今日のテーマは欧米の大手荷主による自社コンテナ輸送についてです。
現在の海上コンテナ輸送では北米向けでピークシーズンを迎えており、スペースも取りにくく海上運賃も高騰を続けています。
そのような中で、アメリカの大手小売のウォルマートやホームデポ、またスウェーデンのイケアは自社でコンテナ輸送を手配する動きを見せています。
2021年9月8日 イーノさんの物流ラジオ
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大手荷主の北米向け輸送量
まず去年のウォルマートとホームデポの北米向けだけの輸送量をご紹介します。
ウォルマート:93万TEU/年
ホームデポ:53万TEU/年
ウォルマートの93万TEUは20フィートコンテナで93万個分を運んだということです。
現在の最も大きいコンテナ船で2万4千TEUのサイズなので、ウォルマートの輸送量がいかに多いかが分かるかと思います。この数字をだけでも自社でコンテナ輸送をした方がメリットがあるように見えますよね。
ウォルマートの自社輸送
そしてウォルマートは2021年8月に2回 自社でのコンテナ輸送をしました。53フィートコンテナを自社で作り、1回目が177本。2回目が247本のコンテナ輸送です。
そして、このときにチャーター手配した船はコンテナ船ではなく、オープンハッチのバルカー船でした。これはバルカー船でもコンテナを輸送出来ると証明した大きな事例になります。
北米向けコンテナ船、バルカー船の費用
ではバルカー船のチャーターと現在のコンテナ輸送の費用はどのようはものでしょうか?かなり大まかにですが費用感覚をお伝えします。
・現在の海上運賃
上海 – LA: 約USD 6,000/40’
・バルカー船(サイズ不明)
名古屋 – LA: 約 USD 300,000/ship
※ 弊社の代理店が2021年にバルク船をチャーターした時の参考費用です。
北米向けコンテナ船とバルカー船の費用比較(ラフ)
・ウォルマートが手配したコンテナ輸送(2021年8月):約200本/ship
・船社で輸送した場合(仮定):200本 x USD6,000/40’ = USD 1,200,000/ship
・バルカー船のチャーター費用(仮定):USD 300,000/ship(NGO – LA)
非常にラフな条件ですが、費用感覚としてはこのようになります。
バルカーの船使用にメリットの可能性がある
コンテナは購入する必要がありますが、コンテナは何回も使い回しが出来ます。また先日お伝えしたように、海上運賃の高水準は2022年も予想されます。
コンテナの購入費用を考えたとしても、自社でチャーターをする方が今年、来年はメリットがあると大手荷主は判断をしたと考えられます。
とはいえ全てのコンテナ輸送を自社で手配することはないでしょう。主に海上運賃が上がりスペースが取れなくなるピークシーズンには、このようなバルカー船を使った輸送方法の選択肢が増えると考えられます。
まとめ
今回のウォルマートやホームデポの自社輸送は海運業界にて新しい輸送方法を実現しました。このような大手主の動きは今後のコンテナ船、バルカー船の市場にどのように影響を与えてくのかが注目だと思います。
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