どうもこんにちは、飯野です。
本日は、11月17日付の海事新聞の記事から、「自動車船の需給逼迫で、中国船社が新車をコンテナで輸送」についてお話していきたいと思います。
2022年11月17日イーノさんの物流ラジオ
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RORO船需給逼迫
完成車を運ぶ自動車船(RORO船)の船腹需給が逼迫する中で、新車をコンテナで輸送する動きが出てきました。
それを今回実行するのは中国船社のCOSCOシッピングです。
中古車はコンテナ船で運ばれることも多いですが、新車を運ぶのは珍しいです。僕も実務でRORO船が足りず、何とかしてくれという依頼があり、リアルに足りてないと感じています。
コンテナ船で新車輸送
コンテナで新車を運ぶ動きが出てきたのは、荷動き回復とトレード変化で自動車船の船腹不足が継続し、荷主の輸送需要に十分に応え切れないためです。
日本からの9月の新車輸出は前年同月比85%増の約37万台となり、半導体不足などによる減産の影響は和らいできています。
他にも建設機械の輸送需要も旺盛であり、また中国発の荷動きの伸びも顕著になってきています。
一方で、自動車船の供給の伸びは限定的です。
自動車船の供給伸び悩み
新型コロナウイルス感染拡大直後の荷動き急落を受け、高齢船の解撤が進み全体の船腹量は減少しています。
先行き不透明感から投資が手控えられた時期があり、新造船の供給も2022―23年は15隻程度にとどまっています。
コンテナ船は沢山作られていますが、RORO船への投資は進んでいませんでした。
その結果、船腹需給が引き締まり、一部では積み残しも発生している模様です。
特に、輸出を急拡大させている中国の荷主が輸送スペースの確保に苦慮しています。
中国における新車輸送
中国の海運会社は自国の自動車メーカーの輸送需要に応えるため、コンテナ船だけでなく、多目的船でも完成車を輸送しています。
COSCOは今夏、製紙原料用パルプ輸送に投入する6万2000重量トン型多目的船で、商用車1100台以上を南米に輸送した実績があります。
コンテナでの新車輸送が中国以外に広まるかどうかはまだ不明です。
日本の海運関係者は「コンテナ船のスペースは確保しやすくなっているかもしれないが、新車の高度な輸送品質ニーズに対応するのは困難」と語っています。
今後、自動車船の需給逼迫が緩和する可能性もあるとのことです。
自動車販売市場の行方
利上げに伴う景気減速で、自動車販売市場が鈍化することも予想されています。
船腹需要を左右する自動車販売市場の行方が注目されています。
中国の自動車輸出量の増加
同時に注目をしたいのが、中国が自動車輸出でドイツを抜いて世界2位になったということです。
一位は日本です。
中国車の競争力が高まっています。中国車の輸出先といえば、かつては発展途上国が主でしたが、現在は大半が先進国となっています。
中国税関総署によると、22年1〜8月の中国車の輸出額上位10カ国は米国、メキシコ、日本、ベルギー、英国、ロシア、ドイツ、韓国、オーストラリア、サウジアラビアの順でした。
中国の高級車市場への参入
中国のとくに純電気自動車(BEV)などの輸出価格は、年々上がってきています。
2018年の2000ドル(約29万円)から2020年には1万1000ドル(約160万円)、2022年には1万9900ドル(約280万円)となっています。
更に2022年8月には2万5800ドル(約370万円)へと大幅に上昇しました。
中国のEVが段々と高級車市場にも入っていっています。
日本の自動車産業への影響
怖いのは、RORO船の供給量が限定的なので、中国に買い負けるかもしれないというところです。
日本の自動車メーカーがリスクを負って新車をコンテナ輸送するかというと、可能性は低いように感じます。
もしRORO船を買いまけて、コンテナ輸送もしないとなると、日本の自動車産業はどうなるんだろうか?と思った記事でした。
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