2022年7月物流ニュース!
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どうもこんにちは、飯野です。
本日は2022年7月の物流ニュースをお届けしていきます。
今回は大企業のニアショア戦略、欧州市場の動向、テクノロジー系のニュースを解説していきます。
それでは行ってみましょう!
ダイキン、メキシコに新工場!大企業のニアショア戦略
ダイキン工業がメキシコに約300億円を投じて新工場を建設します。
新工場は2024年に稼働し、延べ床面積約7万平方メートルで、2,000人規模を雇用し、省エネ性能の高い空調機などを米国に供給する予定です。
メキシコで生産する機種は、現在タイなどアジア拠点から米国に供給しているものです。
足元の輸送費高騰で、原価に占める輸送費の割合が機種によっては2割超に達しており、需要地のそばで生産するニアショア戦略で、安価な安定供給を目指します。
また、納期を6分の1程度に縮めることで、需要変動に強い体制を構築していくとのことです。
フランス・ルアーブル港でMSC子会社が約950億円投資!24,000TEU型にも対応
続いては欧州市場のニュースを3本続けてお届けします。
MSCの子会社でターミナル事業を手掛けるTiL(ターミナル・インベストメント・リミテッド)がフランスのルアーブル港に総額7億ユーロ(約962億円)の投資を行うと発表しました。
同社は今後6年間でガントリークレーンの増設やターミナルの拡張を行い、コンテナ処理能力を強化する予定です。
将来的には2万4,000TEUクラスの大型船舶にも対応するターミナルへと進化させることを目標としています。
欧州の港湾混雑が危機的レベル!需要減でも混雑大
インターモーダルオペレーターのContargoによると、北欧のいくつかのハブ港では混雑が危機的レベルに達しており、ターミナルから内陸部まで混雑が広がっています。
さらに、ドライバー不足、内陸部の鉄道やバージの運行停止など、輸入量の減少や経済状況の急速な悪化にもかかわらず、ボトルネックはさらに深刻化しています。
7月の第二週の待ち時間は、ロッテルダムで56時間、アントワープで51時間でした。
欧州の鉄道貨物も6月を通じて大きな混乱に直面しており、ドイツでは工事のため路線が閉鎖し、列車の発着に影響が出て、ネットワーク全体のバランスが崩れています。
CMA-CGMがフランス向けコンテナ運賃を750ユーロ値下げ!
仏船社CMA-CGMは7月22日、フランス国内の顧客に対し、輸入コンテナの運賃を1本当たり750ユーロ値下げすると発表しました。
8月1日からの実施となります。
対象者は中小企業を含めたフランスの全顧客で、CMA-CGMによると、750ユーロという値下げ額は、顧客によっては最大25%の値下げに相当するとのことです。
この他、仏発の輸出コンテナ貨物についても100ユーロ値下げします。
現在ヨーロッパの各地では、ロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇でインフレが起こっています。
このCMA-CGMの一連の施策は、仏政府の意向を受けたインフレ対策の一環と言われています。
アメリカでドローン宅配が急拡大!最短15分でお届け
最後にテクノロジーに関するニュースをお届けします。
米国でドローンを使った食品や医薬品の宅配サービスが急速に広がっています。
小売り大手ウォルマート、インターネット通販最大手アマゾンなどが相次いでサービスを提供しており、消費者の玄関先まで商品を届ける「ラストワンマイル」市場の争奪戦が熱を帯びています。
欧米系調査会社は、ドローン宅配の世界市場規模が年平均49%で拡大し、2025年に82億3,000万ドル(約1.1兆円)と2020年の約7倍に膨らむと予測しています。
解説コーナー
それでは、7月の物流ニュースの解説コーナーです。
先ずはニアショアのニュースです。
これまでタイに生産拠点を置いていたダイキンがメキシコに新工場を建設します。
同社は欧州でも、省エネ暖房機器の工場をポーランドに400億円を投じて建設すると7月上旬に発表しています。
ニアショア戦略の拡大
サプライチェーンの混乱で、生産を中国・東南アジアではなく、欧米に近い、メキシコや中南米で生産しようというニアショアの考えが広がっています。
メキシコには、自動車関係企業がコロナ前から拠点を作っていたため、材料を現地調達できる環境が整っています。
中南米はまだまだ技術が足りてはいませんが、メキシコは次の生産拠点として今後さらに企業が集まっていくかもしれません。
現在のような物流の混乱が将来も起きる可能性があり、需要地の近くで生産しようという流れが今後さらに大きくなるかもしれません。
