2022年8月物流ニュース!
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どうもこんにちは、飯野です。
今回は2022年8月の物流ニュースをお届けします。
最新の海運市況、フォワーダーランキング、テクノロジーを中心にお送りしていきます。
では行ってみましょう。
マースク、プロジェクト貨物が得意なFWを買収
デンマーク海運最大手マースクは8月5日、プロジェクト輸送を得意とするデンマークのフォワーダー、マーティン・ベンチャーを買収すると発表しました。
マースクはこれに合わせ、新サービスプロダクト「マースクプロジェクトロジスティクス」の導入も発表しました。
マースクは近年、海上輸送にとどまらない総合物流路線を打ち出しており、特にM&Aによる事業拡大を加速しています。
昨年末にはアジアでのコントラクトロジスティクス(物流一括受託)大手、香港LFロジスティクスを買収。
今年に入り、大型貨物の陸上輸送を得意とする、米パイロットフレートサービスを傘下に収めました。
MSCやONEが主に船関連に投資している一方、マースクはトータルロジスティクスに舵を切っています。
今回の投資により、非コンテナ分野の輸送機能を強化していきます。
シアトル港での管轄で衝突。北米西岸港湾の労使交渉が停滞か!?
今年5月に始まった北米西海岸の労使交渉は、シアトル港の保守・管理をどの組合が担うのかという問題で行き詰まりを見せています。
労働組合側のILWUはシアトル港のターミナルの保守・管理に関する管轄権を主張していますが、港の管理団体PMAは他の組合にあるとして、その要求を拒否しています。
ILWUはPMAに対して、シアトル港のターミナルの保守・管理に組合員を使うことを保証する契約を労使交渉で主張しています。
世界のフォワーダーランキング、キューネが単独首位に!
3PLの市場調査やコンサルティングを手掛ける米アームストロング&アソシエイツ社が、2021年のグローバルフォワーダーのランキング上位25社を公表しました。
今回のランキングでは、前年にDHLと同率1位だったキューネ・アンド・ナーゲルが中国エイペックス・ロジスティクスの買収により単独首位になりました。
市況高騰に加えてM&Aで規模を拡大する例が目立っています。
この業界は規模のビジネスのため、大きくなれば、仕入れも強くなり安く提供できることになります。
よってM&Aを通して大手がより大きくなってきており、業界の勢力図が伺えるようなランキングとなりました。
上海港 2022年7月の取扱量で新記録樹立!ロックダウンから完全回復
上海の7月の輸送取扱数量は、2022年6月から13%増加、取扱量が多かった2021年7月と比べると、17%の増加となりました。
上海を通過する数量は先月430万TEUに急増し、同港の7月の処理能力の新記録を樹立。
世界で最も忙しい港が、今春の2ヶ月間の厳しいロックダウンから完全に回復したことを物語っています。
月次の処理量の分析によると、上海の今年の7月の数量は、2019年12月に中国でコロナ流行が始まる前の月よりも高くなりました。
また、深センの塩田国際コンテナターミナルや世界第4位のコンテナ港である寧波港など、中国の他の港やターミナルでも先月の取扱量が増加しています。
eB/L大手のボレロが買収!船荷証券の電子化が技術と法制度から前進
eB/Lプロバイダーで最も歴史が長いボレロ社が、貿易関連のITソリューション大手の豪ワイズテックグローバルに買収されました。
ボレロ社は1990年代前半に始まったEUの貿易電子化プロジェクトを原点として始まりました。
当時から船の高速化により、近海航路など船足の短い航路で、B/Lより本船が早く到着し、貨物が引き取れないなどのトラブルが問題となっていました。
そこで、eB/Lでこの問題が解決できるという期待が高まりました。
しかしB/Lは貿易書類として、関係者が地域・業種をまたがり多岐にわたることから、当時の技術では電子化による適切な管理が難しいのが現実でした。
それを可能としたのが、ブロックチェーンの技術です。
更に、時を同じくして、法制度の整備もeB/L普及には追い風となりました。
ボレロの原点となったEUのプロジェクトから30年弱。
遅々として進まなかったeB/Lの普及は技術、法制度の両面から大きく前進しようとしています。
解説コーナー
ここからは今月のニュースの解説のコーナーです。
先ずはマースクの事業拡大のニュースをお届けしました。
今回買収したマーティン・ベンチャーはプロジェクト輸送を得意とし、デンマーク・オーフスに本社、世界23カ国に31事務所を置いています。
