2022年3月物流ニュース!
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どうもこんにちは、飯野です。
今回は2022年3月の物流ニュースをお届けします。ロシア・ウクライナ情勢、燃料費高騰、北米西岸港湾の交渉、脱炭素を主にトピックとしてお送りします。
ロシア・ウクライナ情勢により、貨物輸送が陸上から海上、航空へシフト
まだロシアに具体的な経済制裁が課せられていない時点のニュースになります。
フォワーダーは規制や混乱を避けるために、一部のサービスを停止し、サービスを陸上から海上または航空にシフトしています。
シカゴに拠点を置くフォーカイツ社は、紛争により、特にアジアとヨーロッパ間の輸送料金が急騰すると述べています。
同社は、シベリア鉄道の接続が中断されれば、中国から欧州連合への貨物量が海上または航空に移行する可能性があるとしています。
ロシア・ウクライナ情勢により燃料費高騰。荷主、運賃上昇に加え、燃料サーチャージの上昇に直面
続いてもロシア・ウクライナ情勢に関するニュースです。ロシアのウクライナ侵攻後、石油市場が高騰しています。
バンカーサーチャージの大幅上昇により、ただでさえ高い海上運賃に、さらに燃料費用の大幅引き上げの可能性が出てきました。
海上輸送に使用されるBAF(Banker Adjustment Factor)とは、燃料費の変動があったときに調整される割増料金で、FAF、EBSという名前でも使われています。
分析会社のSea-Intelligence は、バンカー燃料価格が年間を通して現在の水準で推移した場合、コンテナ船業界は年間70億ドルの追加コストを負担すると推定しています。
原油高で船やトラックの燃料費高騰。荷主引き上げに備える
荷主はロシア・ウクライナ戦争が続く中、新たな燃料コストと輸送への影響を懸念しています。
燃料サーチャージの高騰は、米国のサプライチェーンにおいて、「配送スピード」から「コスト」へと重点を移す可能性があるとのことです。
特に長距離輸送の場合、荷主はインターモーダル鉄道を利用する傾向が強まるかもしれません。
北米のアナリストによると、今後、「スピーディな配送」と「燃料費高騰」のトレードオフが、輸送会社と荷主の交渉の鍵となるとのことです。
また、鉄道を選択する荷主が、トラックの使用を控えることになれば、港が混雑する可能性もあります。
北米輸入業者がサプライチェーンを再構築。7月に行われる北米の労働協約に備える
今年の7月に北米西岸の労働協約が期限を迎え、再交渉が始まります。その間は西岸港湾でストがある予定です。
ストに備え、一部の荷主は今年の年末年始のホリデーシーズンの注文を前倒しし、西海岸から東海岸、メキシコ湾岸へ貨物を迂回させようとしています。
しかし米国の輸入コンテナの40%近くを扱うLA、LB港の貨物を、他の港で処理することは難しいという声もあります。
今年の交渉はサプライチェーンの混雑により市場が混乱し、何十隻も沖待ちしている中行われるため、港湾労働者組合に有利に進められそうです。
マースク、2023〜2025年に北米で300台のEVトラックを導入。自動運転化進める
海運大手マースクは北米で300台のEVトラックを2023~2025年に導入すると発表しました。
スウェーデンの運行システムのスタートアップ企業、アインライド社と提携し、マースクが導入する車両に、同社のプラットフォームを使用します。
マースクの担当部門のトップは、「今回のEVトラックの導入で、輸送形態に関係なく、全ての分野において脱炭素に取り組む姿勢を示すことができた」と述べています。
北米では完全な電気トラック輸送への移行が目標とされており、先ずは運転が複雑でない高速道路での自動運転化を進めていく方針です。
高速道路での自動運転化ができれば、州をまたぐ長距離部分をマンパワーに頼る必要がなくなるため、人手不足によるサプライチェーンの乱れ回避ができ、将来的な運行形態として期待されています。
上海市ロックダウン。上海港平常通り、海上輸送混乱なし。エアーの貨物便は欠便
中国・上海市が3月28日からロックダウンしていますが、懸念されていた国際輸送への大きな混乱は生じていないようです。
