北米西岸労使交渉、東海岸側のILAが港自動化に徹底交戦。自動化は生産性向上ならず?

どうもこんにちは、飯野です。

本日は、Joc.comの記事より、「国際港湾労働組合(ILA)のハロルド・ダゲット会長が西岸港湾の労使交渉での自動化を痛烈に批判」についてお話していきたいと思います。

2022年5月16日イーノさんの物流ラジオ

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労使交渉スタート

北米には、北米西岸港湾の労働組合(ILWU)、北米東海岸の労働組合(ILA)の二つの労働組合があります。今日は東海岸側のILAの意見をメインにお伝えします。

5月10日に北米西岸港湾の労使交渉がスタートしました。

東海岸の労働組合(ILA)のダゲット会長は、米国におけるさらなる海上ターミナルの自動化に「徹底抗戦」すると発言しました。

今週、西海岸の労働組合が、港湾使用者団体(PMA)と交渉を開始したことに対して、ダゲット氏の自動化への大反対として、ビデオで以下の声明を発表しています。

ILAの主張

「西側の組合は、組合員のために素晴らしい契約を結んでくれると確信している」と、ダゲット氏は語り、「ILAが西海岸の港湾労働者をしっかりと支えていることを世間に知らしめたい」と明言しました。

また、「私たちは同じ仕事をし、同じ会社のために働いており、私たちは一体であることを世界に示す必要があり、世界中の港湾労働者は、かつてないほど団結している」とダゲットは付け加えています。

港湾はとにかく自動化を嫌がっており、これはILWUとILAは同じ意見です。

東岸の自動化

2018年に決まったILA(東海岸)の現行の労働協約では、「完全自動化された端末の開発や、完全自動化された機器の使用は、双方がその実施について合意しない限り、行わないものとする」と、契約には書かれています。

同時に、ILAは、港湾の近くで、5Gの技術が利用可能になりつつあることを通して、さらなる自動化の可能性に警戒を続けています。  

ILAのダゲット氏は「自動化は2つのことをする。それは、企業を金持ちにし、港湾労働者を失業させることだ」としています。

「オートメーションは生産性を向上させない。自動化は生産性を向上させるものではなく、生命と生活を破壊するものであり、私たちはILWUとともに徹底的に戦う」と述べています。  

港自動化の効果

ダゲット氏は、生産性を向上させないといっていますが、PMA(港の使用者団体)は、西海岸の2つの自動化ターミナルは、非自動化ターミナルに比べて、既存の設置面積でより多くのコンテナを処理できると報告書を発表しています。

では、自動化に必要な5Gの通信技術はどれくらい効率化につながるのでしょうか。

フィンランドのノキアの研究者が発表した2021年9月の論文で、「5G技術は港の自動化を可能にする大きな可能性をもたらし、港の柔軟性、予測性、安全性の向上につながる」と述べています。 

進む技術開発

今年の3月、香港の港湾事業者ハチソン・ポーツ(Hutchison Ports)は、イギリスの最大の港のFelixstowe港で5G技術のテストを行っていると発表しました。

テスト内容はガントリークレーンの遠隔操作です。

クレーンには人がのぼり、クレーンの操縦室から船にコンテナを積み込み、積み下ろししています。これは騒音がすごく、クレーンから離れたモニタールームで遠隔操作できる方が操縦士の負担が減ります。

また、完全自動運行のストラドルキャリアも既にあります。

このように技術も着々と進んでいます。

今回のように、労使協約への抗戦は、今年中は続くと思います。

また引き続きアップデートしていきます。