トータルロジスティクスのマースク
プロジェクト輸送とは、大型貨物、非定型貨物など特殊貨物の輸送のことです。
貨物に伴い、輸送設計や発地から据え付け場所など最終目的地まで一貫した工程管理が必要で、高い専門性が求められます。
マースクはこれまで欧州・北米で一部プロジェクト輸送を手掛けてきましたが、マーティン・ベンチャーをグループに加えることで、提供機能・範囲の拡大を図ります。
トータルロジスティクスへ力を置くマースクの投資やM&Aなど、今後の動きにも注目です。
シアトル港の管轄巡り、労使交渉停滞
続いては北米西岸の労使交渉のニュースです。
シアトル港のターミナルの管轄権を主張するILWUに対し、PMAは2020年の全米労働関係委員会で管轄権はIAM(国際機械工労組)という組合にあると裁定されたとし、ILWUの主張を拒否しています。
ILWUは労使交渉に対し、シアトル港の問題が解決するまで、賃金や港の自動化など、他の重要項目には目を向けないだろうと伝えられています。
2021年フォワーダーランキング
2021年のフォワーダーランキングが発表されました。
ランキングTOP3は
1位:キューネ
2位:DHL
3位:DSV
DSVは2021年にパナルピナとの統合作業を完了し、アジリティーの一般物流部門や南アフリカ企業を買収しています。
結果、前回同率だったDBシェンカーを抜き、3位に入りました。
日本勢のランキング
日本勢は5社がランキング入りし、最高位はNIPPON EXPRESSホールディングス(日通)の7位です。
そのあとに
11位:近鉄エクスプレス
15位:郵船ロジスティクス
20位:日立物流
21位:トール・ホールディングス(日本郵便傘下)
と続いています。
去年は市況が良く、船会社ばかりが注目されがちでしたが、フォワーダーもマーケットの恩恵を受けています。
特にスペースが取れるフォワーダーは大きな利益を得て、M&Aで事業拡大したフォワーダーが躍進した結果となりました。
上海港、本格稼働
上海市のロックダウンが開け、上海港が本格稼働しました。
ロックダウンの影響により、多くの企業が何ヶ月もの間、部分的または完全に製造業務の停止を余儀なくされました。
7月の取扱量の急増は、3月と4月のロックダウンから、この地域で徐々に再開された製造への直接的な反応があったからだと考えられています。
海上運賃は引き続き下落傾向にあるため、去年のような目詰まりは発生しない可能性が高いと思います。
来年以降の運賃がポイントとなっていくでしょう。
コロナ前のような運賃レベルは船会社が倒産するほどのレベルです。
インフラとして機能しないほどの価格の叩き合いだったコロナ前に戻るのではなく、コストを叩くより新しい価値を創造する方向に業界が向かっていければ良いと思います。
物流業界のDX化
最後にテクノロジーのニュースをお届けしました。
最も難しいとされてきたB/Lの電子化が前進しました。
有価証券であり、権利移転の管理が非常に重要であるB/Lの電子化を可能にしたのはブロックチェーンの技術です。
セキュリティーが高く、取引履歴が共有できるため、取引の信頼性が担保できます。
eB/Lに関して言えば、ブロックチェーンだからこそ乗り越えられる課題も多かったのです。
技術の進歩に加え、法制度の必要性も国際経済全体で認識されてきました。
これまでeB/Lを有効とする法制度は一部の国に限られていましたが、2021年のG7サミットではB/Lを含めた貿易電子化が声明に盛り込まれました。
日本でも経済界からの要望などが高まっており、政府でも議論が行われ、法制化に向けた準備を進めています。
最も難しいとされたB/Lの電子化は、国際物流全体のDXにも大きく貢献することが期待されます。
国際物流の業界では書類の管理が本当に多いです。
特にこの有価証券であるB/Lがペーパーレス化することで、この動きが進んでいけば良いと思います。
物流業界のDX化の大きな前進となるテクノロジーに今後も注目していきましょう。
まとめ
今回のニュースはいかがだったでしょうか。
中国の国慶節前の北米ピークシーズンを迎えているので、北米西岸の労使交渉や上海港の稼働など、最新の情報をキャッチしていきましょう。
また、テクノロジーによって進む物流業界のDX化、M&Aによる船会社やフォワーダーの今後の動きにも注目です。
今回のニュースが為になったという方は、是非チャンネル登録、いいね、SNSでシェアを何卒宜しくお願いします。
今回は以上です。どうもありがとうございました!!
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