三国間貿易について!
三国間貿易について動画で解説
7分16秒の動画解説やで!
今回は3国間貿易の流れについて解説をしていきたいと思います。
3国間貿易と聞くと「何か難しそう。。」と思われる人もいるかもしれません。
業界では通称「3国間」「仲介貿易」などと呼ばれていますが、主要な貿易形態のうちの1つです。慣れてしまえばそれ程 難しくありません。
輸入者、輸出者にとってメリットがある方法なので、貿易に携わっていれば3国間貿易を取り扱うことがよくあります。
ただし、輸入者と輸出者が直接やり取りをするときよりも更にプロセスが必要で 仲介する業者やフォワーダーは取扱いに注意しなければなりません。
三国間貿易の貿易形態
今回の動画では日本とアメリカでタイ産のマンゴーの取引をするという例で解説を進めていきます。
3国間貿易は輸出者、輸入者の他に第3国の仲介業者が間に入って取引を行う貿易形態なので この場合
輸出者がタイ
仲介業者が日本
輸入者がアメリカ
となります。
三国間貿易のカネ・モノの流れ
国際物流ではよくカネ・モノ・カミの流れが大切だと言われます。
3国間貿易では「お金」と「製品」の流れが少々異なります。
またそれに合わせた「書類」の流れが少しだけ煩雑で 慣れるまで難しいかもしれません。
それでは詳しく見ていきましょう。
お金の流れ
まずはお金の流れです。
仲介業者である日本と輸入者であるアメリカとの売買が決まり、アメリカが日本に代金を支払います。
そして日本から輸出者であるタイの業者に代金が支払われるという仕組みです。
この時に、日本からアメリカ向けに発行するインボイスには日本のマージンが乗っています。
商品の流れ
次に商品の流れです。
商品の流れに関しては輸出者から依頼を受けたタイのフォワーダーから、輸入者であるアメリカのフォワーダーへと商品が渡るようアレンジを行っています。
このときに製品そのものは仲介国である日本を通さずに、タイからアメリカへ直接運ばれます。
三国間貿易のメリット
3国間貿易では、間に仲介者を挟むことによって輸入者・輸出者の双方にメリットがあります。
輸出者のメリットは
・輸入者との交渉の手間が省け「販売促進」のための費用が削減できる。
・取引実績のある仲介業者を間に挟むことで、取引実績の少ない輸入者からの代金回収リスクを防ぐことが出来る。
輸入者のメリットとして
・仲介業者に取りまとめをしてもらうことで、自社だけで仕入れるより販売価格を有利に交渉してもらえる。
・輸出国から輸入国へ直接製品を輸送するので輸送コスト削減となる。
・製品は第三国を経由しないので、その分の消費税がかからない。
このようなメリットが双方にあります。
三国間貿易で注意すべき点
そして3国間貿易で仲介業者が気をつけることの一つは、輸入者に実際の仕入先が判明して将来的に直接取引を始められてしまうことです。
実際には仕入れ業者の情報が輸入者に開示されながら取引をするケースも多くあるのですが、今回は仲介業者が仕入れ業者を隠しながら取引を進めるという前提で解説をしていきます。
この時に使用する貿易のテクニックがあります。
それがスイッチインボイスとスイッチB/Lです。一つずつ見ていきましょう。
スイッチインボイスとは
まず最初にですが、輸出国であるタイのインボイスにはこのように書かれています。
・Seller:タイ
・Buyer:アメリカ
・Notify : 日本
輸出通関上、輸出国から輸入国へ直接製品が輸送されるため、タームがCIFの場合は製品の価格に加え 輸送量や保険料などが込みの請求金額が記載されたインボイスを使用して 申告することとなります。
このインボイスには日本のマージンが含まれていません。
そして仲介業者である日本がアメリカの輸入者に発行するインボイスはこのようになります。
・Seller: 日本
・Buyer: アメリカ
もちろん実際の仕入れ先であるタイの業者の情報はどこにもありません。このインボイスをスイッチインボイスと言います。
今回の解説では違いが理解しやすいように、意図的に金額を大きくしていますのでご了承ください。
もし最初の輸出通関用のインボイスが誤ってアメリカの輸入者の手に渡ってしまえば、日本の仲介業者からの請求金額との差額がわかります。
仲介業者がどのくらいマージンを乗せているのか判明してしまうので、
これは絶対にやってはいけないミスの一つです。
仲介業者と輸入者との信頼問題に繋がるので、フォワーダーにとってもインボイスの取り扱いは特に注意が必要となります。
スイッチB/Lとは
インボイスをスイッチして切り替えたように、輸入者に輸出者を知らせずに輸送するために、B/Lもスイッチしたものを使います。
このスイッチB/Lでは輸出者の社名に代わって、仲介業者の社名を記載するということが可能になります。
ではスイッチB/Lの仕組みを もう少し詳しく見ていきましょう。
まず最初に輸出国であるタイのフォワーダーからB/Lが発行されます。
この時のB/Lの記載はこのようになります。
Shipper: タイ
Consignee:日本
この時にB/Lに記載されている
積み地は輸出国(タイ)で
揚げ地は輸入国(アメリカ)となります。
そして、このB/Lの原本は日本の仲介業者に送られます。
次に仲介国である日本のフォワーダーがB/Lをこのようにスイッチして、このB/Lがアメリカの輸入者に送られます。
この時の変更点ですが
Shipper: 日本
Consignee: アメリカ
となります。
このようにスイッチインボイスやスイッチB/Lを使うことでアメリカの輸入者にタイの業者の情報を隠すことが出来るのです。
ちなみに積み地であるタイでハウスB/Lが発行された時の、マスターB/Lはこのようになっています。
Shipperはタイのフォワーダー
Consigneeはアメリカのフォワーダー
が記載されており、実際の貨物の流れと同じようになっています。
ハウスB/LやマスターB/Lの違いについては、この動画の概要欄に解説している動画のリンクを貼って置きますので、そちらも参考にしてください。
三国間貿易におけるB/Lと貨物の流れ
3国間貿易のB/Lと貨物の流れを見てみましょう。
まずタイでB/Lが発行され、日本に原本が送られます。
そして日本のフォワーダーによってB/Lがスイッチされます。
そのスイッチされたB/Lが日本からアメリカに送られます。
貨物が乗せられた船はその間に、積み地から揚げ地へと向かっていますので 近隣諸国に貨物を送る時の3国間貿易では B/L手配のスピードが重要になります。
原産地証明書
ここで3国間貿易の原産地証明についても解説をしておきましょう。
FTAやEPAを結んでいる国同士の貿易であれば、輸出国で原産地証明書を取得し 輸入国で提示をすると関税が優遇されます。
3国間貿易の場合でも、輸出国と輸入国がFTAやEPAを結んでいれば間に業者が入っていても適用は可能となります。
この場合、輸出国の「特定原産地証明書」が必要となります。
この時に注意しなければいけないのは、スイッチインボイスやスイッチB/Lで 仕入れ先である輸出者を隠していたとしても、輸出者の情報が原産地証明書には記載されます。
原産地証明書で輸出元が判明してしまうリスクを理解していないと、トラブルを生むことになってしまいますのでご注意ください。
まとめ
3国間貿易はメリットもあり活用されている機会が多いものですが、実務上 書類の取り扱いに注意が必要です。
書類送付ミスで情報漏えいとなった場合、輸出者と仲介業者が 客先である輸入者からの信用を失いかねません。
3国間貿易を進める場合は、各関係者と綿密なコミュニケーション、確認を取りながら進めていくようにしていきましょう。
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