4月物流ニュース
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どうもこんにちは、飯野です。
今回は、4月の物流ニュースをお届けします。
上海のロックダウン、北米の労働協約、最近の海運市況を主なトピックとしてお送りします。
北米港湾労働協約、ILWUとPMAの交渉は5月12日開始
今年の6月30日に西海岸の港湾労働者の労使協約が期限を迎えるにあたり、労働者団体(ILWU)と、港の使用者団体(PMA)が5月12日に交渉開始と発表がありました。
今回の交渉は、市場がまだまだ乱れている状況で行われるため、交渉が難航、サプライチェーンにおいて更なる混乱が生じるのではないかと、荷主は懸念しています。
一部の荷主は、かなりの確率で発生する遅れを回避するために、すでに東海岸やメキシコ湾岸に輸送量をシフトし始めています。
上海ロックダウンが延長!荷主・フォワーダー、代替ルート探し難航
上海市のロックダウンの中、上海港自体の運営は続いていますが、陸上輸送の制限でコンテナの搬出入に支障が出ており、輸入貨物が港で滞留しています。
そのため、荷主やフォワーダーは代替ルートの確保に追われています。
上海市内・市外の移動が難しいため、荷主は上海港に近い太倉港(たいそう)、寧波港、などへのシフトを検討しています。
しかし、太倉港ではコロナが発生し、寧波港は欧米など長距離航路の代替サービスは多いですが、日中航路など近海航路の寄港便は限られています。
長距離の陸上輸送そのものが厳しい状況に変わりはなく、代替ルートの開発には手詰まり感も出てきたと報じられています。
上海ロックダウンが中国で物流の機能不全引き起こす。国際物流へも影響
続いても上海のロックダウンのニュースです。
上海のロックダウンで物流が機能不全に陥っています。
上海日本商工クラブが会員企業約70社を対象に実施したアンケートに、「上海市と市外との物流が停止している」という回答がありました。
物流停止の大きな要因はトラックドライバーの不足、省を越える場合のPCR検査やドライバーの隔離にあるとのことです。
たとえトラックを手配できても、地区の封鎖や作業員不足で「出荷が現実的でない」との声も上がっています。
多くの企業で、貨物の発送も受け取りもできず、サプライチェーンが寸断されているとのことです。
ドライバーだけでなく、荷役作業員も不足しているため、上海の港湾・空港ともに稼働が大きく落ちています。
一部動いていても、遅延などもあり、「この状況が継続すると、中国国内だけでなく国際物流が機能停止し、貿易に甚大な影響を及ぼすことになろう」と危惧している会社もあります。
北米でトラック運賃価格が下落!インフレによる買い控えが影響か
北米でのトラック需要が落ち着きつつあります。
3月の国内輸送需要の指数は前月比0.6%増と、成長に鈍化がありました。同時に、運賃も最近の歴史的な高水準から引き下げられつつあります。
トラック輸送アナリストは「運賃の値上げを期待できる時代は終わったと言っていい」と述べています。
輸送のキャパ不足のため高額な契約を結んだ荷主も、より低い運賃を求めて契約を破棄しつつあるとのことです。
大手のトラック運送会社の輸送は依然として高い需要があるものの、今後ここ2〜3年のような盛り上げはないだろうと報じられています。
2022年の運賃市況の動向。ニューノーマルの運賃水準へ
今年の海上コンテナ輸送における、サービスコントラクトの交渉も、既に終盤戦に入りました。
大手BCO(実荷主)と船社の交渉では、運賃自体が争点にならず、荷主のスペース優先姿勢が顕著で、例年になく、複数年契約を求める荷主が多かったようです。
ロサンゼルス・ロングビーチ港の沖では3月半ばには40隻台まで減少しました。しかし、コンテナを搬出入するドレージのドライバー不足の問題などは依然として続いています。
また、ウクライナ情勢や、コロナ禍の再拡大など、国際サプライチェーンに対するリスクは増しています。
さらに、6月末に期限を迎える北米西岸労使協約の改定交渉も控えており、これらをみると、今後海上運賃が下がる要因は見られません。
現状では運賃高騰に歯止めがかかったのは事実ですが、根本的な問題解決にはまだ至っておらず、高止まりの状況に大きな変化はありません。
解説コーナー
それでは、今回のニュースの解説のコーナーです。
先ずは北米港湾労働協約に関するニュースです。
今回、港の自動化がテーマに上がっているため、交渉は難航しそうです。
