通関士の仕事について解説!通関実務のリアルな仕事内容をご紹介します。

通関士と聞いてどんな仕事をイメージするでしょうか?

私の周りからですが「何するの?」「英語を使う仕事?」「かっこいい!」等 という声を聞いたことがあります。国際物流業に携わっていないと、それほど身近ではない通関士の仕事は理解されにくいかもしれません。

今回はそんな通関士の仕事内容についてご紹介します。

動画で解説!通関士の仕事内容

通関士の仕事の概要

通関業務とは大きくわけて3つあります。

① 他社から依頼を受けて、貨物の輸出・貨物の輸入をする際に税関に申告をして許可を受ける
② 関税法などの処分に対して、税関長や財務大臣への不服申し立て
③ 税関各署に対する主張または陳述

ほとんどの業務は輸出・輸入の際に税関に申告して許可を受けるまでの①の業務を毎日やり続けます

②③の業務は①の後に不服があった場合に申し立てや陳述するので、通関業務といえば申告業務を指すのです。

通関士の実務

申告業務が通関士の仕事ですが、申告業務がどういったものかもう少し詳しく説明します。

通関士は輸出入において他社の依頼を受けて税関に申告します。その輸入者、輸出者から輸出入に関わる商品の売買の請求書、船積み書類などをもらって代わりに税関に申告し、必要な検査などを受けて税関から許可をもらいます

輸出入者本人が税関に申告するのはもちろん可能です。貨物が置いてある管轄する税関に行って、ご自身で申告書を書いて許可をもらうこともできます。

ネコ先輩ネコ先輩

書き方は税関で教えてもらえるよ!

では実際の実務をやっている人に参考になるように、どのように申告書を書いているかを紹介します。

輸入申告の流れ

輸入申告は自国に輸入していい貨物、絶対に輸入してはいけない貨物があり(武器・麻薬など)、輸出申告より厳しいと日常業務で感じています。なので今回は輸入申告について見ていきましょう。

まずは輸入申告の為に必要な書類をご紹介します。

輸入申告に必要な書類

・インボイス
・パッキングリスト
・B/L
・アライバルノーティス
・商品説明書
・原産地証明書(あれば)
・他法令に該当すれば他法令許可書

カモメ先輩カモメ先輩

大体こんなもんやな。

関税額の確認

例えば、タイ産マンゴー 100個 / CIF 100,000円とすると通関士はインボイスを見てマンゴーを実行関税率表で確認します。

この実行関税率表にはHSコードと呼ばれる税番が載っており、すべての品物にこの数字9桁の税番を決めます

ネコ先輩ネコ先輩

ちなみにマンゴーのHS CODEは0804.50-011だよ。

実行関税率表から税番が決まったら次に関税率や消費税を確認します。

タイ産のマンゴーはJTEPAを使うと関税0%です。
消費税はCIF価格100,000円 × 10% = 10,000円となります。

EPA/原産地証明に関する記事はこちらをご覧ください。

税関への説明・検査

金額などを申告書に記載して税関に輸入申告書を提出します。流れとしてはこのような感じです。

1. 必要書類を税関に提出
2. 税番の根拠を説明
3. 貨物の現品検査
4. 納税して輸入許可を受ける

ネコ先輩ネコ先輩

何も問題なかったら、すんなり輸入許可が出るんだけどツッコミがはいる時もあるからね。

実際の業務は税関と通関業者はNACCSといわれるシステムでつながっているため、通関士はそのシステムにHSコードや金額を入力すると税額は計算され、輸入申告は送信のボタンを押すだけになっています。

必要な書類は税関にPDFで送ることもできるようになっており、時間の短縮につながっています。

輸入申告の注意点

意外と簡単そうと思割れるかもしれません。しかし申告書を作成するのに1件5分で仕上げられるものと丸一日以上かかる複雑なものもあります

商品100アイテムあった場合 それに伴い税番をそれぞれ振り分け、税率ごとにまとめたりします

カモメ先輩ショックカモメ先輩ショック

アイテム数が多いとマジ大変やねん。。

また税番を振り分けるというのも一筋縄ではいかないところです。明らかに税番が決まるものありますが、該当しそうな税番がいくつもあるものは事前に税関に相談したりする場合もあります

それによって関税率が変わり、輸入の費用に影響がでるため重要なところです。

書類のミスをチェック

インボイスが正しいかどうか確認すること、サンプルなど金額が抜けているものがないかチェックしたりもしています。貿易の際に書類が間違っているというのは往々してあります。

毎回足し算が間違っている書類がくる場合もあります。

ネコ先輩ネコ先輩

とにかくチェックが大事!

税関検査について

申告をすると以下の数字がNACCSに表示されます。

1. 即時許可
2. 書類審査を経て許可
3. 書類審査を経て現品検査その後許可

申告はNACCSで申告の送信ボタンを押すとランダムに1.2.3の数字が表示され、”1″だとそのまま許可です。“2”,”3″の場合は申告に必要な書類を添付して税関に送付し税関の担当者からの連絡を待つことになります

書類上問題がなければ そのまま許可になることもあれば、貨物検査をすることになると検査の指定表が送られてきます。

貨物の立ち会い検査

貨物検査は通関士か通関従業者が立ち会うことになりますが貨物検査の瞬間は通関士に緊張感が走ります。指定された箱を持ち込んで税関職員と顔を見合わせながら箱を開けるのですが、それまで中身をみることはできません

輸入したものの場合、「書類上の品物が出てこなかったらどうしよう。。」と通関士はいつも思いながら開けるのです。

ネコ先輩ネコ先輩

品物が違う、数が違う、書類に書いてあるもの以外のものが出てくることはある。。

申告したからには、通関士が許可まで責任を持たねばなりませんので、毎回ドキドキしながら貨物検査を受けることになります。

ネコ・カモメネコ・カモメ

「帽子を申告したけど、出てきたのはバッグで思わず頭にかぶった」って話を聞いたことあるしwww

何はともあれ、許可が出れば貨物を引き取り国内貨物として流通できるようになります。その許可について不服がなければ、通関士の1件の申告は終わりになります。

通関士の特技

たまに身の回りのもの全ての税番を言える通関士さんもいます。

百科事典のような実行関税率表が頭にはいっているということなのでとても凄いことなのですが、通関士以外の人に言っても驚かれるさことはありません

ネコ先輩ネコ先輩

税番って何?ってなるよね。。


カモメ先輩カモメ先輩

凄さが伝わらないやつ。。

これがなぜ凄いかというと、身の回りの物の材質がわかっているということを意味しているのです。多くの品物は材質がわからないと税番はわけられません。

例えば靴だったら、これは本革なのか合皮なのか。プラスチックでもPP(ポリプロピレン)製かPE(ポリエチレン)製かによって違い申告内容が変わってきます

なので依頼した通関業者から商品の説明を詳しく聞かれた場合には面倒くさがらずに対応してあげてください

カモメ先輩カモメ先輩

よろしゅう頼んます。

まとめ

なんとなく通関士の仕事内容がイメージ出来たでしょうか。

貨物の輸出入には通関士が影で活躍しています。普段通関士のことを考えたことがない人も、どこかの通関士が通関した品物を毎日使っています。通関士は納期に間に合わせよう、予定の船や航空機に載せられるように、必死に計算し、書類を照らし合わせています

きちんとした書類、必要な書類は渋らず出してくれると 通関士の仕事に大いに役立ちますので、何卒ご協力をお願いします。