原産地証明書について!
原産地証明書について動画で解説
4分52秒の動画解説やで!
今回は原産地証明書の基本について解説したいと思います。
原産地証明書とは
まず、原産地証明書とは何かについて簡単に説明をしておきます。
原産地証明書とはその名の通り、取引の対象となっている物品が 特定の国 又は地域で生産されたこと、又は加工をされたことを証明する書類のことです。
牛肉や水産品のトレーサビリティのために発行されたりもしますが、貿易では基本的に関税を低くするために取得されることが多いです。
英語では「Certificate of Origin」と表記され、英文メールでは「Cert」や「CO」と略して呼ばれることがあります。
原産地証明書が必要なケース
さて原産地証明書が必要とされるケースは大きく分けて2つあります。
まずは非特恵の原産地証明書です。
これは契約上指定されていたり、輸入国側で 輸入を禁じている国で作られた物品ではないことを確認するために必要だったりします。
もう一つが特定原産地証明書です。
これは各国とのFTA自由貿易協定やEPA 経済連携協定に基づくもので、この協定を結んでいる国の輸入者は特定原産地証明書を用いることで 特恵関税の適用を受けることができ、一般税率よりも低い関税率で輸入ができるのです。
輸入者は、協定で決められている規則を満たしていることを証明するためにこの原産地証明書が必要となるので、輸出者側が発行して送ってあげる必要があります。
FTA、EPAについて
ここでFTAとEPAという単語を初めて聞いたという方のために簡単にですがご説明したいと思います。
FTAは自由貿易協定で特定の国や地域同士での 物品・サービスの貿易の自由化を定めたものです。
そしてEPAは経済連携協定のことで、特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するために、輸出入に係る関税の撤廃・削減や、投資環境の整備などを約束した条約です。
EPAはFTAの内容も含めつつ、貿易だけではなく 更に人の移動や知的財産、投資など様々な分野での協力を含む 幅広い経済関係の連携強化を目的とする協定です。
そのために特定原産地証明書が必要となります。
原産地証明書の種類
原産地証明書にも様々な種類があります。先ほど述べました特恵関税を使用するための一般的な特定原産地証明書は「フォームA(FORM A)」という書式です。
そしてEPAに基づく特定原産地証明書の書式名は、連携している国同士の頭文字を取って名付けられています。
例えば日本とタイであればJTEPA、日本とベトナムであればVJフォームなどと呼ばれます。これはわかりやすいですよね。
そしてASEANで締結されている自由協定には色んな種類があります。そしてそれぞれの経済協定で使う原産地証明のフォームの名前も違います。
ASEAN諸国との取引をする時はどの貿易協定が使えるのかを事前に確認しておきましょう。
EPAの「原産地規則」
さて、ここで日本とタイとのEPA経済連携協定を使って輸出入をするとします。
これは日本とタイとで結ばれた協定ですので、どちらかの国かで生産されてさえいれば 関税の削減、又は撤廃が認められると考えがちですが実はそうでもないのです。
EPAの「原産地規則」で決められている条件をクリアしなければなりません。
簡単に説明しますと、原産地の基準として3つの条件が定められています。ここではタイで生産されたものとしましょう。
まずWO。これはタイで完全に生産された物であること。これは完全生産品と呼びます。
そしてPE。タイの原産材料のみを使用してタイで生産された物であること。
最後にPS。外国の原材料を実質的な変更をしてタイで生産された物であること。
WOやPEはそれほど複雑ではないのですが、PSの理解が難しいです。これについては別の動画で説明をしたいと思います。
このようにEPAを使って関税を低くしようと考えた場合には これら条件をクリアしているかを
輸出前にしっかりと確認しなければいけません。
原産地証明書の入手方法
その原産地証明書はどこで入手するのかと言うと、各地にある商工会議所で発行してもらえます。
タイの場合はDFT – Department of Foreign Tradeで取得することが出来ます。
原産地証明書は輸入通関の際に原本が必要となります。コピーではまず受け付けてもらえません。
航空機での輸入や、海上輸送でも中国や韓国など船足の短い国の場合には、なるべく早く原本が手元に届くように輸出者側としっかり調整をして下さい。
そうでないと、原本を待つ時間がなく せっかく送ってもらった原産地証明書を使用することなく通常の関税を支払ったり、原本を待っている間に保管料が嵩んで結局関税よりも高くなってしまったりということも起きかねません。
まとめ
今回ご説明したように原産地証明書には細かな条件は色々あるのですが、難解なものでは決してなく協定や基準をしっかり理解して利用すれば 輸出入の双方にメリットがあります。
まずは自分の貿易取引で特恵関税を使えるものであるのかどうか、調べるところから始めてみましょう!
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