どうもこんにちは、飯野です。
本日は、ウォール・ストリートジャーナルの記事から、「北米で貨物輸送需要の低迷で物流案件が減少、更に金利の上昇と収益の減少が、好調だったM&A市場に水を差している」についてお話していきたいと思います。
2022年10月14日イーノさんの物流ラジオ
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M&A案件、減少傾向
昨年以降、旺盛な輸送需要に支えられ、ロジスティクスのM&A案件は増加しましたが、最近は減少傾向にあります。
北米では、イリノイ州の物流業者 STGロジスティクスのCEOは、過去1カ月ほどで、前年度の全期間よりも多くの取引候補とのディールには至らなかったとのことです。
高い評価額
この不況においても買収候補先の多くの企業は非現実的な高い収益予測を立てています。
売り手は好業績期を終え、高く売れると期待を持っていますが、買い手は金利の上昇や、マーケットの不確実性を考慮している状態です。
よって、M&A取引が進まなくなっています。
これまでのM&A市場
ここ最近の運賃が落ち着くまではM&A市場は活発であり、トラック、フォワーダー、船会社など幅広い企業の間で記録的な利益を出していました。
この間は各社とも拡大スピードがとても早かったです。
例えば、ドイツのフォワーダーDB Schenkerは、9月に約2億8500万ドルでトラックロードキャリアUSA Truckを買収しました。
デンマーク船社のマースクは、Pilot Freight Servicesを16億8000万ドルの取引で買収。
更に、フランス船社のCMA CGM SAは、Ingram Micro社のCommerce & Lifecycle Servicesを30億ドル相当の取引で買収しました。
過去最高の取引数
これらに対して調査グループ、アームストロング&アソシエイツ社の社長は、「過去18ヵ月間にサードパーティー・ロジスティクス分野で1,000万ドル未満の取引が数百件あった」としています。
一方、「昨年は1件1億ドルを超える取引が25件あり、1999年に同社が調査を開始して以来最高の件数だった」と続けています。
景気後退による市場の冷え込み
海運量が減少し、世界的な景気後退への警告が広がる中、市場はそれ以降冷え込んでいます。
また、金利の上昇が投資する人を遠ざける可能性があるとのことです。
しかし、事業拡大を目指す物流企業や、既存の物流ポートフォリオを拡大しようとする投資家は、依然として案件を探し求めています。
パンデミックの時に数百億ドルの利益を上げたマースクなどの海運会社は、負債を積み上げることなく買収を行うことができ、強い立場にあります。
とはいえ、価格は依然として最大の障害の一つであるとしています。
急成長による高い評価額
国内輸送の総収入は昨年平均で52%増加し、国際輸送では前年比75%増であったとのことです。
「今は、あまりの成長ぶりに、評価額が出にくい状況にある」と記事は締めくくっています。
M&Aの減速
コロナで高い収益を出してきた企業のM&Aによる事業拡大が落ち着いてくるかもしれません。
インフレ対策で金利が高くなり、しかも、フレートが下がり、更に貨物需要も下がってきています。
会社を売る方も高く売りたいため、直近の実績で高い金額を提示するものの、マーケットの落ち着きにより、買う方は思い切って買えない状況です。
こういった状態により、船会社が陸に上がってくるスピードが落ちてくるかもしれません。
しかし、この間にまた市場に何らかの変化があるかもしれません。
業界の変動に目が離せないと思っています。
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