北米メーカー、ニアショア戦略が不発か?サプライチェーン改革実現遠く。製造拠点シフトへの課題。

どうもこんにちは、飯野です。

本日は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事から「北米企業が、生産拠点の近接化に苦慮」についてお話していきたいと思います。

2022年4月21日イーノさんの物流ラジオ

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ニアショア戦略

サプライチェーンが世界中で乱れて、欧米諸国では生産拠点をアジア・東南アジアではなく、自国に近いニアショア戦略を取ろうとしています。

以前の放送でもお伝えしましたので、リンクを貼っておきます。

北米メーカー、メキシコ・中南米からの調達増加!アジア地域からの仕入れ減少。生産拠点をより自国の近くへ。

専門家によると、それは生産に関する問題を身近なものにするだけかもしれないと、専門家は指摘しています。

製造拠点のシフトの困難さ

サプライチェーンの乱れがあったため、米国の輸入業者はアジア太平洋地域からメキシコ、さらに中南米へと調達のシフトを検討しています。

しかし、中国や東南アジアなどの製造拠点で、既に確立された適切な原材料、生産品質、独自の部品を調達するネットワークを持つサプライヤーをメキシコや中南米で見つけることは簡単ではないようです。

ニアショア戦略のもとで現在の生産能力を再現し、サプライヤーを再形成するには、何年もかかると専門家は指摘しています。

また、ある専門家は「中国は、基本的な部品から高度な部品まで、あらゆる種類のナットやボルトの唯一最大の市場であることは否定できない。このようなエコシステムは、世界のどの国でも再現することは不可能」と述べています。

生産のインフラ

フロリダ州拠点を置く寝具メーカーは、サプライチェーンの混乱に備え、メキシコや中米からの調達を検討しています。

しかし、それほど高価でない綿や合成繊維などを、現在の調達先である中国、パキスタン、インドで大規模に生産されている生地と比較すると、素材を手に入れるのに苦戦している模様です。

担当者は、ラテンアメリカ(メキシコとか中南米)では、「現在の中国・インドなどのグレードの材料を低コストで生産するためのインフラが中南米にはまだない。」としています。

新しい生産拠点への投資

更に、「ニアショアと地域調達の開発の一環として、資金投入と原材料の入手可能性に目を向ける必要がある」と続けています。

中国やインドなどでは、大量生産しているため、コストが安くなっていますが、中南米では、まだそれほどの生産量がありません。現時点では品質も低く、価格も高いのが現状です。

長年にわたって構築されたサプライチェーンを変更するには、特に原材料や、部品の入手や輸送の面で、複雑な作業となるだろうということです。

メキシコへの製造拠点シフト

メキシコシティに拠点を置くコンサルティング会社は、この1年で「ニアショアを試みる北米のクライアントの数が驚くほど増えた」と述べています。

事実として問い合わせは増えているようです。

メキシコは米国に近く、既存の製造インフラや貨物輸送網が整備されていることから、新しい生産地としてのターゲットとして選ばれています。

アジアの製造拠点の再現

そのメキシコのコンサル会社が、米国の製造業経営者を対象に行った最近の調査があります。

70%が製造拠点のメキシコ移転を計画、検討、または期待しているにもかかわらず、すでに移転しているのは17%に過ぎませんでした。

「多くの企業は、メキシコの生産能力が逼迫していること、更にプラスチック製品の高価な金型は中国から輸入する必要があるなど、多くの企業で特定の設備や部品が現地で作れないことが分かってきた」とメキシコのコンサル会社の人は発言しています。

メキシコの生産能力はまだ高くないため、すぐに逼迫するのかもしれません。更に、まだ技術も中国に比べて高くはなく、作れない部品もあります。

ある北米のメーカーは、メキシコという「選択肢はない」と述べています。

アジアの製造拠点に見られるようなサプライヤーネットワークや原材料の入手しやすさを再現するには、何年もかかるかもしれないと記事は報じています。

中国の品質は現在では十分に高いですが、ひと昔前はそうでもありませんでした。ネット通販している知り合いは、中国からの輸入品の7割が不良品だった時もあると言っていました。

しかし今は変わり、だんだんレベルが上がってきています。

例えば電気自動車関連では、優秀な人材を破格の待遇で引き抜いているようです。基本的にはお金が集まるところに優秀な人材も集まり、製品のレベルが上がっていきます。

今後のマーケット

メキシコや中南米はまだまだこれからで、今後、投資が進むかもしれません。

すぐに生産地が切り替わるということはありませんが、今はそういう流れで進んでいます。

今後どのようにマーケットが変化していくのかはわかりませんが、こういう時はある種のビジネスチャンスなので、メキシコを攻めるのもありかもしれません。

今後も情報をアップデートしていきます。