海上運賃の高騰 2022年まで?理由を解説しました。

今日のテーマは海上運賃の高騰はいつまで続くのか?というテーマでお話をしていきたいと思います。

今日のストリート・ジャーナルの物流カテゴリーのニュースではアメリカ港湾関係者が、昨今の海上運賃の高騰は2022年まで続くと予想しているとの記事でした。これについては私も同意見です。

2021年9月6日イーノさんの物流ラジオ

 

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北米向けのピークシーズン〜いつまで?

現在では北米西岸沖に40隻もの船が貨物の積み下ろしの順番を待って沖待ちしています。コロナ前であれば沖待ち自体が珍しい状態だったのにも関わらずです。

2022年2月 中国の旧正月

一般的に9月は確かにピークシーズンなのですが、ピークを終えても2022年2月には中国の旧正月があります。
そして現在 問題になっているコンテナの滞留は1−2ヶ月で解消されるものではありません。旧正月前には中国からの貨物の出荷量が増えます。
その為、北米でのコンテナ滞留が解消しつつあるタイミングでまた貨物量が増えて、港の混雑につながる可能性があるのです。

2022年7月 北米西岸労働協約の改定

そして2022年7月。アメリカの西海岸港湾の労働協約が失効され、改定交渉が始まります。これにより北米西岸港湾の機能が低下することが予想されるのです。前回の2014年の労働協約改定では妥結するまで、なんと9ヶ月の時間を要しました。

この間、西岸港湾は機能低下し、多くの貨物がエアー・カナダの西海岸・北米東岸経由で輸送をされることになったのです。
前回でも北米東岸向けの海上運賃は高騰しましたので、2022年7月においても同様に海上運賃の高騰が考えられます。

2022年9月 クリスマス商戦輸送の開始

そして、そうこうしているうちに2022年9月。来年のクリスマス商戦が始まります。
この時に北米西岸港湾の機能が低い状態であれば、今年と近いような問題が発生するでしょう。

船腹供給過多で価格は下落するか?

上記の理由で2022年末まで、海上運賃が下がる理由がほとんど見当たりません。
現在、船会社は好景気によって新規コンテナ船の発注を進めているので、供給過多による価格下落を予想している人もいるでしょう。
しかし船腹の絶対量が増えて過去のスエズブーム後の不況、価格の下落のようにはならないと私 個人的には予想しています。

激しい価格競争からの教訓

なぜなら船会社も前回の不況を教訓にしているはずだからです。2017年には韓国のHanjin海運は倒産し、日本郵船でも約2,700億円の巨額赤字を計上しています。

そして現在 造船中の船は脱炭素に向けた仕様で、これまでの旧型の船は環境対応に不適切ということで市場の船腹量を調整することも出来ます。その為に海上運賃も調整されるのではと予想をしています。

まとめ

私自身も国際物流業に従事をしている身として、運賃が安すぎるのは問題だと思います。船会社が赤字経営をしなければいけない状態は健全なインフラ機能とは言えません。
とは言え、高すぎる海上運賃も問題なので、いち早く適正価格に戻って欲しいと思います。