風の商船三井!船上で水素生産、貯蔵・発電、風力エネルギーを最大限に活用

どうもこんにちは、飯野です。

本日は5月9日付の海事新聞の記事から、「風の商船三井、新段階に」についてお話していきたいと思います。

今週初めの記事ですが、ぜひお伝えしたかったコンテンツですので、本日お届けします。

2022年5月13日イーノさんの物流ラジオ

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商船三井のウィンドハンタープロジェクト

風力と水素で航行する究極のゼロエミッション船の開発・建造を目指す、商船三井の「ウインドハンタープロジェクト」が、新たな段階に入ります。

商船三井は「ウィンドチャレンジャープロジェクト」に取り組んでおり、長さ54mの帆(マスト)を使って風を使って船を進めるというものです。

昨日、SEA JAPANでMOLのインタビュー動画をアップしていますので是非ご覧ください。

初ロケ!日本最大の海事展示会 SEA JAPANに行ってきた(前編)

プロジェクトの内容

今回は「ウィンドハンタープロジェクト」というものです。

「ウインドハンタープロジェクト」はこの帆の技術に加えて、帆で進んでいる最中に、水中の発電タービンを用いて発電し、水電解により水素を作ります。

水を「水素と酸素に分離し」、水素が得られる装置を船に搭載するわけです。

その作った水素と、水素キャリア・燃料電池とを組み合わせ、風が弱い時の推進力を補って船の定時運航を目指しています。他には船で作った水素を水素キャリアに貯蔵して、その水素を陸上消費向けに供給する活用を検討しています。

水素キャリアというのは水素を運ぶための液体のことです。水素を液体にするとマイナス253度にしないといけないので、別の液体にして、貯蔵・運搬します。

ウィンドハンタープロジェクト、ステージ1

このウィンドハンタープロジェクトを既に実行していました。

「ステージ1」はすでに終えています。

2021年の11月から、全長約12メートルのヨットで、船上水素生産などの実証実験をしていました。

今年3月末までに12回の試験航行を実施し、海上での風による発電、水素生産・貯蔵、貯蔵した水素を使用した燃料電池による発電、電動プロペラによる推進という一連のサイクルを成功させています。

ウィンドハンタープロジェクト、ステージ2

そして、次にステージ2に移行します。

「ステージ2」では、全長60―70メートル級の水素生産船の建造に向けた、実行可能性調査を本格化します。

ステージ1が12メートルのヨットだったので、かなり大きくなります。

2024―2025年ごろまでに竣工する計画です。

独自のシステム搭載予定

これは、風が強い時は帆で進みながら、発電して水素を生産し、風が弱い時は船で作った水素を使って、発電し、プロペラで進む設計となっています。

「風力エネルギーを最大限回収するというコンセプト」で作られています。

更にすごいのは、海上の風の状況を観測・予測する独自のシステムを開発・搭載することも視野に入れているところです。

船を効率的に風況の良いエリアに導く自動航行装置の配備し、最適な風を自動でハントするということです。

新しい挑戦

エンジン開発とは違った別の角度からのゼロエミッションへのアプローチです。

実際に成功するかどうかは分からず、予定していた通りの温室効果ガス削減にはならないかもしれません。

やってみるまで分かりません。しかし、まさしくチャレンジです。

こういう挑戦的な会社さんに頑張って欲しいと思います。

SEA JAPANでMOLの人がインタビューの後で、帆を使うというアイデアが会議で出た時、結構ざわついたとおっしゃっていました。まさか本当に実現するとは、という感じだったようです。

原点回帰と現代テクノロジー

エンジンがない時代に使っていた帆を現代に取り入れ、実際にそれを形にされたことが本当に素晴らしいと思います。更に現代のAIなどテクノロジーを使い、自動で最適な風をつかみにいきます。

先日、邦船3社の最終決算が発表され、ものすごい利益が出たというニュースがありました。

ゼロエミッションももちろんですが、色んなところで、チャレンジをする風習がもっと広がればいいと思います。