デジタルフォワーダーの時代、 中小企業の今後の戦い方について!
8分53秒の動画やで!
どうもこんにちは飯野です。
今回は、デジタルフォワーダーについて私の考察も含めて解説をしていきたいと思います。
デジタルフォワーダーとは
まず、デジタルフォワーダーという言葉に馴染みのない方へ説明したいと思います。
デジタルフォワーダーとは、独自のITプラットフォーム(PF)を使い、見積もりの即時提出、荷主からのBooking、貨物のトラッキングを一元管理しているフォワーダーのことです。
欧米ではアメリカのFlexport, ドイツのsennder、日本ではShippioという会社が有名です。
従来のフォワーダーとの違い
まず従来のフォワーダーとデジタルフォワーダーとの違いを見てみましょう。
従来のフォワーダー
・見積もり:都度確認、メールや見積書にて提出
・Booking:メールでBookingを受付
・トラッキング:営業やカスタマーサービスが調べて連絡
デジタルフォワーダー
・見積もり:PFで表示
・Booking:PFで受付
・トラッキング:PFで表示
ここから分かるように、デジタルフォワーダーは情報をプラットフォーム(PF)で一元管理し、簡単に必要な情報にアクセス出来るようになっています。
見積もり、Booking、トラッキングは現時点での主要な機能ですが、今後は更にサービスが広がっていくと思います。
今後予想されるサービス
一部、私の勝手な未来予測を含んでいますが、これからの機能は以下のものが考えられます。
・B/Lの間違いチェック*S.I、INV、PKLからAIで間違い探し
・eB/L(制度改正が必要)
・本船の残りスペースの表示
・各港の混雑状況の表示(沖待ち日数)
・写真をアップロードし、HS Codeの表示
・HS Codeを入力して必要書類(他法令)の表示
・HS Codeを入力して配送可能(主にDG)か事前確認
・輸入関税・消費税金額の自動算出
・Arrival Noticeの電子送付
・D/OのQRコード化
・輸入申告のオンタイム状況の表示
・フリータイム切れまでのカウントダウン
・デマレージ費用のオンタイム表示
・配送先の住所を入力してトラック費用の算出
AIやブロックチェーンなどの技術を使えば、技術的には全て可能な内容だと思います。
なぜ物流業界でデジタル化が進まなかったのか?
物流のお仕事に従事されている方なら、上記のような便利なツールや機能があったらいいと思いますよね。
では、なぜ他の業種では既に使われている技術なのに、物流業界ではデジタル化が進まなかったのでしょうか。
これには以下の2つの主要な問題があります。
・物流業界の人たちの考えが古い(コンサバ)
・業務プロセスが多く、関係各社が分かれている
前者のコンサバは時間が解決してくれると信じていますが、後者の業務プロセスが関係各社に分かれている問題が厄介です。
フォワーダー、特に弊社のような中小企業は、基本的にはアセット(自社の設備)を持たないケースが多いです。
なので、船・飛行機を含め、通関、トラック、倉庫などを複数の業者に外注しているのが現実です。
現在ではそれぞれの業者・会社が自社のシステムを導入しています。システムがないと膨大な物流手配の情報は取り扱えないのですが、このシステムが足枷となっているんです。
1件の輸送をする為に、関係各社のシステムが違うので、フォワーダーのプラットフォームと各社のシステムとの連携が技術的、権利的に難しいんですね。
特に後者のシステムの権利に関する問題が大変だと思ってます。
システム業者からしたら、「なんでそんなプラットフォームと連携しないといけないの?」となりますよね。既存のシステムと簡易的に繋げられる技術が必要だと思います。
現存のデジタルフォワーダーの管理方法
このように各社のシステムが違うのに、現存のデジタルフォワーダーはプラットフォームをどのように一元管理をしているのでしょうか?
最先端のプラットフォームを作っている会社の場合は、上手くシステム化・仕組み化されていると思います。しかし、表向きはIT開発をしているけれども、結局 運用自体は人がやる仕組みになっている場合もあります。
現在、船会社はBookingを各自社Webサイトで受け付けていて、トラック会社はメール(またはFAX)でのBooking受付けているケースが殆どです。
なので
1. フォワーダーのプラットフォームでBookingを受ける
2. それを自動で各船会社・航空会社のWebサイトへBookingする
3. また自動でトラック会社へメールでBookingする
このようなシステムは技術的には出来なくないとは思いますが、少額投資しか出来ない会社の場合は、結局はマンパワーでBookingやキャンセル手配をすることになってしまいます。
私自身が大手フォワーダーの内部にいるわけではないので勝手な想像になってしまいますが、最近プラットフォームを開発した 日通や郵船ロジスティクスなどでは、トップが「デジタル化するぞ!」と言ったら、関連会社のシステムも合わせられるのかもしれません。
大手は自社でアセットも持っているので、それに合わせたプラットフォームも開発がしやすいと思います。
そういう意味で、大手企業ほどコンサバな印象が強いですが、やるときはパワーを使って変えられるのが強みです。
デジタルフォワーダーが一般化したら中小企業はどうなる?
