CFSチャージ20年ぶりの価格改定へ!混載業者のコスト吸収が限界に。価格転嫁浸透なるか。

どうもこんにちは、飯野です。

本日は6月17日付の海事新聞から、「海上混載業界、約20年ぶりのCFSチャージ改訂。コスト吸収に限界」についてお話していきたいと思います。

2022年6月17日イーノさんの物流ラジオ

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CFSチャージの値上げ広がる

海上の混載業者(LCL業者)を中心に、CFSチャージの値上げが広がっています。

CFSとは、Container Freight Stationの略で、一つのコンテナに満たない荷主の貨物を集め、一つのコンテナに仕立て上げるのがLCL業者です。

そのコンテナを仕立て上げる場所をCFSと呼びます。

LCL業者は市場が成熟し競争が激化する中、CFSの現場費用をはじめさまざまなコストの上昇分を吸収してきました。それが新型コロナウイルス禍もあり、限界にきています。

20年ぶりの改定

複数のLCL業者が3月末から4月上旬に、CFSチャージの改定を明らかにしたのに続き、5月から今月にかけても同様の発表が出ています。

金額は各社が個別に設定していますが、新料金は1RT(レベニュートン)当たり5,000円前後ということです。

これまでCFSチャージは3,980円/RTが一般的で、一部の例外を除き、CFSチャージは約20年間3,980円に据え置かれ、前回値上げ時の実荷主の反発が予想されたため、上げ幅も数百円でした。

LCL業者の負担

CFSチャージは船社のサーチャージ類とは連動せず、LCL業者などが独自に設定する数少ないサーチャージの一つです。

一般的に、特にLCL専業者はCFSを持たず、混載貨物のバンニング・デバンニングなどの作業を外部に委託しています。

現在、LCLにかかるコストは大きく上昇し、業務も煩雑になっています。

CFSに関しては、港湾労働者の不足と人件費上昇などを背景に委託先から値上げ要請が増え、値上げ幅も拡大していました。

CFS事業撤退も

貨物の荷姿が多様化していることも、委託先のCFS事業者の負担になっています。

1つのコンテナに複数の荷主の貨物を入れるため、梱包形態や重さがそれぞれ違います。積み込み時や、輸送中に荷崩れがしないように気をつけないといけません。

人手と手間がかかる割に利益が低い、とCFSを一般倉庫に切り替え、CFS事業から撤退する企業も目立つようです。

上がらないCFSチャージ

去年は船が日本に寄港しなかったため、製造業が作った貨物を出したくても出せない状態でした。

よって、倉庫の需要が増え、倉庫業の利益は上がりましたが、CFSはずっと値上げできずにいました。

LCL業者の関係者は「何年も綱渡りの状態が続いていたが、このままでは仕事を受けてくれるCFSがなくなり、LCL自体が成り立たなくなってしまう」と危機感をあらわにしています。

価格転嫁が浸透

現在は原油高も続いている上、物流の「2024年問題」を控え、今後は一段のコスト高も予想されます。

2024年問題はトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されるものです。とはいえ、CFSチャージを満額収受できるかは個別の交渉次第になります。

複数の関係者は「そもそも1RT当たり1,000円の値上げでは20年のもろもろのコスト上昇分を賄えない。採算が大きく崩れている」と打ち明けています。

先行した企業からは、「顧客の理解を得られるようになってきた」との声が聞かれます。業界全体に価格転嫁が浸透する流れが生まれつつあるようです。

日本企業の対応

日本は企業努力で値上げを吸収する傾向があります。

北米の物価上昇がすごいのは、割と早い段階で価格転嫁するからだと思います。

CFSチャージは20年上がらなかったですが、こういったことの積み重ねで給料が上がらない現況です。

日本の企業はやっぱり変わっていかないといけないと強く思う次第です。