2023年1月物流ニュース!!
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どうもこんにちは、飯野です。
今回は2023年1月の物流ニュースをお届けします。
今の海運市況がよくわかるニュースをピックアップしてお送りします。それでは行ってみましょう!
2Mアライアンス、2025年に提携解消!業界再編か?
先ずは速報でも報じられた衝撃的なニュースです。
世界最大のコンテナ船社MSCと2位のマースクは1月25日、2Mアライアンスを2025年1月末で契約終了することで両社が合意したと発表しました。
2社は2025年2月移行、それぞれ単独運航に移行していく模様です。
MSCとマースクは明らかに戦略が異なります。
マースクは総合物流のインテグレーターを目指し、物流企業のM&Aを繰り返しています。
一方でMCSはコロナ禍で中古船100隻以上を購入するなど、船隊拡充を推進しています。
このため、ここ最近では「2Mはいずれ提携を解消するのでは」という見方が強くありましたが、今回実際に2025年に提携解消の発表がありました。
コンテナ船社上位2社による強者連合が10年で幕を閉じることが決まったことは、業界再編につながる可能性もありそうです。
コンテナ運賃、ついに底値か!?船社は船腹削減実施
アジア発欧米諸国向けのコンテナ運賃が、これまでの軟化傾向から一段落し、運賃の底打ち感があらわれています。
上海航運交易所(SEE)がまとめた1月20日付の主要航路の運賃動向によると、北米東岸向けは2,783ドル/40’と、前週比では微減にとどまるものの、軟化が続いています。
また、北欧州向けは1,014ドル/20’、地中海向けは1,816ドル/20’と、こちらも昨年末から横ばいが続いています。
主要航路では昨年末以降、需要の後退に合わせて各船社が減便など船腹削減を実施。
また、欧州航路では一部ループの復航便を喜望峰経由にシフトするなどで対応しています。
こうした船腹削減策が寄与し、スポット運賃の下げ止まりが予想されます。
コンテナ船、ドッグ入り不稼働船が増加
コンテナ船の運賃市況軟化に伴い、ドライドック入りなどの不稼働船が増加しています。
海事調査会社アルファライナーによると、2023年1月現在の不稼働コンテナ船は257隻、約142万TEUで、積載能力ベースでは前年同期の2.6倍に拡大しているとのことです。
昨年末以来、大型コンテナ船の竣工が続いており、ドック入り時期の調整などで、不稼働船はさらに拡大するとみられています。
北米デジタルフォワーダー、フレックスポートが従業員の20%をレイオフ!
アメリカの貨物輸送会社のフレックスポート社は、輸送需要の減少に対処し、デジタルに特化したビジネスをより多くのサプライチェーン・サービスを提供するために事業を再構築すると発表しました。
その為に、全世界の従業員の約20%、約600人以上を削減します。
経営陣は「我々のビジネスは全体的に良好な状態にあるが、世界中のビジネスに影響を及ぼしているマクロ経済の悪化から免れることはできない」と伝えています。
とはいえ、フレックスポートは350〜400人ほどのソフトウェアエンジニアを加えるなど、特定の分野での雇用を継続するとのことです。
パワーX、事業拡大に追加27億円を調達
世界初の電気運搬船実現などに取り組むスタートアップ企業、パワーエックスは1月10日、蓄電池工場建設や事業拡大に伴い、総額27億円を追加で調達したと発表しました。
今回調達した資金は蓄電池製品の製造・開発に充て、2025年に予定する1番船の完成など、電気運搬船の実現に向けた準備を加速させるとのことです。
現在、パワーXは今治造船や日本郵船など海事業界の複数社と提携し、大型コンテナ型蓄電池を積載できる電気運搬船「Power Ark」の開発などを進めています。
解説コーナー
それでは今月の解説のコーナーです。
2Mアライアンスの提携解消による業界再編
先ずは、2Mアライアンスの提携解消のニュースをお届けしました。
MSCとマースクが2M結成を発表した2014年当時、コンテナ船業界はリーマンショック後の市況と過当競争で苦しんでいました。
