2022年10月物流ニュース!
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どうもこんにちは、飯野です。
今回は2022年10月の物流ニュースをお届けします。
2023年以降の海運市況の動向、北米の鉄道労使交渉や、フォワーダーの山九・西濃シェンカーの新サービスについてお話していきたいと思います。
それでは行ってみましょう!
世界の貨物量、2023年は減速!WTOも予測を下方修正
WTO(世界貿易機関)は先週、2023年の世界の物品の貿易量が前年比1%増に減速するとの予測を発表しました。
世界経済は2022年後半に勢いを失い、2023年も低調に推移するとして、今年の4月の予測の3.4%増から1%大幅に下方修正しました。
先行き不透明感が強いため、下振れリスクが顕在化すればマイナス成長に減少するという見込みもあります。
逆に予想を上回る成長になる可能性もあるということです。
2023年から2024年でコンテナ船の供給船腹量、15%減!
貨物量減少に続き、コンテナ船の供給船腹量の減少ニュースです。
コンテナ船の供給船腹量は2023から2024年にかけて、環境規制や減速航行などによって最大15%程度減少する可能性があるとコンテナ船アナリストによる分析で明らかになりました。
2023年1月からはIMO(国際海事機関)のEEXI(既存船の燃費性能規制)の適用開始に伴い、世界の供給船腹量に対して10%の削減効果が発生。
更に、コロナ禍による混乱でコンテナ運賃市況が高騰した過去2年間、船腹需要が高かったため無理して使っていた老齢船のスクラップによる5%の削減効果が見込まれています。
米国鉄道労使交渉、暫定合意を拒否でスト懸念高まる
米国鉄道会社の労働者で構成される12ある労働組合のうち、信号係員で構成される鉄道信号員組合(BRS)が26日、組合投票で労使交渉の暫定合意案を否決しました。
BMWED(国際トラック運転手労働組合 道路整備員部門)に続いてBRSも暫定合意案を否決したことで、米国ではストライキの懸念が高まりつつあります。
これに対し、組合側と交渉する全米輸送会社 会議委員会(NCCC)は、「交渉による解決を引き延ばしたことに失望している」との声明を発表しています。
山九がマレーシアで物流の人材育成施設を開設
日系フォワーダーの山九は、マレーシア・ジョホール州で海外初となる人材育成センター「SANKYU TECHNICAL ACADEMY」を開設しました。
将来に向けた高度な技術・技能を有する人材の確保育成、自社技術・技能の高度化を通じ、世界で活躍できるグローバルな技術・技能集団の育成を目指しています。
山九の中村社長は「ここで育った東南アジア域内の従業員たちが、世界の現場で活躍し、マレーシアはもとより世界中の人々の幸せを作るお手伝いができれば良いと考えている」とコメントしています。
西濃シェンカー、LCLで差別化!日本-ドイツで名古屋発着の直行便を開始
西濃シェンカーが海上混載サービス(LCL)を強化しています。
今年の8月に独ハンブルク発日本向け自社直行LCLサービスに名古屋向けを追加しました。
年内を目途に名古屋発ハンブルク向けも開始し、国内主要港とドイツを直行便で結ぶ輸出入LCL輸送網を構築します。
加えてグループが展開するハブ拠点を活用し、日本発着LCLの自社便化を推進しています。
さらに、海上輸送と中国―欧州の鉄道輸送を組み合わせるシー&レールにより、新たなドイツ向けLCLサービスを始める計画です。
解説コーナー
それでは、今回のニュースの解説コーナーです。
先ずはWTOが2023年以降の貨物量減少発表のニュースをお届けしました。
主要国の経済成長鈍化
WTOによると、主要国の経済成長がそれぞれの理由で鈍化しており、輸入需要が軟化する見込みです。
欧州ではロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰が家計を圧迫し、製造コストを上昇させています。
米国では金融引き締めにより、住宅や自動車への支出、固定資産投資などが影響を受けています。
FRB、ECB、イングランド銀行も揃ってインフレ対策で金利を上げており、中国ではゼロコロナ政策と生産の混乱に加え、外需の低迷が響いています。
