安すぎる国、日本。なぜ海上運賃の値上げを製品に反映できないのか

どうもこんにちは、飯野です。

今日は、「海運が乱れているのを理解してますか?」というテーマを話していきたいと思います。

2021年11月15日イーノさんの物流ラジオ

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値上げ交渉ができない日本

自動車関係にお勤めの方から聞いた話ですが、海上運賃がここまで上がり、スペースも不足している状態なのでお客さんへ値上げを提案しに行ったら、怒られたとのことです。

そのお客さんは購買の人なので、このサプライチェーンの乱れを知らない訳が無いと思います。

その上で、値上げを基本的に認めない、3回くらいでなんとか通るかもしれないという状態のようです。

私が化学系の商社に勤めていた時も、ナフサ価格が高騰し値上げ交渉に行きましたが、3回ほどの交渉でやっと通る、といった感じでした。

荷主の立場が強すぎる日本

コロナ前は、自動車系のメーカー・荷主の立場は強すぎたため、海上運賃の価格競争が激しく、韓国の大手船会社は倒産、多くの企業で吸収合併が繰り返されていました。

コロナ前にある大手の荷主さんと話していた時のことです。

「船会社から値上げの提示があって、何これ?と言ったら、その船会社の担当者こなくなりましたよ」と笑って話していました。

コンテナの不足の悪化

その結果、今何が起こっているかというと、日本にコンテナが集まらなくなりました。

最近の話ですと、台湾の船会社TS Lineがタイから日本航路と中国から日本航路のサービスをやめ、代わりに中国から北米、中国からオーストラリアのサービスを始めました。

なぜなら、そっちの方が儲かるからです。日本は荷主の立場が強く、運賃交渉ができないですが、こちらでは荷主は高い値段でも出してくれるので、そちらが優先されている状態です。

海上運賃の値上げが製品に反映できない日本

もう一つ別の話を紹介します。

日本のフォワーダーさんと話をしていた時のことです。

この乱れまくっているスケジュールの中で、工場止まります!とかなりプッシュされました。

バイデン大統領がサプライチェーンの乱れの対策しようとしているほど、混乱している状況で、これは世界的な問題です。なので、スケジュールの遅れや予定通りに行かない可能性が高いので在庫を持つべきだと思います。

在庫にはコストがかかると言うのは十分に理解しています。

けれど、そんなヒヤヒヤした状態でいいのか?と疑問を持ちます。

スケジュールの遅れは船会社、フォワーダーのせいにし、結果、工場止まることになったら、私が社長であれば、その購買担当者に対して責任を取らせます。

コントロールできないことより、コントロールできることにフォーカスすべきです。

在庫を持つとコストが上がってしまうが、製品単価に反映できないと聞きますが、最初の例と同じです。

本当にそれで良いのか?

いつまで、安い国、日本でいつづけるのか?

と思ってしまいます。

コロナによって海上運賃は上がることになりました。業界の人間としては、スペース取るのは大変ですが、ある意味良かったとも思います。

大手船会社が潰れるほど安い価格競争が激しい状況は、やはり健全でなく、インフラが機能しなくなります。

適正な価格でサービスが提供できる状態が大切だと思います。

今は脱炭素に向けた投資が進んでいますが、船社がここまで利益が出ていなかったら、海運業界の脱炭素の活動がどれだけ進んでいたかはわかりません。

安い国、日本も、環境問題も他人事ではありません。本当に今までと同じ、昭和のような感覚でいいのか。

十分、考えるに値するテーマかと思い、お話しさせていただきました。