そうした状況下、上位2社による強者連合の存在は、圧倒的なコスト競争力を持って業界再編を主導するものと強く警戒されていました。
実際に2M発足後に、CMA-CGMによるNOL買収や中国国有船社2社の合併、そして韓進海運の経営破綻など業界再編が一気に加速しています。
2017年までには2M、TA、OAによる3大アライアンス体制に集約され、邦船3社のコンテナ船事業が統合してONEの発足にもつながっていきました。
コロナ禍における海運業界の好景気から、これから業界は変わっていくタイミングだと思います。時代に合わせて戦略を考えていく必要があり、そのためにはやはり情報が大事になっていくでしょう。
運賃下落と荷動き低迷
続いては、コンテナ運賃動向のニュースを二つお送りしました。
1月20日付の上海発北米西岸向けコンテナ運賃は、昨年12月下旬から1,300-1,400ドル/40’で推移しています。
足元の運賃下落は底を打った傾向はあるものの、北米航路に加えて欧州向けでも荷動きが低迷しており、集荷に苦慮しているようです。
旧正月前の駆け込み需要が出ていないなど市況軟調は続いています。
運賃は今のところコロナ前より少し高いくらいで、ここが底値とすると、欧米の景気回復で運賃レベルはもう少し上がるかもしれません。
では、いつ頃に景気回復するのでしょうか。年内とも言われていたりもしますが、今後も情報を追っていきます。
メガコンテナ船の不稼働船増加
そしてコンテナ運賃市況の軟化により、不稼働船が増加しています。
昨年同時期には1万2,500TEU型以上のメガコンテナ船の不稼働船は、ドック入り4隻のみでしたが、今年は36隻まで拡大。
また、7,500―1万2,500TEU型でも、不稼働船は13隻から33隻に増加しており、前年同期と比べて、大型船が増加していることが特徴です。
船社は運航面で、欠便や減速運航などによる供給量緩和の取り組みを進めています。
欧州航路では、一部アジア向けの復航で、スエズ運河経由ではなく、南アフリカ・喜望峰経由のルートを選択する船社も出てきています。
意図的に船を動かさずに供給量をコントロールしているようですが、今後、供給量の動向に注目です。
フレックスポートの方向転換
最後に、テクノロジーに関するニュースを二つお届けしました。
一つ目はフレックスポートの方向転換のニュースです。
共同最高経営責任者のデイヴ・クラーク氏は、レイオフが発表される前のインタビューで、国際輸送を中心としてきた事業に、トラック輸送や配送などのサービスを追加する計画を発表しています。
同氏は、「お客様の貨物の輸送を販売するFreight Forwarderから、お客様のサプライチェーン全体の課題に対するソリューションを提供する業者へと移行している」と述べています。
北米の景気後退や船腹供給過多により、これから海運業界が下火になる可能性を考慮し、事業の再構築を目指しているものと思われます。
パワーXの日本技術
2つ目は、電気運搬船などに取り組むスタートアップ企業、パワーXのニュースです。
パワーXは電気を運ぶ船を開発しており、また工場では蓄電池も作っています。
これまでの洋上風力では、沖合で作った電力をどうやって内陸に送るかという、送電ケーブルをどうするかの課題がありましたが、同社は電気を海上輸送するというアイデアを打ち出しました。
日本は、国土は狭いですが、海上では常に強い風が吹いている地域があります。
脱炭素に向けて再生可能エネルギーの調達などが注目されている中、こうした分野において、日本の技術が世界で前を走れるのではないかと個人的に期待をしています。
まとめ
今回のニュースはいかがだったでしょうか。
2023年は始まったばかりですが、市況を動かす大きなニュースが続いています。情報を常にアップデートしていくことが大切です。
今回のニュースがためになったという方は、ぜひチャンネル登録、いいね!、SNSでシェアを何卒よろしくお願いします。
今回は以上です。どうもありがとうございました!
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