ロシア・ウクライナ情勢で船舶燃料価格、最高値へ接近。邦船への影響!

どうもこんにちは、飯野です。

本日は海事新聞のニュースから、「船舶燃料油の価格が752ドルへ急騰、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫で、過去最高値に接近」についてお話していきたいと思います。

2022年2月17日イーノさんの物流ラジオ

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船舶燃料油、急騰

船舶燃料油の価格が急騰しています。

2月14日付シンガポール市場の低硫黄重油(VLSFO = Very Low Sulfur Fuel Oil)の価格は、前日に比べて20ドル高のトン当たり752ドルを付けました。

これは2年前に記録した過去最高値に接近しています。

ウクライナ情勢逼迫

ウクライナ情勢の緊迫化に伴うエネルギー需給の不透明感が油価を押し上げています。

シンガポールの低硫黄重油の価格は今年の年初に比べて、既に130ドル強上昇しています。2020年1月のSOx規制開始直後に記録した、過去最高値750ドル台後半に近づいています。

SOx規制について

SOx規制とは、船舶燃料による排ガスへの規制のことです。

この規制が出来るまで船は安価なC重油を使っていました。

C重油について

C重油は硫黄分濃度が高く、3.5%ほどで、ハイサルファーC重油とも呼ばれています。硫黄分濃度が高いC重油を使っているとPM2.5が発生してしまいます。

A重油について

よって、A重油(低硫黄重油 = ローサルファーA重油)を使いましょう、と規制したものがSOx規制です。

低硫黄重油の硫黄分濃度は0.5%でPM2.5が発生しにくくなります。

冒頭にお話しした低硫黄重油というのはハイオクみたいなもので、その価格が上がっています。

邦船の経営への影響

邦船3社(郵船・商船三井・川崎汽船)は、3月末までの燃料油のコストをほぼ確定させており、今期業績への影響は限定的であるとしています。

しかし、燃料油の価格高騰が長期化すれば、来期以降の収益を圧迫する可能性があると記事は報じています。

円安の影響

しかも、今は円安で、日銀が「指値オペ」で10年物国債を0.25%の利回りで無制限買取することにしたため、円安、ドル高になりやすい状況です。

重油燃料はドルで購入するため、円が安いと実質的に重油は更に高くなります。よって邦船の経営に影響してくるのではないかと思います。

A重油とC重油

また、C重油も値上がりしており、前日に比べて21ドル高のトン当たり536ドルです。

C重油は安いですが、規制されているためそのままでは使えません。C重油を使うには船にスクラバー(排ガス洗浄装置)が必要となり、それには1億円ほどかかります。

A重油とC重油の値差はトン当たり210ドル強あり、昨年の値差の平均は約120ドル/トンでした。

C重油を使用できるスクラバー搭載船の競争力が高まっていると記事にありました。

重油の種類

このラジオでは分かりやすく端折って説明していますが、実際に重油は3種類あります。

・高硫黄C重油(ハイサルファーC重油)
・高硫黄A重油(ハイサルファーA重油)
・低硫黄A重油(ローサルファーA重油)

ざっくり説明しますと、AもCも重油の値上がりがあり、安いC重油を使うにはスクラバーが必要となります。

つまり、スクラバーを持っている船を使っている船社が有利になる、ということです。

国際情勢、円安の動き

現在、サプライチェーンの乱れで運賃が高いですが、国際情勢の乱れで燃料費が上がるという可能性も出てきています。

貿易や国際物流に携わっている方は、ロシア・ウクライナ情勢や、円安が影響してくるという視点で、ニュースを見てみるのも良いと思います。