「中国の石炭輸入増」&「北米西岸港湾の24時間稼働」から海運市況を考える。

どうもこんにちは飯野です。

今日は海事新聞で「中国で石炭の輸入量が増加」というニュースがありましたので、これについて考察を交えながら話したいと思います。

2021年10月18日イーノさんの物流ラジオ

イーノさんイーノさん

チャンネル登録よろしくお願いします!

中国の石炭不足

先月末、国慶節前に中国で電力不足が発生し生産が終わらず、船のキャンセルが続出しました。

その為 中国から北米のスペースが投げ売りされ、40フィート当たりUSD 15,000だったものがUSD 8,000あたりまで値下がりしました。

実際、弊社でも国慶節中のスペースはかなり取りやすかった印象です。

この電力不足は石炭不足が理由で、中国の電力不足に影響を与えています。また中国は脱炭素に向けて、石炭での火力発電を減らしていこうという流れも影響をしています。

しかし実際は、電力不足で工場が止まる状況に陥ってしまい、改めて中国政府は石炭の採掘量の増加を決め、更に石炭の輸入量も増加しています。

輸入はインドネシアからだけでなく、アメリカ、コロンビア、南アフリカにも及んでいます。石炭の供給が回復し電力不足が回復すると、製造業も通常通り稼働することが出来ます。そうなると本船スペースが埋まっていくようになるでしょう。

北米港湾24時間稼働

また、アメリカのバイデン大統領は10月13日LA港、ロングビーチ港にて港湾を週7日、24時間稼働にすると発表しました。

それに伴い、計6社、ウォールマート、FedEx、UPS、ホームデポ、サムスン、ターゲットは夜間シフトを増やし、協力していく姿勢を見せています。

しかしワシントンポストによると、ロングビーチの港湾関係者は、24時間稼働するターミナルの数はどうなるかわからない、と発言しています。

LA港やロングビーチ港など大きな港湾には複数のターミナルがあり、今回の24時間稼働に対応するターミナル数は未定ということです。

クリスマス商戦に向けてスペース不足

更に、ホワイトハウスは同6社の対策強化によって、年末までのコンテナ輸送量が週当たり3,500個増えると予想していますが、正直な感想としましては全く足りないと思います。

というのも、10/14時点の沖待ちコンテナ船は62隻。船のサイズにもよりますが、大きい船だとコンテナを1-2万本積んでいます。

LA港、ロングビーチ港で予想されているコンテナ取扱量:
9月 90万TEU
10月 92万TEU
11月 90万TEU

これを見てもわかるように、実際、少しは良くなるだろうけれども、数としては需要に追いつくのは難しいと思います。

実際、バイデン政権としても、来月すぐに始まるクリスマスシーズンの物流混乱回避は保証できないと発言しています。

まとめ

以前の記事で中国が電力不足となり、中国の工場の生産が滞り本船スペースに余裕が出来るかもとお伝えしました。

しかし中国政府は電力不足対策で石炭の輸入を強化し、北米では港湾が24時間稼働を始めます。

北米西岸の24時間稼働は現在の混乱を早急に回復させるものではなく、時間をかけながら貨物の目詰まりを解消していくものになるでしょう。

このことから国慶節前の運賃が下がったのはやはり一時的なものであり、来年までスペース不足は続くのではないかと思います。

一旦発生した目詰まりは、そう簡単には解消しないと個人的には感じています。