これまでも、電子化や機械化で、港湾での雇用が失われてきています。2002年の書類の電子化により、一部の船舶事務員の雇用、また、2008年の荷役機械の自動化により、数千人の一般港湾労働者の雇用を失いました。
労使交渉、難航か
一方、港の使用者側は、自動化により、同じ敷地面積で扱える貨物量が、ほぼ2倍になるとし、毎年記録的な貨物量を扱い続けるためには、西海岸の一部のターミナルは自動化せざるを得ないと指摘しています。
5月12日から交渉が始まるため、5月頭くらいから港湾作業ペースが遅くなり、また沖まちが増える可能性があります。
市場が乱れる可能性が高いので出来る限り備えて頂ければと思います。
上海港、作業効率低下
今回は上海のロックダウンについて2本のニュースをお届けしました。
上海港のコンテナターミナルは稼働しているものの、作業者に感染者が出るなど、作業効率は低下しています。
貨物滞留によるプラグの不足など、ヤード内設備の問題などから、日中航路を運航する船社の一部では上海向けリーファー貨物と危険品のブッキングの一時停止を決めました。
ドライバーには、48時間以内のコロナの陰性証明の提出や、省をまたいでの陸上輸送で、戻隔離期間の必要性などの制約が生じており、上海市外の貨物については事実上、上海港との搬出入ができない状態です。
食料品など必需品の輸送に対しては、行政から「通行証」が発行されますが、この通行証の目的外利用など悪用する動きも出ているとのことです。
上海ロックダウンの各所への影響
上海のロックダウンにより、物流が機能不全に陥っています。
航空便は、日本発、上海向けの航空便のスペースは通常時の約半分に減少し、空港からの貨物搬出も難しく、上屋内の貨物の滞留が深刻化しています。
更に、上海港では、到着した船が出発港に戻るケースがあるほどで、上海近辺の港のキャパシティーも限界との回答もみられました。
このほか、一部では通関も停止し、上海港の現状を「実質閉鎖」とする声もあがっており、物流機能の混乱は全国に広がっています。
工場の操業を停止しているところもあり、中国国内外での生産にも支障が出始め、生産を他地域や中国国外へ振り替える動きがあります。
北米のインフレ
北米ではトラック運賃が下落し始めています。
燃料サーチャージを除く、トラックのスポット運賃は12月以降で37%の低下、過去1ヶ月では27%低下となり、かなりの値下がりを見せています。
北米では現在かなりのインフレです。3月のCPI(消費者物価指数)が前年同月比8.5%上昇しています。
しかし変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前年同月比6.5%上昇、前月比ではCPIは1.2%上昇、コア指数は0.3%上昇でした。
コロナで始まった物流の目詰まりによる運賃が上昇し、北米での需要回復による物価上昇しました。そこから、ウクライナ侵攻により、エネルギー価格の高騰で北米での物価がかなり上がりました。
ガソリン代、電気代、食品代が上がれば、買い控えが増えるのではないかと思います。
今のように生活コストが上昇し、ローンを使って購入する住宅や自動車の買い控えが進んで需要が下がれば、貨物の動きも下がり、物流の目詰まりは解消に向かいます。
運賃水準のニューノーマル
最後に、2022年の海運市況の動向のニュースです。
4月5日付で海事新聞では「コンテナ運賃、欧米向け軟化続く」と伝えていますが、「軟化」と言っても上海発北米東岸向けスポット運賃指標はまだ1万ドル超の水準です。
3月末からの上海でのロックダウンが解除されれば再び出荷が増えるため、需給が逼迫するという見方もあります。
運賃高騰に歯止めがかかったのは事実ですが、根本的な問題解決にはまだ至っておらず、高止まりの状況に大きな変化はないと記事は報じています。
少なくとも2022年通年では、コンテナ運賃の高止まり状況が劇的に変わることはないでしょう。
荷主も現状の運賃水準をニューノーマルとして受け入れ、短期的な運賃の上下動に一喜一憂せず、マーケットを冷静に見通す必要があるだろう、と記事は締めくくっています。
今回のニュースはいかがだったでしょうか。
物流は経済の動きに密接しています。サプライチェーンが乱れている昨今では特に、現状をしっかりと把握し、今後の対応を見極めていくことが必要となっていくと思います。
今回のニュースがためになったという方は、いいね、チャンネル登録、SNSでのシェアを何卒よろしくお願いします。
今回は以上です。どうもありがとうございました。
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