どうもこんにちは、飯野です。
本日は、6月28日付の海事新聞から、「LNG船の新造発注が急増。半年で過去最高を更新」についてお話していきたいと思います。
2022年6月29日イーノさんの物流ラジオ
チャンネル登録よろしくお願いします!
LNG船発注急増
LNG(液化天然ガス)船の発注が急増しています。
英クラークソン・リサーチによると、今年に入ってからの新造LNG船の発注隻数は94隻となり、過去最高だった2021年1年間の発注量の86隻をわずか半年で更新しました。
カタール国営石油・ガス会社であるカタールエナジーが進める大規模なプロジェクトが具体化したほか、エネルギーの脱ロシア依存を進める欧州向け荷動き増加をにらんだ発注が増えているようです。
カタールエナジーのLNG増産プロジェクト
現在のカタールエナジーの生産能力は年7,700万トンで、2026年から設備を順次立ち上げ、年間3,200万トン増やす予定です。
別の大規模増産プロジェクトもあり、2027年の稼働を計画しています。
この2つのプロジェクトが完成すれば、カタールは国内で年1億2600万トンの生産能力を抱えることになり、現在、カタールと輸出国上位を争う米国やオーストラリアを上回る規模になります。
このプロジェクトがエネルギー上の地政学に影響を及ぼすのは必至と言われています。
カタールの輸出先
増産分のうちカタールは半分を欧州、半分をアジアに販売する方針です。
欧州はウクライナ情勢を受けてロシア産LNGからの脱却をめざし、カタールからの調達に注目しています。
そのカタールエナジーはLNGを輸送するための船を100隻ほど増やそうとしています。
EU各国の脱ロシア
他には、EU各国がロシア産天然ガスの輸入を減らし、北米などからのLNG輸入を増やすことも、LNG船の発注を促している模様です。
EUはロシア産天然ガスを主にパイプライン経由で輸入しています。
それを北米や中東、アフリカなどからの輸入に切り替えるには、海上輸送用のLNG船が必要になります。
価格と需要の上昇
こういった背景から、LNG船の価格も、約10%上がってきています。
資機材価格の上昇に加え、造船所の船の受注でLNG船と競合する大型コンテナ船の発注が増え、LNG船の受注余力が乏しくなっていることも船価を押し上げているようです。
欧州向けなどLNGの輸送需要の高まりが予想される中で、安定的な輸送手段を確保したいLNG船社は、7−10年の長期の用船契約をする会社もあるようです。
脱ロシアはいつまで?
脱ロシアということでLNGの調達に注目が集まっていますが、中長期的にはどうなるのでしょうか?
ロシアで政権が変わっても、LNGの取引は戻らないのか?と疑問もあります。
もしロシアとEUとLNGの取引が戻ったら、LNGの価格が急落し、船も持て余しちゃうのではないでしょうか。
その頃には他のクリーンエネルギー生産が増えていたりするかもしれません。
脱ロシアということでマーケットの動きが大きく変わっていると実感する記事でした。
貿易特化の転職サービス
もし現在 貿易の勉強をしている、貿易業界でお仕事をされているのであれば、是非 ご自身の市場価値を確認するために貿易特化の転職エージェントHPS Linkのコンサルタントご相談ください。ご登録・ご相談は無料です。