冷凍鶏肉の輸入について!
冷凍鶏肉の輸入について動画で解説
5分52秒の動画解説やで!
今回は タイから冷凍鶏肉の輸入手続について 解説したいと思います。
実はタイは食肉用の鶏(ブロイラー)の飼育量が多く、日本にとって最大の 鶏肉や鶏肉加工品の供給国なんです。
そんなにタイ産の鶏肉を食べている実感はないかもしれませんが、あのマクドナルドのチキンナゲットはタイ産の鶏肉だったりします。
スーパーマーケットの食品売り場で売られている鶏肉の唐揚げも、原産地を見たらタイだったりすることは少なくありません。
意外だったかもしれませんが身近なところにタイ産の鶏肉は沢山あるのです。
食肉及び食肉加工製品の輸入
食肉及び食肉加工製品の輸入に関しては、農林水産省管轄の家畜伝染予防法に基づく畜産物の輸入検査と、厚生労働省管轄の食品衛生法に基づく食品の輸入審査や検査を受ける必要があります。
家畜伝染予防法の手続について
まずは家畜伝染予防法の手続についてご説明します。
海外から家畜の伝染病の侵入を防止するため、農林水産省が動物検疫所にて 家畜から作られる肉製品などの畜産物を対象に輸出入検査を行っています。
この検査は、輸入ボリュームや個人用、商用等の用途にかかわらず必ず受ける必要があります。
家畜伝染予防法に基づく「指定検疫物」
鶏肉は家畜伝染予防法に基づく「指定検疫物」です。
輸入される動物や畜産物などを介して 日本に家畜の伝染病の病原体が持ち込まれる恐れがあるので、動物や畜産物などのうち 特にその可能性の高いものを指定検疫物としており、鶏肉はそれに該当します。
指定検疫物の輸入にあたっては、輸出国での検査証明書(Health certificate)の添付がなければ輸入出来ません。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、輸出国での検査や証明する事項は輸出国と輸入国の間で決められています。
普段から鶏肉を輸出されているタイの業者さんは慣れていますので、事前に輸出者様に確認をしておきましょう。
動物検疫検査
貨物が到着しましたら 原則として検査を希望する日の前日までに、輸入港を管轄する動物検疫所にHeal Certificate、インボイス、パッキングリスト、BLなどの書類を添えて、「輸入検査申請書(畜産物)」を提出し、そして検査を受けます。
検査の結果、合格となれば「合格証明書」が発行されます。万が一、伝染病による汚染やその可能性が発見されると不合格となり滅却処分となります。しかし消毒をすることで合格とされる場合もあります。
動物検疫検査手続きは NACCSを使用して出来ますので、フォワーダーや通関業者へ依頼するのが一般的かと思います。
検査の項目と費用ですが
・動物検疫 検査申請料/品目
・動物検疫 検査立会費用/件
・動物検疫 検査ショートドレ-料/コンテナ
があり 1品目とした場合、合計で約5万円ほどとなります。これくらいの費用は最低限かかってきます。
検査の申請や立会は頑張って自身で行ったとしても、コンテナの輸送料金などはどうしても発生しますので鶏肉の輸入の際にはこのような費用が発生することをご理解ください。
食品検疫
動物検疫をクリアしますと次は食品検疫が待っています。ここからは厚生労働省管轄の食品検疫所への申請となります。
マンゴーの輸入解説でもお話しをしましたが 個人使用目的で輸入する際には 特に手続は必要ありません。自分が自宅で冷凍鶏肉を食べる場合には規制はないのです。
なのでここでは 商売目的での輸入についてのお話として続けていきます。
まずは食品届を食品検疫所に提出します。これは食品衛生法によるもので、人体への安全性を確保し、衛生上の問題発生を防止するために 避けては通れません。
具体的に冷凍鶏肉を どれだけの量で タイのどこの誰から輸入するのか、それには日本で禁止されている添加物や残留農薬などが含まれていないか などを検疫所に届け出て確認をします。
届出申請は、輸入地を管轄する食品検疫所にて行います。申請には製造工程表や原材料表などが必要です。
これらは輸出者側で用意すべき書類ですので、取引決まったら早めに輸出者から入手しましょう。
届出申請の審査を経て、検査が必要だと判断をされた場合は 検査を受けなければいけません。
費用が発生するのはもちろんですが 約5営業日ほどの検査日数もかかりますので 輸入の際にはこのことも十分念頭においておくといいでしょう。
書類審査・検査の結果、違法でないと判断されると「食品等輸入届出済証」が輸入者に渡されます。
そして税関で輸入申告を行う際に「動物検疫の合格証明書」とこの「食品等輸入届出済証」を添付して申告し 税関からの輸入も許可されます。
冷凍ブロイラーの分割した物(その他のもの)
ちなみに冷凍ブロイラーの分割した物(その他のもの)だと税表番号は0207.14.220となり、関税は一般関税で12%、EPA協定税率を使えば8.5%です。
このように関税がかかってきますのでこちらも忘れないで下さい。EPAを使う場合には原産地証明書の入手も必要です。
鶏肉は骨付きのものや一匹丸々のもの、そして肝臓などの内臓といった部位によって税関への申請が変わってきます。
単に「ブロイラー」の輸入申告ではなく、部位や冷凍・生鮮までも具体的に説明しなければいけません。
まとめ
タイから冷凍の鶏肉を輸入する流れはこのようになります。
食肉を輸入するなんてハードルが高い、と思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、一つ一つの手順をちゃんと踏めば実現でいることがお分かりいただけましたでしょうか。
今回は特定の食品で例を挙げましたが、他の食肉でも基本的な流れは同じです。
一般貨物とは違い通関に時間がかかる商品ですので輸入する前の時点から通関業者やフォワーダーにしっかりと確認をしておきましょう。
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