リーファーのフリータイムがゼロに!?中国船社が日本向けFree Timeを変更。

どうもこんにちは飯野です。

今日のテーマは「中国の船会社がコンテナの管理を厳格化、フリータイムを変更」というニュースがあったので、それについてお話をしていきたいと思います。

ご存知の通り、現在は世界的なコンテナ不足でサプライチェーンが混乱しています。その要因もあり中国の船会社が10月1日から日本でのフリータイムの算出方法を変更しました(ドライコンテナ)。

更にリーファーコンテナのフリータイムを廃止しました。

2021年10月4日 イーノさんの物流ラジオ

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従来のフリータイムの算出方法

フリータイム算出には2つのポイントがあります。

1. 起算日
2. 営業日 or カレンダー日

フリータイムの起算日は、船の入港日かターミナルへの搬入日なのか。これらは各船会社によって異なります。

そして今回、中国船社で変更になったのはフリータイムを営業日→カレンダー日(土日含む)にしたことです。

土日が大きく影響する

従来は営業日(月〜金)のみをフリータイムとしてカウントしており、土日はフリータイムを使いませんでした。しかしカレンダー日になることで土日もフリータイムに含めることから、実質フリータイムの短縮となったのです。

土日は税関や通関業者もお休みで通関をすることが出来ません。しかし、フリータイムはカウントされてしまうので、金曜日にフリータイムが切れたら自動的に土日のデマレージが確定することになります。

リーファーのフリータイムを廃止

そして今回の大きな変更ポイントは、リーファーのフリータイムを廃止してしまったことです。通常リーファーコンテナのフリータイムは3日ほどありました。

しかし、今回の変更により コンテナがターミナルに搬入された時からデマレージ(超過保管料金)が発生してしまうことになります。

・SITCのデマレージ:JPY 5,000/20’&40’ (1-4days)
・シノトランスのデマレージ:JPY 5,000/20’&40’ (1-4days)

他法令が関係する通関

リーファーは主に食品を運んでいることが多いです。その為に食品衛生法や検疫などで 通常貨物の通関よりも、多くの通関プロセスが発生します。

それにより、元々フリータイム内に通関を通すことが難しかったのに、フリータイムがゼロとなればデマレージの金額も上がり輸入者の負担は更に大きくなります。

中国船社の日本向けフリータイムの改訂の理由を考察

なぜ中国船社は日本向けのフリータイムを今回 改訂することにしたのでしょうか?

考えられるのは

・コンテナの回転率を上げたい
・日本にコンテナを送りたくない

の2点かと思います。

コンテナの回転率を上げたい

コンテナ不足が発生している現在、船会社はコンテナを出来るだけ早く回収し、次の航海に使用したいと考えます。

フリータイムが長いと港でコンテナが滞留してしまうので、それを早く回収するたにフリータイムを今回のように実質短く、または廃止をしてしまって対応することにしたのでしょう。

日本にコンテナを送りたくない

SITCを例にあげますと、タイにおいてはリーファーのフリータイムが引き続き3日間ありました。今回は日本向けのみ廃止をしたことになります。

日本向けのフリータイムを廃止(リーファー)することで、荷主は別の船会社の使用を検討します。そうなるとSITCなど中国船社はより北米向けなどのロングホールにコンテナを使うことが出来ます。

低価格の日本市場

日本では商習慣的に荷主の力が強く、海上運賃が長期にわたり低水準でした。

船会社が運賃を提示しても大手荷主は大量Bookingを理由に低い価格で取引を決めます。船会社はスペースを在庫することは出来ませんので、空のスペースで運ぶのであれば低価格でも良いから取引を優先してきました。

しかし 現在では、船会社としてはそのような安いマーケットにコンテナを送るより、高い価格で売れる他のマーケットにコンテナを送る方が高い利益が獲得出来るので、日本の優先順位を落としたと考えられます。

まとめ

今回の中国船社のフリータイムの改訂により、荷主は特にリーファーコンテナで日本向けの輸送を、フリータイムを3日提供している ONEやMaersk、CMAなど中国船社以外を使用することになるでしょう。

それに伴い、これらの船会社のスペースが逼迫され 海上運賃の値上がりにつながります。今回のニュースは、実務者として影響の大きいニュースでした。