7月北米西岸港湾の交渉、混雑回避に向けて荷主は準備。東岸での貨物量に変化。

どうもこんにちは、飯野です。

本日はWSJの記事から、「北米輸入業者が7月に行われる北米の労働協約に備えて、サプライチェーンを再構築している」というテーマについてお話していきたいと思います。

2022年3月22日イーノさんの物流ラジオ

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7月、北米西岸労働協定失効

今年の7月に北米西岸の労働協約が期限を迎えて失効し、再交渉が始まります。その間は北米の西海岸の港湾でストがある予定です。

2014年の交渉の前回のストライキも結構長引いて、西岸港湾の機能が落ち、東海岸を使う動きがありました。

荷主の早期対応

今回もストがあり、まだサプライチェーンの目詰まり解消していないので、荷主さんたちはとにかくストに備えようとしています。

一部の荷主は今年の年末年始のホリデーシーズンの注文を前倒し、西岸から東海岸、メキシコ湾岸へ貨物を迂回させようとしています。

とはいえ、「選択肢に限りがあるため、未だに多くの企業がLA港、LB港経由での貨物受け取りを希望している」と3rd パーティーロジスティクス会社の社長は述べています。

今回の西岸の労働交渉

西岸の労働交渉は、シアトルがあるワシントン州からLA、LB港がある南カリフォルニアまでの29港の、22,400人の港湾労働者を対象としています。

今年の交渉はサプライチェーンの混雑により、何十隻も沖待ちしている中行われることになります。

多数の沖待ちの中での交渉

西岸の混雑をさけるため、ヒューストン港から、ジョージア州のサバンナ港、サウスカロライナ州のチャールストン港まで沖待ちが発生しています。

北米の各港で沖まちが発生している状態での交渉になります。

個人的には労働組合側の交渉が有利に感じます。この状況を早く解決したかったら、要求をのむように進めるような気がします。

船社との交渉

あるロジスティクス会社の社長は、「スペース確保のため、例年より早い時期に契約に合意した荷主もいた」と述べています。

日本と同じ感じで、とにかくスペース優先志向です。

「LA、LB港は米国の輸入コンテナの40%近くを取り扱っており、他の港ではLA、LB港の貨物の多くを処理することは難しいだろう」と同氏は発言しています

大手小売企業は、東海岸で確保できるキャパシティには限界があることを理解しているし、あまり遅くなると、東海岸向けのスペースは埋まってしまう可能性があるとのことです。

中小の輸入者は長期契約取れず、直前予約しかできません。緊急時の対応策はあっても、どの程度の混乱が生じるかは様子を見るしかありません。

東海岸でのコンテナ取扱量増加

今、東海岸の取扱量に変化があります。

ここ数ヶ月、東海岸の港を経由するコンテナ量は西海岸を経由するコンテナ量よりも急速に増加しています。

この理由は、単にLA、LB港での混雑により、貨物の取扱量低下したため、東海岸の港へ迂回されたのか、まだ明確にはなっていません。

西海岸の主要港への輸入は12月に前年比14%減少、東海岸の輸入量は13%近く増加し、メキシコ湾岸の輸入は14%近く増加しました。

労働組合との交渉

全米小売業協会は2月、港湾労働者組合(ILWU)と使用者団体である太平洋海事協会(PMA)に対し、早期に協議を開始するよう促しました。

今回の協議内容は、西海岸の就業規則、自動化、福利厚生など多岐にわたります。

太平洋海事協会(PMA)は、3月16日に直ちに交渉を開始する準備ができているとしましたが、港湾労働組合(ILWU)は、5月までは準備が整わないとしています。

交渉長期化の懸念

ILWUとしては市場が混乱している方が有利に交渉を進められるため、すぐにやる理由はありません。

小売業連合会のサプライチェーン担当副社長は、「多くの荷主は契約が切れる6月末までに交渉がまとまるとは思ってはいないが、ILWUとPMAもこれ以上の混乱が起きないように尽力をつくしているのか?そのようには全く見えない」と述べています。

労働組合側に有利な状況なので、今回のテーマの港の自動化なんて通らないかもしれません。

交渉にはだいぶ時間かかりそうです。

また情報あり次第アップデートしていきたいと思います。