MSCがコンテナ船ランキング首位に!29年ぶりの首位交代から海運業界の変化を考察。

どうもこんにちは、飯野です。

今日は海事新聞のニュースから、「MSC、コンテナ船社トップ。29年ぶり首位交代、マースク抜く」についてお話していきたいと思います。

2022年1月11日イーノさんの物流ラジオ

イーノさんイーノさん

チャンネル登録よろしくお願いします!

MSC、マースクを抜いて首位

スイスの船社MSCが、これまで首位だったデンマークのマースクを抜いて、創業以来初のコンテナ船社首位となりました。

アルファライナーの1月6日付コンテナ船社運航規模ランキングによると

MSC:645隻、428万4,728TEU
マースク:738隻、428万2,840TEU

MSCが2,000TEU弱をわずかに上回り、29年ぶりの首位交代です。

コンテナ船社のランキングでは

1位:MSC
2位:マースク
3位:CMA-CGM
4位:COSCO
5位:Hapag-Lloyd
6位:ONE

昨年1月1日時点での規模は、マースクが413万TEU、MSCが385万TEUで、MSCは2021年通年で規模を11%拡大したと記事に報じられています。

MSCの戦略

MSCは20年から21年にかけて、港湾混雑などでコンテナ船の稼働率が低下していた中で、供給力維持のために中古買船を積極的に購入しました。

2年で100隻以上の船を購入し、新造船も2万TEU型の超大型船 5隻などが竣工しており、さらに昨年末に買収を決めたブラジル船社の約1万5,000TEUがまもなく加わる見通しです。

新造船の発注残はマースクの25万TEUに対してMSCが100万TEU弱であり、当面、MSCが首位の座を維持する可能性が高いと報じられています。

マースクの戦略

一方でマースクは近年、ロジスティクス事業強化し、昨年末に香港物流大手LFロジスティクスの買収を決めています。マースクは投資をロジスティクス分野に集中させており、両社の戦略の違いが、今回の首位交代として現れたようです。

個人的には、この記事を見ると、規模を追いかける時代でもないような気もします。

現在、船会社は好景気で多くの船を持っている方が儲けにつながります。しかし、コロナ前はスペースが余っており、海上運賃が急落したように、船会社にとっては船を持ちすぎるのはリスクでもあります。

よって、マースクは物流全体を抑えるロジスティクスに力を入れているようです。

少し前に、マースクがキューネ・アンド・ナーゲルを外しにかかったというニュースがありました。長期レートで、4,000ドルで仕入れたキューネが、スポットレートで20,000ドルで売っていた、という記事もありました。

物流業界の変化

今の物流業界では、船会社とロジスティクスの会社は別れており、船会社は当たれば儲けは大きいですが、リスクもあります。

一方でロジスティクスの会社は船会社も選べることができ、アセットを持つ必要もありません。アセットを持ったとしても、下請け使って供給量を調整したりなど、リスクコントロールが可能です。

国際物流では国内トラック輸送・通関・海上輸送・倉庫・ラストワンマイルなど、各セクションで会社が分かれていることが多いです。

それが今後、テクノロジーでシームレスになっていく流れがあります。

マースクは莫大な資金でテクノロジーを導入し、トータルロジスティクスを抑えていくという戦略だと思います。

物流業界のトップの動きがこのような形で変化を迎えています。こういった情報から業界の動きを考える、予想することは大切なことだと思います。