今年8月には商品の納期が短縮し、完成品在庫が増加したことで、WTOは、これを世界的な需要の減少を示唆している可能性があるとしています。
来年度の船社とのSCがどうなるのかが注目ポイントです。
EEXIによる規制と老齢船のスクラップ
次はコンテナ船供給船腹量減少のニュースです。
先にお伝えした通り、貨物需要はコロナ禍による巣ごもり需要の一服や、世界経済の低迷もあり、2023年以降は減速すると想定されています。
更に、EEXIなどによる規制や老齢船のスクラップにより、結果として供給船腹量は減少するとの見方が強くなっています。
EEXIは、IMOの2030年CO2排出削減目標のための短期対策として採択された技術アプローチであり、船に対してのトンマイル当りのCO2排出を数値化して、規制します。
本船のEEXIスコアが規制値に達していない場合は、エンジン出力の制限や省エネ技術の導入などの対策が必要となります。
対策としては、多元燃料エンジンに変える、燃料を変える、排ガス洗浄装置のスクラバーを取り入れるなどがあります。
しかし、古い船にも投資が必要となるのであれば、スクラップにしよう、という流れに向かっています。
需要過多で過去2年は船のスペースが足りず対応できていなかった老齢船のスクラップが増加する見込みです。
ストライキの警戒感高まる
続いては、米国鉄道の労使交渉のニュースをお届けしました。
米国鉄道労使交渉は2020年1月にスタート。なかなか合意に達せず長期化していましたが、米政府が仲裁に乗り出したことで交渉が再開しました。
9月15日までに12の組合と暫定合意し、ストライキ回避の兆しが見えました。
しかし、組合内部の承認作業で2つの組合が暫定合意案を否決し、組合員による不満の強さが明らかになったことにより、ストライキに対する警戒感が一気に高まりつつあります。
日本の技術を世界へ
次にフォワーダーの新しい取り組みについてのニュースを二本お届けしました。
山九は、海外での業務が拡大する中、高度技術・技能への対応や、既存サービスレベルの高度化が急務となっていることを背景に、マレーシアに人材育成センターを整備しました。
山九の海外現地法人社員を対象に、技術の高度化を目的としたメンテナンス研修や、技能の高度化を狙った機械整備研修など34講座を計画しています。
年間延べ約3,000人の研修生受け入れを予定しており、溶接や仕上げ、フォークリフトなどの競技大会も実施予定です。
日本国内での製造は残念ながら落ちてきています。
今回の山九の施設開設は、東南アジアの方を対象に日本の技術を伝え、世界で活躍していってもらおうというものです。
こういった取り組みは、今後の日本のプレゼンスの維持・向上には素晴らしいと思います。
フォワーダーが混載に注力
西濃シェンカーは、東京・名古屋・大阪の3大都市圏―ドイツ間サービス開始により、数少ない直行LCLを提供するフォワーダーとして、その強みを打ち出していく方針を発表しました。
名古屋圏の市場開拓に当たっては、中部地区を本拠とする西濃運輸の協力も得ていくとのことです。
また、独デュッセルドルフの日系顧客担当部署とも連携し、DBシェンカーが欧州に張り巡らせる物流網を組み合わせ、テーラーメードのサービスを提供します。
船会社が陸に上がってきて、フォワーダーのようなサービスを開始している状況下で、大手フォワーダーが混載に力を入れ、ポジションを獲得していこうとしています。
物流業者は、今後集約されていくと思いますので、こういった外資とのタッグは良い方向にいきているように個人的には思います。
今後の動向にも注目です。
今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。
2023年以降、貨物量とコンテナ船の供給船腹量の減少が予想されています。
これにより供給スペースが増えると考えることもできますが、実際は蓋を開けてみないとわかりません。
また、山九や西濃シェンカーなどフォワーダーが新サービスに取り組んでいます。
世界的な景気後退への警告が広がる中、海運市場は冷え込んでいます。マーケットの動向に引き続き注目です。
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今回は以上です。どうもありがとうございました!
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