今回のロックダウンは、上海市東部で3月28日―4月1日まで、西部で4月1日から5日まで分けて施行されます。
上海港は稼働していますが、陸側の物流は停滞しています。ドレージ車両を含めたトラックはドライバーの陰性証明などの条件を満たせば通行が可能です。
しかし、市内の通行規制や市外との移動制限などで陸送の遅延の深刻化が懸念されています。
上海港までトラック輸送されていた貨物の輸送需要が、バージや鉄道に流入することも予想されます。
一方でエアーではキャンセルが相次いでいます。
関係者によると、上海浦東空港での航空便の着陸は可能ですが、グランドハンドリング業務の人員が確保できないため、欠航便が発生しているとのことです。
解説コーナー
それでは3月のニュースの解説のコーナーです。
先ずはロシア・ウクライナ情勢に関するニュースです。
フォワーダーはシベリア鉄道が中断された場合のリスクを考慮し、サービスを陸上から海上または航空にシフトしていました。
しかし、戦争が長期化する中で各国からの経済制裁により、人道支援物質を除いてのロシア発着の輸送サービスは事実上停止となっています。
現時点ではシベリア鉄道は稼働中ですが、ロシア国内での貨物の紛失リスクを避けるべく、各国のフォワーダーは鉄道を使った輸送のBookingを停止しています。
石油市場高騰
また、ロシアのウクライナ侵攻後、石油市場が高騰しています。
石油価格報告機関によると、3月14日付の低硫黄重油(VLSFO)の価格は主要ハブ港では平均986ドル/トンとなっており、ロシアのウクライナ侵攻前の2月24日の752ドルに比べ、約230ドル(26%)の値上がりとなりました。
注目点はこの費用を、船社が吸収するのか、荷主に遅れて請求するのか、もしくはすぐに荷主に転嫁するのか、です。
低硫黄重油はスクラバーという排ガス洗浄装置が装着されていない世界の船体の70%を動かしています。
PM2.5を発生するC重油より、質の高い低硫黄燃料を使用する規制がありますが、スクラバーを搭載していれば、船は安価なC重油を使えます。
低硫黄重油の価格高騰により、スクラバーに投資する船会社も出てくるかもしれません。
荷主、コスト重視へ
燃料価格の高騰に伴い、荷主はスピードよりもコスト重視へとシフトしています。
安価なインターモーダルへの移行の傾向も見られますが、インターモーダル鉄道やヤードのキャパ不足や、シャーシ不足もあるため、切り替えは簡単なものではありません。
これまでは物流の混乱により、スピード重視のために平均トラック積載重量は過去1年間で10~20%減少しました。今後はトラックの積載をMaxにして輸送する必要があります。
7月の北米西岸労働交渉
7月の北米西岸の労働交渉へ向けての動きも出てきています。
全米小売業協会が2月、港湾労働者組合(ILWU)と使用者団体である太平洋海事協会(PMA)に対し、早期に協議を開始するよう促しました。
PMAは、直ちに交渉を開始する準備ができているとしましたが、ILWUは5月までは準備が整わないとしています。
ILWUとしては市場が混乱している方が有利に交渉を進められるため、すぐにスタートする理由はなく、港の自動化がテーマにある今回の交渉にはだいぶ時間かかりそうです。
マークスの戦略
次に、海運大手のマースクがEVトラック300台導入を発表しました。
マースクは現在世界第二位のコンテナ船社であり、近年、様々な企業の買収を進め、海運のみでなくトータルロジスティクスを目指し、戦略をシフトしています。
現在北米ではトラックドライバー不足が深刻で、8万人ほど足りていないと言われています。
人手不足の問題解消のため、高速道路の運転自動化を目指していますが、州によって異なる規則や、安全性の面での問題があるため、すぐに実現することは難しいでしょう。
上海ロックダウンの影響
最後に、上海市のロックダウンのニュースです。
港は問題ありませんが、トラック輸送で不具合が生じ、貨物の引き取りが困難になりそうです。上海港は世界最大の港なので影響は大きく、北米、欧州への輸送にどのように影響するのかが注目です。
今回のニュースはいかがだったでしょうか。
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