北米で海事法改正案が下院で可決!船会社のサービスに制限。サプライチェーンに変化か。

どうもこんにちは、飯野です。

本日は6月15日付の海事新聞から、「アメリカで海事法改正案が下院可決し、月内成立へ」についてお話していきたいと思います。

2022年6月日イーノさんの物流ラジオ

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海事法改正案可決

米国超党派グループが米議会下院に提出していた海事法改正案(OSRA2022)が13日、賛成多数で可決されました。

今回の海事法改正案は、昨年12月に下院で可決されたものの修正版です。

米ホワイトハウスは声明で同法案可決を歓迎しており、月内にもバイデン大統領が署名して法案が成立する見通しです。

今回成立した海事法改正案は、今年3月に上院で可決されたものと同じ内容です。

上院と下院

ちなみに、アメリカの上院と下院の違いですが、上院と下院は、上下の差はなく、議会の成り立ちが異なっています。

アメリカの上院は各州から選ばれた代表者が2名ずつ議席を埋める一方で、下院というのは、州に関係なく国民選挙で選ばれた議員です。

今回は下院で法案が可決され、あとはバイデン大統領が署名して法案が成立します。

改定案の内容

今回の改正案の主な項目としては、FMC(連邦海事委員会)の監視機能を強化し、船社によるデマレージ・ディテンション課徴に関し、FMCに準拠することを求めています。

北米のコロナ禍の混乱中に、船会社からのデマレージ・ディテンションが不当のものだったのでは、ということです。

港湾作業員不足やシャーシ不足などでコンテナが取り出せない中、船会社は容赦なく請求していました。

他の項目で昨年12月に下院で可決した原案では、船社による荷主へのサービス提供を義務付け、それを拒否することを違法とするなどかなり過激な内容でした。

しかし、今回の修正では、船社によるサービス提供について「不当な拒否や差別的な行為を禁止」とあいまいな表現にとどまっています。

今後、FMCが実際の運用上の実施細則などを取りまとめていくものとみられます。

船会社の主張

先日もお話ししたとおり、船会社が空のコンテナをアジアに早く返したいため、アメリカからのBookingを制限していましたが、それを規制するものです。

船社側の団体であるWSC(世界海運評議会)は今回の法案可決に関し、「サプライチェーン混乱を最小限に抑えるためにFMCと生産的な対話を進めていきたい」と声明を発表しています。

その上で、船会社側の団体WSCではコロナ禍以降、コンテナ船社は2021年に555隻、2022年に208隻を発注し、需要に応えるための投資を行ってきたと強調しています。

また、港湾など陸上インフラが現状のままでは需要に応えられないと述べ、サプライチェーンの問題点は暗に陸側にあると指摘しています。

とはいえ、この法案は確実に通る方向です。

中間選挙と支持率

アメリカでは11月に中間選挙があり、インフレがバイデン大統領の支持率に影響しています。

バイデン大統領はインフレの要因の一つを、船会社のぼったくりだとしていますが、詳しくは先日の放送をお聞きください。

北米外でコンテナ不足発生か

今回の法案成立によって今年のサプライチェーンはどうなるか?

先日の放送でもお話ししたように、北米からの空コンテナの早期返却は期待出来ません。

となると、他の国から空のコンテナが中国などに集まることになり、特定の地域でコンテナ不足が発生する可能性があります。

労使交渉への影響

またホワイトハウスが中間選挙前に、西岸港湾の労使交渉の仲介に入ってくる可能性もあり、そうなると、サプライチェーンはそこまで乱れないかもしれません。

まだどうなるか分かりませんが、今回の下院での法案可決は昨年とは違う動きのきっかけになると思います。

今後も北米の動きをアップデートしていきたいと思います。