マーケットは常に動いていますので、マーケットの流れを理解して、最適な行動が取れるようにしましょう。
フランスの港湾投資
欧州市場に関するニュースを3本お届けしました。
1本目はフランスの港湾投資のニュースです。
TiL(ターミナル・インベストメント・リミテッド)はフランスのルアーブル港に総額7億ユーロを投入し、稼働するガントリークレーンの台数を現在の2倍の20台に増設。
更に、6バース全てに新たに荷役機器を導入し、ターミナル内の保管能力を3倍に増強していきます。
また、電動荷役機器や船舶用の陸上電力供給設備も導入し、環境負荷軽減にも貢献していく見通しです。
将来的には現在の最大規模である24,000TEUのコンテナ船に対応できるターミナルを目指します。
これらの投資により、今後6年間で港湾労働者900人、メンテナンスに携わる労働者200人の雇用創出が見込まれているとのことです。
TiLのCEOは、「MSCからの貨物量の保証や港の成長と生産性を支える人材の提供という地元との合意の下、このような大規模な投資が実現した。」と述べています。
一方で港湾への投資については、日本はまだまだと思います。
大型コンテナ船が寄港するためには十分な水深が18mくらい必要となり、日本で18mの水深がある港は横浜港のMC3,4バースのみです。
この先、大型船が増えていったとしても、日本にはトランシップしか入ってこないことになります。
直接大型船が寄港できず、トランシップとなるとリードタイムも伸びます。
港に投資をしていない日本は、先進国にも関わらず、このままでは大型船は寄港できないのが現状です。
欧州の港、混雑悪化
続いては、欧州の港の混雑のニュースです。
Sea-Intelligenceのアナリストによると、ターミナル混雑の主な要因はスケジュールの信頼性の低さであるとしています。
5月のアジア-北ヨーロッパ間の定時運航の信頼性は25.7%で、わずか4隻に1隻だけがスケジュールから1日以内に到着しているということになります。
更に、北欧の港では今年、コールサイズが大幅に増加し、港湾に到着する船の量が増え、これがターミナルの処理能力に大きな負担をかけています。
コールサイズとは1回の寄港で船舶に乗り降りするコンテナの量のことです。
各船社は、便の調整や、輸出入トラックの移動に対して混雑追加料金を課すなどして、対策を講じています。
しかし、エネルギーと食糧の価格高騰がインフレと生活の危機を招き、欧州経済が打撃を受け、ヨーロッパの景気後退が勢いを増す一方、ハブ港の混雑を緩和する効果はほとんどないようです。
様々な要因で港湾の混雑が発生していますが、今後のクリスマス商戦に向けて、さらなる混乱が予想されます。
今後もヨーロッパの動向に注視が必要です。
欧州でインフレ広がる
CMA-CGMは、フランスの全顧客に対し、大幅な運賃の値下げを発表しました。
ユーロ圏の6月の消費者物価指数は前年同月比で8.6%増であり、フランス・スペイン・イタリアは過去最高のインフレ率です。
今回のCMA-CGMの施策はこのインフレ対策のフランス政府の意向を受けてのものとされています。
CMA-CGMはこれまで高いと言われていた海上運賃を自ら抑え、今年の利益を削っています。
収益体制として、CMA-CGMはAPIの解放でデータを売っているため、他の船社とは戦い方が違うのかもしれません。
CMA-CGMの動きに注目が高まります。
ドローン宅配の拡大
最後にドローン宅配の拡大のニュースです。
ウォルマートと提携しているドローンアップ社は、オンラインでの注文から平均22分で食料品や医薬品などを店舗から消費者の玄関先まで届けています。
1回の配達料は3.99ドル(約550円)で、数万点の商品の中から総量約4.5キログラムまで買い物できます。
同社のドローンは、現在は安全上の監視や非常時の手動制御を担うオペレーターが常駐していますが、「5年以内の無人化も可能」とみられています。
ドローン配送が普及すれば、物流業界が抱える慢性的な人手不足の改善も期待でき、CO2排出量の削減が見込まれるため、今後注目のテクノロジーです。
まとめ
今回のニュースはいかがだったでしょうか。
北米で労使交渉が進む中、欧州の港で混雑が発生し、物流のボトルネックが深刻化しています。
この物流の混乱の中、ニアショア戦略が拡大しつつあり、また、人員不足をカバーできるテクノロジーも広がっています。
幅広く情報を取り、動きの速いマーケットに対応していけるようにすることが大切だと思います。
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今回は以上となります。どうもありがとうございました!
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