北米FOMCの発表への考察と、インフレ圧力による倉庫費用上昇。2022年の海運市況は?

どうもこんにちは、飯野です。

今日は、ウォールストリートジャーナルから、「北米のインフレ圧力が倉庫リースに打撃を与える」という記事についてお話ししていきたいと思います。

2021年12月16日イーノさんの物流ラジオ

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北米、不動産賃貸料上昇

不動産会社のCBREグループが発表したレポートによると、現在のB2B用不動産の賃貸料(倉庫など)は、5年前に比べ平均25%上昇しています。

同社の産業・物流部門のマネージャー曰く「B2B用スペースに対する需要の緩和は見られず、これほど高い上昇を見たことはない」とのことです。

現在のアメリカ国内の平均空室率は3.6%で、2002年までのデータで最も低い水準となっています。

南カリフォルニアでスペース逼迫

更に、南カリフォルニア(LA、LB)の主要な流通拠点では特にスペースが逼迫しており、空室率は、最近では0.7%まで低下しています。

この南カリフォルニア地域の今年の第3四半期の賃貸料は、前年同期比で10.4%増加しており、2016年のリースの料金より60%以上高くなっています。

そのため、リース満了時に、借りているテナントに対して大幅に値上げをしています。

サプライチェーンの乱れによる倉庫需要の増加

北米では、多くの小売業者やメーカーは、サプライチェーンのコスト上昇を顧客に転嫁しており、これが現在の高水準に達したインフレを助長しています。

サプライチェーンが乱れているので、流通を安定させる為に倉庫を使用することになります。

乱れていない時はコンテナで輸入し、そのまま工場や配送センターに送ることが出来ていました。

しかし今はドライバー不足、シャーシ不足、積み下ろしのマンパワー不足、内陸の鉄道目詰まり、更には在庫を多く持ち始めている、などの問題から、コントロールできないことが多いため、中間地点として倉庫を使っています。

記事は「消費者の需要が旺盛であり続ける限り、一過性のものではない」と報じています。

インフレが続くアメリカ

アメリカの11月のCPI(消費者物価指数)が前年比の6.8%上昇、PPI(生産者物価指数)が前年比の 9.6%上昇で、アメリカはインフレの真っ只中にいます。

物価が上がり続けても、給料が同時並行で上がるわけではないので、消費者側はその物価上昇に追いつくことはできません。そのため、消費は一旦ペースダウンするのではと個人的には考えています。

今日の日経新聞のニュースで、今年最後のFOMCがありFRBが早期の利上げを表明し、2022年3月あたりに3回行うとしています。

2022年の海運市況

コロナの影響で落ちていた雇用も既に回復してきています。雇用も回復し、労働者にお金がある状態ですので、利上げでインフレが落ち着いていけば、物の消費はまた増えていくでしょう。

このような状態になれば、引き続き貨物は中国から出続けてスペースに余裕はなくなり、コンテナ船社は、中国を優先してきます。

来年度は新造船の竣工が少なく、物理的に供給は少ない状況が確定しています。来年も大変な状況が続くというのが個人的な感想です。

サプライチェーン全体の動きも含め、今後も情報を発信していきたいと思います。