どうもこんにちは、飯野です。
本日は、「コンテナ船ONEがトヨタに次ぐ利益。一本足打法に懸念も」についてお話していきたいと思います。
2022年6月28日イーノさんの物流ラジオ
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ONE、トヨタに次ぐ高利益
日本郵船、商船三井、川崎汽船が共同出資するコンテナ船会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の業績が好調です。
2022年3月期の純利益は167億ドル(1ドル=112円換算で約1兆9000億円)と、前の期比5倍に拡大し、トヨタ自動車の2兆8501億円に次ぐ水準です。
ONEの利益規模
ただ景気の減速懸念が強まるなか、コンテナ船頼みの一本足打法には危うさも残ると報じられています。
ONEは事業開始から2年目の20年3月期に純利益が1億500万ドルと黒字化したばかりであり、それから2年間で160倍に急拡大しました。
親会社で利益規模が最も大きい日本郵船の1兆91億円を上回っています。
ONEの収益
前期はコンテナの積み高が増えておらず、増益要因のほとんどが運賃上昇によるものです。
ONEは世界的に見ても収益力が高いです。なぜなら、「ドル箱」といわれるアジア―北米航路の比率が3割と高いためです。
ONEの北米向け航路は21年3月期から満船が続いています。
成長戦略をどう進めるか、の課題もあります。
船会社の多角化
浮き沈みの大きいコンテナ船事業に頼るのはリスクが高く、世界の海運大手は事業多角化を急いでいます。
スイスのMSC(コンテナ船会社最大手)は22年3月、仏ボロレのアフリカ物流事業を57億ユーロ(約7,700億円)で買収しました。
マースクは2021年に香港物流会社LFロジスティクス、2022年には米物流会社パイロットフレイトサービスを買収すると発表し、4月には貨物航空機会社「マースクエアカーゴ」の設立を発表しました。
CMA-CGMも船以外の事業を買収しています。
ONE、コンテナ船事業に注力
これに対し、ONEは多角化と一線を画しています。
ジェレミー・ニクソンCEOは「環境戦略を主軸としておりコンテナ船事業に注力していく」と語っています。
親会社もONEの多角化に否定的です。
商船三井の社長は「ONEが次の成長を目指したいと真剣に考えた場合、物流や倉庫などの多角化は候補になるが、3社がすでに展開していて競争が発生してしまうため難しい部分が多い」と話します。
郵船ロジスティクス、MOLロジスティクス、K-Lineロジスティクス、と各社がロジスティクス会社を持っています。
ただ、コンテナ船事業への依存に危うさがあるのは否めないとしています。
足元で世界景気の減速懸念が強まっており、JPモルガン証券のシニアアナリストは「これから市況悪化が避けられない」と指摘しています。
ONEの成り立ちからの位置づけ
ONEは開示していませんが、海運3社の業績予想から推定するとONEの今期の純利益は3割減の約1兆4000億円前後となる見通しです。
6月の現時点では海上運賃は下落しています。
北米西岸の労使交渉の経過次第でまた潮目は変わってくると思いますが、今のところはどうなるか分かりません。
親会社の各社はかつてコンテナ船事業の業績変動の大きさに悩み、統合して持ち分法適用会社にすることでリスクを遠ざけましたが、無縁ではいられないとのことです。
3社がONEをどう位置づけるかが改めて問われています。
ロジスティクスのみの勝負の危険性
邦船3社がすでにロジスティクスの会社を展開しており、他の船会社と成り立ちの経緯が異なっているため、ロジスティクス一本足になっています。
コンテナ一本でこのままMSCに追いつこうとするのもかなり差があるので、規模で勝負するのは厳しいところです。
よって「環境」というポジションに注目していますが、これは他の船会社も意識して取り組んでいるところです。
業界のトップがトータルロジスティクスに力を入れ始めており、今後それがトレンドになると思います。
日本の輸送規模は大きくなく、日本を絡めた航路は強みではなくなっていくでしょう。
今後はアジア・東南アジアではなく、インドやアフリカが生産地になったり、もしくはニアショアがスタンダードになった場合、今の戦略がうまく機能するのかどうかが注目です。
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