3月29日にスエズ運河で座礁していたエバーグリーンの船首が、離礁したという喜ばしいニュースが入って来ました。
私としては26日に動画の台本を作成して、29日の朝に動画をリリースした後くらいにこのニュースが飛び込んで来たので、内心は発信をやめようと迷ったという裏話があります。
どうもこんにちは。飯野です。 今回は 現在世界的に話題になっているスエズ運河の座礁の問題についてお話をしていこうと思います。 YouTubeの動画でも解説をしております。 スエズ運河でコンテナ船が座礁!? 3月23日にエ …
せっかく作ったので日本語・英語でリリースしましたが。
とはいえ、離礁したからといってすぐに輸送再開!となるかというと、そうではありません。動画でも解説をした通り、現在 約300隻以上の船がスエズ運河周辺で待機をしています。
また今朝(3月30日)のニュースで、一部の船会社が南アフリカの喜望峰回りを決定したとの進捗がありました。
なぜ離礁したのに、問題は解決されないのでしょうか?
物流の目詰まりはすぐに解消されない
スエズ運河は通常時で約50隻/日の船が運航する運河です。またEver Givenは離礁したとはいえ、完全に運河の通り道を開けたわけではありません。まだ作業は残っています。
小さい船は通れるかもしれませんが、大きなコンテナ船が通れるようになるかは まだ不明です。
また約300隻以上の船が待機しているのだから、この順番待ちをしなければいけないわけです。
だからマースクやCMA CGMといった船会社は追加で10日くらいかかっても、確実に見えているスケジュールを優先しました。
これはコロナの問題で港に滞留しているコンテナでも同じ事が言えます。
まだ目が離せない問題
座礁したのが23日で、離礁したのが30日。まだ完全に解消をしていない状態で既に7日間が経過しています。
一部の船は追加で10日くらいをかけた喜望峰回りを選択しました。この船会社の場合は既に2週間以上スケジュールが遅れることになります。
スケジュールが遅れるとどうなるのか?
ご存知の通り、現在 コンテナ不足で貨物が出したくても予定通りに出しにくい状態が続いています。このスエズ運河の問題がなかったら、使えたはずのコンテナがまだ海の上にある状態なので使えません。
となると、輸出側でまたコンテナが足りない!という状態になります。
これは船会社からの値上げにもつながります。
そして上述したような目詰まりが輸出地でも発生することになります。輸出したいけれども、輸出が出来ない会社が増えるのです。
その間の在庫は溜まっていき(もちろん生産調整をするでしょうが)、出したい量と出せる量のバランスが取れておらず、ここでも目詰まり・滞留が発生することになります。
値上げのタイミングについて
実際に値上げがあるのかどうかは、まだ分かりません。船会社のヘッドクオーター次第という感じです。
ですが参考までにですが、弊社ではコンテナ不足で値上がりが激しかった昨年の11月以降、船会社の価格改定は2週間に一回ありました。
船会社の営業マンも申し訳なさそうに来てました。
ヘッドクオーターのプライシングチームが決めて、各国の営業マンに値上げの指令がいくのでしょうが、私たちフォワダーにももちろん影響します。
上述したように待機している船で1週間以上、喜望峰を回る船会社にとったら2週間以上のスケジュールの遅れがあるわけです。
この遅れ分のコンテナ不足分の値上げは、どこかで発生するかと私個人的に思っております。
まとめ
3月29日に船が離礁したという喜ばしいニュースがあったのですが、まだ完全に復旧したという状態ではありません。物流での目詰まりが解消されるのは時間がかかるものです。
そして一部の船会社は喜望峰回りを選択しました。これによりこの船会社のスケジュールの遅れは予定より2週間以上となります。
これは輸出側でのコンテナ確保にももちろん影響します。海上運賃の値上げにもつながる可能性は十分にあるので、まだまだこの問題は目が離せません。
貿易特化の転職サービス
もし現在 貿易の勉強をしている、貿易業界でお仕事をされているのであれば、是非 ご自身の市場価値を確認するために貿易特化の転職エージェントHPS Linkのコンサルタントご相談ください。ご登録・ご相談は無料です。