どうもこんにちは、飯野です。
本日は、ウォールストリートジャーナルの記事から、「アメリカでバイデン大統領が海運業界に苦言し、議会は海運規制を強化するかもしれない」についてお話していきたいと思います。
2022年6月14日イーノさんの物流ラジオ
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海運規制の見直し
北米で運賃の高騰とサプライチェーンの混乱を受けて、24年ぶりに海運規制を大幅に見直れるかもしれません。
ホワイトハウスと米国の輸出入業者が、歴史的に高い貨物輸送コストがビジネスを妨げ、インフレを加速させていると指摘しています。
そこでアメリカの議会で海運業界に新たに規制を加える法案を取り上げようとしています。
この法案は、船会社が輸出貨物を拒否することを厳しくするものです。
規制の見直しの理由
なぜこういう法案が取り上げられようとしているのか?
過去2年にわたって、船会社が空のコンテナを素早くアジアに戻し、アジアから北米のドル箱航路を利用して利益を得ようとしていたためです。
北米に到着したコンテナに、北米で貨物を積み込んでしまうと、早く中国に戻せません。
輸入者側が港で直ぐにコンテナを動かすとは限らず、中国の荷受人もすぐにコンテナを返さないかもしれません。
空コンテナのまま中国に戻す方が早く、高い利益が取れます。
バイデン政権の主張
しかし、バイデン大統領はこの問題を強調し、議会に対し、海上輸送会社を「取り締まる」よう呼びかけています。
民主党のバイデン氏は、海運コストが上昇した主な理由の一つは、9つの海運業者が太平洋横断市場を支配し「1,000%もの値上げをしたからだ」と述べています。
6月10日(金)にロサンゼルス港で演説したバイデン氏は、外航船会社に「ぼったくりはもう終わりだと知らせる時が来た」としています。
更に「インフレに対抗する重要な方法の一つは、サプライチェーンを通じて商品を移動させるコストを下げることだ」と続けています。
支持率に向けての対策
完全に海運業界が目の敵にされています。
インフレ対策はバイデン大統領の支持率にも大きく影響します。
アメリカの中間選挙が11月に行われる予定で、バイデン大統領の支持率は就任以来下がっているため、インフレ対策として、海運業界をインフレの原因として取り上げています。
船会社の強い姿勢
北米の農産物輸出業者は、海上輸送業者が農産物の輸送を断り、空コンテナをアジアへ急がせたため、昨年は何十億ドルもの収入を逃したと述べています。
輸入業者は、混雑した港の施設がコンテナの取り扱いを拒否した日でも、コンテナの引き取りと返却を怠ると、高額の違約金を請求されたとしています。
船会社は容赦なくデマレージを請求してきていました。
こういった事例に対し、北米の規制当局はドイツのHapag-Lloyd AGと、このような料金を不適切に徴収したとして200万ドル(2億6,000万円)の和解を成立させました。
海運業界はインフレの一因?
バイデン氏は、海上輸送業界における競争の欠如が、インフレが40年ぶりの高水準に達しているサプライチェーンのコスト高を招いていると非難しています。
ここ直近の2年だけを見るとそうですが、コロナ前までは競争が激しく、船会社は生き残りのために統合をしていっていました。
そこを完全に無視しているような状況です。
この議会での法案は、1998年以来最大の外航船規則の大改正となります。
これに対してジョージ・メイソン大学の国際貿易を専門とするクリスティーン・マクダニエル氏は、規制の見直しは、数年前まで苦戦していた海運業界の財務基盤に意図しない結果をもたらす可能性があると指摘しています。
例えば、外航海運会社が輸出を不当に減少させることを防ぐ目的とした条項は、船会社の財務基盤に悪影響を与えるでしょう。
マクダニエル氏は、「政府が船会社に対して、できること、できないこと、あるいはしなければならないこと、してはならないことを指示することは懸念されます」と述べています。
コンテナ不足再来か?
もしこの法案が通ると、船会社の経営に大きく影響してきます。
北米からは空のコンテナを急いでアジアに戻せず、他の地域から空のコンテナを中国や東南アジアに向かわせる可能性があります。
どこかはわかりませんが、コンテナ不足になる地域が出てきます。
また、バイデン大統領は支持率回復の為に、北米西岸の労使交渉にも早々に入ってくる可能性もあります。
アメリカ政府の出方によっては、サプライチェーンの混乱はそこまで乱れないかもしれません。
地域によってはコンテナ不足が顕著に現れる可能性がありますが、アメリカの動きを引き続きアップデートしていきたいと思います。
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