EPAという言葉を聞いたことがありますか?
ものすごく簡単に言えば「TPP」のようなものです。TPPはメディアにも取り上げられているので馴染みのある言葉かもしれませんが、これは貿易に関する言葉です。
そしてEPAも同じくして貿易の時に使用する言葉なんです。そしてこのEPAを理解していると有利に商品を仕入れることが出来たり、他国へ投資をしたりするときにもメリットがあるんです。
今回はEPAの基礎的な内容についてご説明をしていきます。
EPA(経済連携協定)とは
EPAの正式名称は「経済連携協定」- Economic Partnership Agreementと呼ばれ、2国間で経済的にメリットのあるように協力をしましょうねという取り決めです。
では経済的なメリットととは、どのようなことを意味するのでしょうか?
FTAとEPAの違いは何か?
経済的なメリットを得る為に各国の外務省の偉い方達が様々な協議をしています。上述したTPPもその一つですし、EPAの基盤となるFTAと呼ばれるものもその協議で決められました。
FTAは「自由貿易協定」 – Free Trade Agreementの事で、EPAと併せて覚える方が理解しやすいので簡単にご紹介します。
・FTA:物だけの貿易のことで「物品の関税を削減・撤廃する協定」のこと
・EPA:物のほかに投資規制の撤廃や、知的財産制度や競争政策の調和なども入っている包括的なもので、人、物、金の移動の自由化、円滑化を図り、幅広い経済関係の強化を図る協定であります。
EPAの方がカバーしているものが多いね!お得だよね!
EPAの活用法
具体的にビジネスでは実際どのような場面でEPAが活用できるのか、EPAの具体的なメリットとポイントを見ていきましょう。
より安く輸出入したい
ポイント:輸出入にかかる関税の削減・撤廃
EPAを使えばコストを減らせるかもしれません。条件がありますので次の項で詳しく説明していきます。
フォワーダー的にはEPAは関税が重要だからね!
海外で自分たちのサービスを提供したい
ポイント:サービス業を行う際の規制を緩和・撤廃する
貿易はモノ以外にもサービスが国境を越えてやり取りされるようになりました。海外のコールセンターや海外旅行も国境を越えたサービスで、EPAで参入が自由化され流ものがあります。
このサービスとは実務、通信、金融、運送、観光・旅行などの分野に分類されております。他国に進出するにあたり、これらのサービスの規制の自由化が進み経済的なメリットを産むようになっています。
安心して海外に投資したい
ポイント:投資環境の整備を行う
海外に自社ビジネスを展開したいが、相手国とトラブルが起きるのではないかと不安になる場合がありますよね。
EPAを利用すると他国の政府から収益を得る機会を奪われるようなことがあったり、契約を履行しないなどのリスクもあったりします。EPA締結国同士ではそのようなリスクは低くなっています。
海外でのビジネス環境に改善要望をしたい
ポイント:ビジネス環境の整備を協議する
海外でインフラ・治安・法務等様々なビジネス上の問題に直面した場合、ビジネス環境の整備に関する委員会を通じて外国政府と協議ができる場合があります。
詳しくはJETROや経済産業省に問い合わせてな。
貿易における関税について
通常、輸出入を行う際に各国が定めた関税を支払う必要があります。輸入時の関税は国内産業を守るためでもあります。
この関税には、WTO(World Trade Organization)で定められた原則に基づいて全ての国に対して共通の関税率が適用されます。
WTOは164カ国が加盟しているから、基本的にはこのWTOの税率を見ることがほとんどやね。
WTOの税率はMFN税率とも呼ばれてるよ!
EPAによる関税削減・撤廃
しかし、輸出入に際してEPAを活用すると通常よりも有利な関税率の適用を受けることができる場合があります。
EPAを結んだ国の間ではMFN税率(WTOの税率)より低い税率を定めることができるため、EPAを結んでいない他国よりも低い税率で輸出入を行うことができます。
ただし、MFN税率よりも低い関税率の適用を受けるためには適用されるための要件を満たす必要があります。
それではEPA特恵税率が適用されるための要件について見ていきましょう。
EPAによる関税削減の適用条件
① 製品にEPA特恵税率が設定されているか?
② 製品にEPAの原産資格があるか?
③ 原産地を証明する必要書類
④ 船積みを証明する書類
この4つの条件を確認しなければいけません。では一つずつ解説をしていきましょう。
①製品にEPAの特恵税率が設定されているか?
EPAを使ったら全ての品目で関税の優遇が受けられると言うわけではありません。二国間の協議で品目ごとに特別な関税率(特恵という)が決められているのです。
例えばタイの冷凍鶏肉のWTOの関税率は11.9%で、EPAを使うと8.5%になります。製品によっては無税になるものもあったり、特恵がないものもあったりします。
このように、そもそもの特恵税率が適応されているかを確認する必要があります。
そもそもの話やな。
②製品にEPAの原産資格があるのか?
EPAの原産資格というのは、対象の製品が「本当に原産国で作られたものなのか?」ということです。
それには以下のような基準があります。
⑴ 完全生産品(WO)
⑵ 当該締約国の原産材料のみから生産される産品(PE)
⑶ 非原産材料を用いて加工された産品(PS)
この原産基準については別の記事で詳しく解説しようと思います。
今はこの3種類の原産基準があって、これらに当てはまっていると原産資格があり特恵関税が適用となると理解してください。
PSの理解がちょっと難しいんだよ。。
③原産地を証明する必要書類
EPAの利用には「特定原産地証明書」が必要です。
例えば日本―タイの場合でのEPAでは(JTEPA)は二国間の取り決めであり、その特典であるEPA特恵関税は日本やタイの現産品に限り適用されるからです。
日本とタイの二国間のEPAを使うのに、製品が中国製だと適用されません。従って当該物品が原産品であることを確認しそれを証明する必要があります。
当然やわなww
特定原産地証明についてはこちらの記事をご確認ください。
貿易での商取引で意識することの1つに関税があります。これにより製品の代金が関税により上がってしまい、輸入後に価格面での競争力がなくなってしまいます。 それを避けるために特定原産地証明書を使うのですが、これにより協定を結ん …
④船積みを証明する書類
船積み証明書(B/L)はEPAの特恵関税を適用させる為に必要な書類です。基本的には輸出国から輸入国まで対象産品の原産性を維持したまま輸送することが要求されます。
しかし第三国で蔵置、積み替えて輸送する場合などでは原産品の資格を失っていないことを証明する為に以下の書類が必要となります。
・通し船荷証券の写し *Through B/L
・加工などが行われなかったことを示す書類
(税関またはほかの権限を有する官公署が発給した証明書)
・その他(タイ)税関長が適当と認める書類 例:タイの場合
まとめ
EPA活用による輸出入の際に必須となる要件をよく理解すれば商品の付加価値を増し、顧客の信頼を高めることにつながります。
条件は色々ありますが協定や基準をしっかり理解できれば、ビジネスチャンスが広がるのではないでしょうか。
まずは自分の貿易取引商品が対象輸入産品で、EPA特恵税率が設定されているかについて調べるところから始めてみましょう。
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