北米東岸向けの運賃が1年ぶり1万ドル割れ!SCの修正要請も!

どうもこんにちは、飯野です。

本日は、6月30日付の海事新聞から、「北米東岸向けコンテナ市況、1年ぶり1万ドル割れ。荷動き増も供給増で軟化か」についてお話していきたいと思います。

2022年6月30日イーノさんの物流ラジオ

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コンテナ運賃軟化

コンテナ運賃の軟化傾向が鮮明になってきています。

アジア発北米向けの短期(スポット)コンテナ運賃は、24日時点で西岸向けが40フィートコンテナ当たり7,384ドル、東岸向けが9,804ドルで、東岸向けが1万ドルを割り込むのは実に1年ぶりだということです。

4月から軟化傾向が続いていましたが、ここにきて落ち込み幅が大きくなっています。

需給環境も以前のように、ブッキングがなかなか取れないという状況ではなくなっています。

供給量の増加

一方、5月の北米東航コンテナ輸送量は前年同月比8%増の199万TEUとなり、単月実績では過去最高を記録しました。

荷動きは堅調なものの、サービス拡充に伴う供給量増で需給が緩んでいる模様です。

欧州調査会社シーインテリジェンスでは、5月下旬以降、北米向けの週当たり船腹供給量は、コロナ前の2019年(年率換算)に比べて10%以上も増加すると分析しています。

確かに、コロナ禍で最初コンテナが足りなくなり、コンテナを増やし、他の船会社もドル箱航路である、アジア北米間のサービスを増やしたため、供給は増えている状況です。

「もはや中国発で船積みのブッキングが取れないということはなくなっている。特に4月以降、船社から積んでくれと頼まれている状況だ」とある荷主関係者は述べています。

北米ピークシーズン

北米航路では昨年からの混乱もあり、各社ともすでにピークシーズン(繁忙期)入りで対応しています。

ただし、繁忙期にもかかわらず貨物が集まらず、足元では運賃を下げる動きが続出しているとのことです。

北米のピークシーズンは一般的に7−9月の10月の中国国慶説前までです。

SCでも価格修正

運賃軟化はスポットだけではありません。

一部ではサービスコントラクト(SC)を結んだ契約運賃でもブッキングが減少しています。価格に関するSCの修正要請も増加しているようです。

今はスポットレートの方が安いですが、SCを結んだフォワーダーや荷主はMQC(最低確約本数)があるため、MQC未達だとペナルティーや、次回以降のスペース獲得に影響が出てしまいます。

よって、SCを結んでいないフォワーダーが現在は有利かもしれません。

需要減退

ただ、これまで北米東航の荷動きを支えていた家具類などの需要減退を指摘する声も聞こえてきています。

消費財の貨物量も落ちつつあるという関係者もおり、潮の変わり目ではとの認識も増えています。

これは僕もラジオでお話しした内容です。北米での中古住宅の売れ行きが良くないため、家具などの需要は落ちています。

また消費も物よりサービスに以降しており、旅行が増えています。

エアーの需要軟化

これがエアーに至っては急下降しています。

コンテナ輸送の混乱によって好調だった航空貨物輸送でも、一足先に需給軟化の傾向が強まっています。

すでに日本発着の航空貨物市場は「今年3月が市況のピーク。今は需給軟化が鮮明になっている」と航空会社貨物部門担当者は発言しています。

フォワーダー集荷に苦戦

これまでに比べて状況が様変わりしているようです。

大手フォワーダーはこれまで、自前でチャーター機材を押さえていましたが、貨物量の急減で集荷に苦戦しています。

「フォワーダーは自社で確保したチャーター便を埋めるのに必死で、その余波が定期便に及んで貨物が集まらない」状況となっていると記事は締めくくっています。

上海ロックダウンから、工場が正常に稼働するまで1ヶ月はかかると言われていた。

日経新聞では北米の小売企業の在庫がすごいと報じていましたので、通常より仕入れボリュームは減る可能性が高くなっています。

また、北米労使交渉やヨーロッパでの労働者不足やストなどがどう影響していくか?というところがポイントです。

既にスローダウン作戦に入っており、いつもよりも作業ペースが落ちているのではないでしょうか。

北米西岸の船の沖まちが、どうなっていくかが、情報を更新していきたいと思います。