どうもこんにちは、飯野です。
本日は、Joc.comの記事より、「フレックスポートのCEO交代は、あまり進歩がない」についてお話していきたいと思います。
2022年6月13日イーノさんの物流ラジオ
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フレックスポートCEO交代
アメリカの物流業界で大きなニュースがありました。
フレックスポートの創業者ライアン・ピーターセンは、2023年3月にフレックスポートのCEOを退任し、後任に元アマゾンの物流責任者のデイブ・クラークが就任することを発表しました。
この予期せぬCEOの交代は、フレックスポートが有力な人材を獲得していることを示す一方で、数十億ドルのベンチャーキャピタルの支援にもかかわらず、市場シェアの拡大が予想以上に遅れていることを示すものでもあるようです。
今後の方向性
クラーク氏は、フレックスポートを「世界最高のサプライチェーン企業」にするためには5年必要だと示唆しており、その過程では古巣のアマゾンと対戦することになるだろうとのことです。
ピーターセン氏は、「デイブは、次のステージで勝つために必要なことに秀でている」と述べています。
フレックスポート社の評価
現在のフレックスポートの評価額は80億ドルとされています。
株式非公開のフレックスポートは、2月7日に最新の資金調達ラウンドを発表した際、2021年の自己申告した売上は33億ドル、2022年のトップライン売上は50億ドル近くに達する見込みです。
今回の経営陣交代に関するForbesの報道によると、これまでに調達した23億ドルの資金のうち、少なくとも10億ドルは「銀行に入っている」とも述べています。
また、フレックスポートの従業員数は全世界で3,500人規模で、キューネアンドナーゲルの78,000人を大きく下回っています。
フレックスポート社のシェア
フレックスポートはシェアよりもマーケティングでの存在感があります。
主力輸送レーンである太平洋横断便の東航路では、1−8月で15位のNVOCCであり、世界的な地位を獲得するには至っていません。
この期間の取扱量は前年同期比37.6%増、他社が伸ばしたようにフレックスポートも伸ばしましたが、上位を狙えるポジションではないようです。
他のフォワーダーは、フレックスポートの差別化要因としてソフトウェアを使用する脅威について、最初の方に抱いていた懸念は近年薄れてきています。
様々なフォワーダーが市場でフレックスポートに遭遇することはあまりない、と述べており、競合にはなっていないようです。
伸び悩み
こういう関係者のインタビューから、やはりフレックスポートのシェア拡大が予定より遅れているのかもしれないとわかります。
2013年に設立された同社は、過去10年間で著しく収益を伸ばしてきましたが、立ち止まることのない市場にパラダイムシフトを起こす技術を提供するまでには至っていません。
フレックスポートは、アマゾンの台頭だけでなく、ヨーロッパのフォワーダーなど、他の地域のデジタルネイティブなフォワーダーの競合にも直面しています。
後任のクラーク氏
後任のデイブ・クラーク氏は、23年間にわたりアマゾンのグローバルな物流大国としての地位を築き上げ、またAmazonのマーケットプレイスの出品者のニーズに応えてきた人物です。
最近では、トラック輸送、海上輸送、貿易コンプライアンスなどのサードパーティロジスティクスを手がけ、アマゾンのマーケットプレイスで販売しない荷主にもサービスを提供しています。
テクノロジーのフレックスポート社
ソーシャルメディア上では、フレックスポート社はマーケティングには強いものの、標準的なフォワーダーでしかなく、他のフォワーダーと同様に、自動化では解決できない問題の解決に膨大な人手を割かなければならないと揶揄されてきました。
しかし、コロナ禍での混乱は自動化では解決できないのは仕方ない気がします。
とはいえ、フレックスポートは、この10年で数十億ドル規模の物流業者となり、クラーク氏のような真の物流の大物を誘致できるほど魅力的な企業になりました。
フレックスポートはまた、この間、物流テクノロジー分野の旗手として、既存のフォワーダーだけでなく、他のテクノロジープレーヤーにとっても参考となる存在となってきました。
フレックスポートの出現により、テクノロジーを重視せざるを得なくなったと打ち明ける中堅フォワーダーも少なからずいます。
中小フォワーダーの自動化を支援し、フレックスポートのような大規模で技術力の高いフォワーダーから身を守ることに専念する物流技術プロバイダーの業界全体を活性化させたのです。
テクノロジーだけでは生き残れない
この記事から、スタートアップのデジタルフォワーダーの現実を見た気がしました。
この業界はテクノロジーを入れたらシェアを取れるというものではありません。
先日放送したように、キューネアンドナーゲルも、もちろんテクノロジー開発をしており、日系フォワーダー大手もプラットフォームの開発をしています。
ポイントの一つに、スペースが確保するために船会社との関係があります。
NVOCCは船を持たないので、船会社との交渉力が必要になります。
デイブ・クラーク氏がトップになるということで、サプライチェーン全体を構築できる能力がフォワーダーに求められているように感じます。
物流業界では、YouTuberやTikTokで無名の人が一気にメディア界のトッププレーヤになるようなことは難しいでしょう。
プラットフォームの開発だけではパラダイムシフトは起こりません。
とはいえテクノロジー化が進むのは間違いないので、物流テック事情も今後も発信していきます。
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