました。
また、前回の2014年での交渉はまとまるまでに9ヶ月かかり、最終的にはホワイトハウスが介入。年をまたいでの解決になり、今回も長期化が懸念されています。
6月の上海のロックダウン解除で運賃が高騰?世界一の港稼働でスペース不足再来か
中国・上海市は5月16日に、6月中に企業・住民の活動を正常化すると発表しました。
6月上旬に解除となれば、7月から荷動きが盛り上がり、再び需給逼迫による混乱が起こるのではとの指摘もあります。
すでに上海の企業の生産活動は5割が再開したとの情報もありますが、完全な輸送需要の回復には、ロックダウン解除から最低1カ月は必要と言われています。
北米向けのピークシーズンは一般的には7月−9月なので、そのタイミングで正常化し、上海はフル稼働となるかもしれません。
上海港は世界一のコンテナ取扱港のため、急にフル稼働となったら物流は大きく乱れることが懸念されます。
東海岸で沖まちがコロナ禍以降最高。物流のボトルネックが発生
5月の第二週時点で、北米東海岸で最も忙しいニューヨーク、ニュージャージー港の沖待ち船は、一日平均14隻に達し、コロナ渦以降、最高となりました。
現在、西海岸では依然として港の混雑が続いているためターミナルからの貨物出荷が大幅に遅れているだけでなく、西海岸の港湾労働者との労働契約交渉も迫っており、さらなる混乱が予想されます。
そこで多くの荷受人は、北米西岸の混雑を避けるため、ニューヨーク、ニュージャージー、メキシコ湾岸へ貨物を分散していましたが、その分散した先の港で混雑が発生しています。
今年第一四半期の輸入は、ロサンゼルス、ロングビーチ港では前年同期比2.7%増と減速したのに対し、ニューヨーク、ニュージャージー港では、前年同期比で約12%増加しました。
東海岸への貨物量が大幅に増えており、物流のボトルネックが発生しています。
商船三井、船上で水素を生産、貯蔵・発電。風力エネルギーを最大限に活用
商船三井の、風力と水素で航行する究極のゼロエミッション船の開発・建造を目指す「ウインドハンタープロジェクト」が、新たな段階に入ります。
現在、商船三井は長さ54mの帆(マスト)で風を使って船を進める「ウィンドチャレンジャープロジェクト」に取り組んでいます。
そして今回の「ウインドハンタープロジェクト」はその技術に加え、帆で進んでいる最中に、水中の発電タービンを用いて発電し、水電解により水素を作るプロジェクトです。
商船三井は「ステージ1」として、2021年の11月から、全長約12メートルのヨットで、船上水素生産などの実証実験をしていました。
今年3月末までに12回の試験航行を実施し、海上での風による発電、水素生産・貯蔵、貯蔵した水素を使用した燃料電池による発電、電動プロペラによる推進という一連のサイクルを成功させています。
「ステージ2」では、全長60―70メートル級の水素生産船の建造に向けた、実行可能性調査を本格化し、2024―2025年ごろまでに竣工する計画です。
解説コーナー
それでは今月のニュースの解説コーナーです。
ILA、西岸労使交渉へ徹底抗戦
今回は北米西岸労使交渉について、東海岸の労働組合ILAの自動化への徹底抗戦と、労使交渉の長期化懸念の2つのニュースがありました。
2018年に決まった東海岸のILAの現行の労働協約では、「完全自動化された端末の開発や、完全自動化された機器の使用は、双方がその実施について合意しない限り、行わないものとする」と、契約には書かれています。
ILAは、港湾の近くで、5Gの技術が利用可能になりつつあることを通して、さらなる自動化の可能性に警戒を続けています。
西岸の港自動化へも徹底抗戦の姿勢を見せ、労使交渉への抗戦は今年いっぱい続く見込みです
上海ロックダウン解除で運賃高騰か
また上海のロックダウン解除により、運賃が再度高騰する可能性があります。
上海航運交易所によると現在の運賃レベルは、5月13日付の上海発北米西岸向けコンテナのスポット運賃で、40フィートコンテナ当たり7,900ドルと前週比12ドルの上昇です。
北米東岸向けは1万560ドルとこちらは4週連続の微減で、西岸東岸向けとも4月上旬に比べて小幅な減少にとどまっています。
しかし、上海ロックダウンの解除と北米の輸入ピークシーズンが重なれば、スポット運賃が再高騰し、北米への船が沖待ちになり、スペース不足が発生する可能性が高くなります。
北米東岸で物流ボトルネック発生
そして北米西岸の混雑を避けた貨物が東岸へ向かい、東岸で混雑が発生しています。
港のコンテナヤードには、通常の2倍以上の12万個の空コンが詰まっており、港は空コンを保管するために10エーカー(約4万㎡)の土地を開放し、混雑を緩和する予定です。
ニュージャージー州にあるトラック運送会社によると、コンテナ運搬用のトレーラー400台のうち半分以上が、港への返却を待つ空コンを抱えて立ち往生しているとのことです。
同社は、もし空コンを返却することができれば、おそらく今の2~3倍は仕事ができるはず、としています。
ニューヨーク・ニュージャージー港湾事業部長は、ピークシーズン前までに港は施設をできるだけ効率的に稼働させるよう努力していると述べています。
MOLのゼロエミッションへのアプローチ
ゼロエミッションに関するニュースでは、商船三井は「ウィンドハンタープロジェクト」で作った水素と、水素キャリア・燃料電池を組み合わせ、風が弱い時の推進力を補って船の定時運航を目指しています。
また、船で作った水素を水素キャリアに貯蔵して、その水素を陸上消費向けに供給する活用を検討しています。
風が強い時は帆で進みながら、発電して水素を生産し、風が弱い時は船で作った水素を使って、発電し、プロペラで進む設計となっており、「風力エネルギーを最大限回収するというコンセプト」で作られています。
更には、海上の風の状況を観測・予測する独自のシステムを開発・搭載することも視野に入れています。
このシステムでは、船を効率的に風況の良いエリアに導く自動航行装置の配備し、最適な風を自動でハントすることを目指しています。
エンジンがない時代に使っていた帆を現代に取り入れ、更に現代のAIなどテクノロジーを使い、自動で最適な風をつかみにいきます。
エンジン開発とは違った別の角度からのゼロエミッションへのアプローチで、今後も注目されるプロジェクトです。
まとめ
今回のニュースはいかがだったでしょうか?
遂に北米西岸の労使交渉がスタートしましたが、西岸の混雑が緩和し始めたところ、今度は東海岸側での混雑が発覚しました。
上海のロックダウンも解除され、例年より少し早くなると考えられている北米の輸入ピークシーズンに向け、今後の情報に注目です。
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本日は以上です。どうも、ありがとうございました 。
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