そしてデジタルフォワーダーというスタートアップが出て来て、いきなり市場が取れる程 この国際物流業界は甘くありません。
確かにプラットフォームは便利ですし、これからトレンドがきて、今後は一般化していくと思います。
しかし貨物を海外に運ぶというフォワーダーの仕事においての前提条件は、貨物を運べるスペースをしっかりと持っていることです。
取り扱いスペースがなければ、見積もり・Booking・トラッキングをいくら便利にしても、そもそも運べないですから。
現在はコロナによるコンテナ不足、本船のスペース不足により、海上運賃が過去最高に高騰しています。特にアジアからアメリカやヨーロッパ向けなどは、貨物を送りたくても送れない状況が続いています。
このコンテナ不足、スペース不足が解消するのは、現状からすると来年まで続くという見方が強まって来ました。
また2022年7月1日にアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が失効します。これにより北米西海岸で物流が滞り、コンテナの目詰まりが発生するでしょう。
このように大きく乱れている海運市況やデジタル化が進む中で、中小フォワーダーはこれからどのなっていくのか。
従来のアナログで海上輸送・航空輸送”のみ”を対応するフォワーダー1.0は、デジタル化が進んでいけば淘汰されると思います。
すぐにではないでしょうが、全ての大手フォワーダーがデジタル化を完了させて攻め込んでくると中小のアナログフォワーダーは勝てません。
テクノロジー化が進むにつれてコストは下がります。更に大手は強い購買力でスペースが取れますし、物流管理をデジタル化することで人件費も下げられます。
このような話を聞くと、自社でシステム開発をしなければいけない!莫大なコストがかかる!と心配になる方もいるかもしれません。
ご安心ください。フォワーダー用のプラットフォームを開発してくれる会社もあり、今後はサブスク(月額課金)でプラットフォームを使わせてくれる会社も増えてくるのではないかと個人的に考えています。
デジタル化した物流業界での生き残り
デジタル化が進むことで簡単に価格が比較できるようになり、そこで選ばれるのが最も安く貨物を運んでくれる会社となるでしょう。
または適度な価格でワンストップ・サービスしてくれる会社です。
ここが重要です。国際物流は海上・航空輸送だけではありません。その前後の陸送、通関、梱包など、また貨物によって運び方も変える必要があったりします。
しかしトータルロジスティクス(ワンストップ)だけでは生き残ることはできません。大手企業ももちろんトータルでサービスを提供してきます。
ここでポイントになってくるのが 海外の支店・代理店の存在です。
国際物流は2国間で貨物輸送手配をします。大手企業は海外に自社の支店を持っていることが多いですが、それが足枷になるケースもあります。
海外に支店があることと、海外の支店のサービスが良いことは全く別の話です。
これは大手フォワーダーに勤めていた人から聞いた話ですが、海外の支店のサービスが悪かろうと、そこを使わなければいけない縛りがあるそうです。
中小フォワーダーの場合は各地に支店がなく、ローカルのフォワーダーと代理店契約をしている場合がほとんどです。
なので、そのなかで良い代理店を選べるというのが逆に強みだったりします。
やっとこの国際物流業界でも空気が変わって来ました。技術的には出来そうなのに 構造上の問題でなかなか進まなかったデジタル化。
これがDXというトレンドワードによって、このコンサバ業界が動き始めたのです。
ここで変われない会社は中長期的に間違いなく淘汰されるでしょう。
弊社グループもまだ変われていないので、個人的にこのまま行くとヤバいと感じていますが、大切なのは変わろうとする意思と行動です。
もしデジタル化に時間がかかったとしても、中小フォワーダーと関連業者による強い連携があれば生き残れると思います。
もしタイの物流に関して弊社と協力可能な会社様がいらっしゃれば、お問い合わせ頂けますと嬉しいです。
今回の内容は以上になります。また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました!
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