「海上輸送におけるマニフェスト」について!!
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どうもこんにちは。飯野です。
今回は海上輸送の実務で登場してくるキーワード、「マニュフェスト」について解説をしていきたいと思います。
マニフェストとは
貿易事務・実務を経験されている方なら、海上輸送で「マニフェスト」という言葉を耳にする機会があるかと思います。
マニフェストとは、船にどんな貨物が積まれているかが記載されている明細書のことです。
飛行機でいうと、どんな人がその飛行機に乗っているのかが記載されている乗客名簿のようなものです。
マニフェストの役割
海上輸送におけるマニフェストには、揚地側(輸入側)の税関にどんな貨物が運ばれてくるのかを事前に知らせるという役割があるのです。
特に、2001年に起きたアメリカ同時多発テロにより、アメリカが「船積24時間前のマニフェスト提出ルール」を義務付けるようになったことから、マニフェストは各国でもテロを未然に防ぐために重要視されるようになりました。
マニフェストの活用
税関は輸出入貨物の許認可の可否を判定する国の機関であり、その名の通り「関所」としての役割を担っています。
その税関がテロ行為に使用される疑いのある貨物を事前に特定し、それらの貨物が輸入されないよう、マニフェストを活用しています。
マニフェストの記載内容
ここで、海上輸送におけるマニフェストにはどのような情報が記載されているのか、確認していきましょう。
マニフェストには、大きく分けて2つの情報が記載されています。
本船の情報
まず、1つ目に「本船の情報」です。
この本船の情報として記載されている内容は次の2つです。
・貨物を積んでいる本船名
・貨物を積んでいる本船の国籍
「本船の国籍」とは、私たちに国籍があるように、船にもどの国に所属しているかの「船籍」があります。
貨物の情報
2つ目には、「貨物の情報」で、最も重要です。
貨物の情報は主に以下の内容が記載されています。
・コンテナの種類 (Container type)
・コンテナ番号.とシール番号. (Container No & Seal No)
・船荷証券番号 (Bill of Lading No)
・シッピングマーク (Marks & Nos)
・品名 (Description of Goods)
・梱包の種類 (Kind of Packages)
・貨物の数量 (Number of Packages)
・総重量 (Gross Weight)
・容積 (Measurement)
・仕出地 (Place of Shipment)
・仕向地 (Place of Destination)
・荷送人 (Shipper)
・荷受人 (Consignee) などです。
これらの貨物の情報は、B/Lに記載されている内容です。つまり、マニフェストはB/Lの内容を基に作成されています。
マニフェストの流れ
さて、海上輸送におけるマニフェストは誰が作り、どのようにして揚地の税関に送られるのでしょうか。
ここで、マニフェストの流れをご説明します。揚地によって異なることもあるので、ご注意ください。
船会社がマニュアル作成
先ほどでもお伝えした通り、マニフェストはB/Lの内容を基に作成されます。B/Lは貨物を積んだ船の船会社が発行します。
つまり、B/Lの情報を管理している「積地側の船会社」がマニフェストを作成するのです。
積地側船会社~揚地側船会社代理店~税関
作成されたマニフェストは、積地側の船会社から揚地側の船会社代理店に送られます。そして、揚地側の船会社代理店から税関へと送られます。
尚、積地側の船会社から直接揚地側の税関にマニフェストを提出する場合もあります。
24時間ルール
マニフェストには、冒頭でお話しした通り、「24時間ルール」というマニフェストの提出期限があります。
これは、貨物が本船に積まれる前、または貨物を積んだ本船が港を出港する24時間前までに揚地側の税関にマニフェストを提出するよう、アメリカをはじめ、カナダや欧州などの税関がテロ対策の一環として義務付けたルールです。
マニュフェストの注意点
マニフェストの注意点もお伝えしておきましょう。
マニフェストはB/Lの内容を基に作成されるので、もしB/Lの内容が実際の貨物の情報と違いがあった場合、マニフェストも実際の貨物の情報と異なってしまいます。
このようなことが起きると、揚地側での輸入通関の際に税関から輸入者へ確認が入り、通関がスムーズに行われない場合があります。
このようなことが起きぬよう、B/Lの基データを作成するのは荷主(SHIPPER)ですので、早めにACLやD/Rに必要な情報を送っていただけるよう、また内容に間違いのないよう、荷主への協力を仰ぐことが一番大切です。
また輸入通関用のI/V、P/L、その他現地で必要なライセンスやC/Oなどにもマニフェストと相違がないか、荷受人と荷主とで確認する必要もあります。
マニフェストの訂正
B/Lとマニフェストの内容に訂正が必要になった場合、時間と費用がかかります。
「B/Lが発行された」 = 「マニフェストが揚地の船社代理店へ送信が完了された」ということになります。
マニフェストは通常、港から本船が出港するとロックされます。ロックされるというのは、揚地側の船会社代理店でマニフェストの情報が取り込まれ手配が進むと、船会社代理店の許可なしでは貨物の情報を訂正することが出来ないということです。
そのためロック解除に時間を要することがあります。
その為「B/Lの内容を訂正する」=「マニフェストの内容も訂正が必要」ということになります。
両者の内容を訂正するには、訂正料が発生します。
マニフェストの訂正料
B/Lとマニフェストの訂正料は船社によって料金が異なります。また、マニフェストの訂正に掛かる費用は積地側だけではなく、揚地側でも発生する場合があります。
その場合、予定していなかった揚地でのマニフェストの訂正料を誰がもつのかと輸入者ともめることも少なくありません。
このような問題が起きないよう、B/Lの内容の訂正が必要となった際は、船社へ事前にB/L訂正料と併せて積地と揚地の両方のマニフェスト訂正料についても確認しておいた方がよいでしょう。
B/Lの内容に注意
揚地が韓国や中国といった近海の場合は、B/Lやマニフェストを訂正している間に船が到着してしまうことがあります。
貨物は到着しているのに、輸入者の手元にB/Lがなく輸入通関の手配が出来ない、マニフェストの訂正に時間を要し輸入許可がおりないといったことで、輸入者がなかなか貨物を引き取れないという事態になり兼ねません。
荷主は、正確にマニフェストの情報が税関へ送られるためにも、B/Lの内容に細心の注意を払って作成することが重要になります。
まとめ
これまでの海上輸送におけるマニフェストの内容のポイントをまとめておきましょう。
マニフェストは、
1.国の安全対策に活用されている
2.B/Lの内容がマニフェストの情報となる
これまでの説明の通り、マニフェストの内容に不備があると、後々、船会社、税関、場合によっては輸入者といった色々な関係者に追加の作業・時間・費用などが発生し、貨物の流れ・国の安全対策に影響をきたします。
マニフェストの情報は重要なだけに、マニフェストの基となるB/Lの内容の取扱いに気を付けながら、業務を進めていきましょう。
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