貿易取引における決済方法 1 – L/C, D/A, D/P
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貿易取引における決済方法 1 – L/C, D/A, D/P について!

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どうもこんにちは、飯野です。

今回は貿易取引における決済方法について、解説していきたいと思います。

荷為替手形決済

貿易における決済方法は、大きく2つに分かれます。

銀行が輸出者と輸入者との間に入って代金の立替えをするかしないかによって、「荷為替手形決済」「外国為替送金決済」に分かれます。

今回の動画は「荷為替手形決済」を中心に解説をし、「外国為替送金決済」は別の動画で解説することにします。

荷為替手形とは

荷為替手形とは、為替手形という輸出者が輸入者に商品代金を支払うよう指示した手形に船荷証券(B/L)や輸入国での通関に必要なInvoice, Packing Listなどの船積書類を添付したものです。

そして荷為替手形には、「信用状付手形」と「信用状なし手形」があります。

海外とのビジネスのリスク

海外の企業とビジネスを行う貿易取引には、さまざまなリスクがつきものです。

例えば

・国の違いによる、言語・法制度・経済状況などによるリスク
・貨物の損害リスク
・為替変動のリスク
・信用性のリスク
・代金回収のリスク
・商品入手のリスク
・資金負担のリスク

今回のテーマ「決済方法」に焦点を当てる場合、「信用性のリスク」と「資金負担のリスク」に注意をしなければいけません。

なお、為替変動のリスクも大きいのですが、為替予約を行うことでリスクを回避できるので、今回は割愛しますね。

信用性のリスク

まず「信用性のリスク」です。

信用性のリスクは相手先の経済状況などの情報が把握しにくいことから信用上の不安を持ち、契約を進めても問題ないかの確証が持てないことです。

もし相手側の信用状態を把握しないまま契約を結んでしまうと、資金繰りの都合で決済が遅れる、などのトラブルが起こる可能性があります。

確実に代金回収を行うためには、ビジネスを始める段階から信用調査機関などを利用して相手先の信用状態を把握することが大切です。

資金負担のリスク

次に「資金負担のリスク」とは、前払い・後払いかの決済方法により、輸出者または輸入者が代金を立て替えることで、どちらかが一方的に資金を負担するリスクのことです。

輸出者と輸入者ともに、資金運用を滞りなく回すために双方が交渉をしてなるべくリスクを負わない決済方法で契約します。

リスク回避の決済方法

貿易取引において、これらの2つのリスクを回避できるのは、「信用状付荷為替手形決済」- 通称 L/C決済です。

信用状と荷為替手形を組み合わせることで、輸出者・輸入者双方の負担を軽減させることができます。

貿易取引における決済方法

次に貿易取引で利用される代表的な決済方法についてご紹介していきます。

・信用状付荷為替手形決済(L/C決済)
・信用状なし荷為替手形決済(D/A、D/P決済)

そして、これらに加えて「外国為替送金決済(T/T決済)」もあるのですが、別の動画で解説しますね。

それでは、それぞれのメリット・デメリットを含めてみていきましょう。

信用状付荷為替手形決済

まず「信用状付荷為替手形決済」です。これは一般的にL/C決済と呼ばれています。

輸出者が信用状条件に記載されている書類を銀行へ呈示することを条件に、銀行が輸入者に代わって商品代金の支払いを確約する決済方法です。

銀行へ提出する書類が信用状の内容と相違があれば、支払いが行われない場合があります。

L/C決済のメリット

メリットは、信頼性の高い銀行が輸入者に代わって代金を支払ってくれるため、輸出者は安心して取引ができます。

ここで注目すべきは、輸出者は輸入者からの代金決済を待たずに、輸出地で荷為替手形を呈示すると代金を回収できるということ。

輸出者は少しでも早く商品代金を受け取りたいので、L/C決済は輸出者側にとって安心な決済方法と言えます。

L/C決済のデメリット

デメリットは、銀行が間に入ることで高い手数料が発生すること。

また、書類に不備(ディスクレ)があれば、決済に時間がかかり、同時に輸入者も船積書類を受け取るのが遅くなってしまうことも難点です。

信用状なし荷為替手形決済

次に「信用状なし荷為替手形決済」です。

これには

D/A決済(引受時書類渡し:Documents against Acceptance)
D/P決済(支払時書類渡しDocuments against Payment)

の2種類の決済方法があります。

輸入者に手形を引き受けてもらう(Acceptance)か、決済してもらう (Payment)か、いずれかの方法で輸出者は代金を回収します。

D/A決済

D/A決済は、輸入者が手形期日までに支払いを引き受けることを条件に船積書類を引き取ることができる条件のことです。

輸入者は手形に記載されている期日まで支払いが猶予(期限)されていることから、期限付手形(ユーザンス手形)とも言われています。

そして支払日の記載には、次の2種類があります。

D/A決済の記載

D/A決済の支払い日の記載の一つは

・一覧後定期払い

「At ○○ days after sight」と記載されていて、輸出者が○○の日数を設定します。

輸入者は手形を引き受けた日から○○日後に支払う義務がある、ということが明記されています。

D/A決済の支払い日の記載のもう一つは

・確定日後定期払い

「At ○○ days after ×× days」と記載されていて、××にはB/L dateなどの確定日が設定されていることが多いです。

輸入者は××に表記された確定日以降の○○日後に支払う義務がある、ということが明記されています。

D/A決済のメリット・デメリット

D/A決済のメリットは、輸入者にあります。

なぜなら、輸入者は決済前に船積書類を入手し商品を受け取ることができるからです。

一方で、輸出者からすると、輸入者が手形を引き受けた時点で商品所有の権利が移ってしまうので、輸入者の信用度だけがよりどころとなるリスクの高い決済方法です。

D/P決済

次にD/P決済について説明をします。

D/P決済は、荷為替手形の決済をすれば輸入者は船積書類を引き取ることができる条件のことです。

手形を決済(一覧)しないと書類を受け取れないことから、一覧払手形(At Sight手形)とも言われています。

D/P決済のメリット・デメリット

D/P決済のメリットは、輸出者にあります。

なぜなら、輸入者が決済を行わない限り書類が渡されることがないので、代金回収リスクを避けることができ、商品も輸出者側の所有となるからです。

逆に、輸入者は商品を受け取る前に支払う必要があるので資金を負担することになります。

決済方法の選び方

D/A決済とD/P決済は、L/C決済と異なり、輸出者が荷為替手形を銀行へ提出しても、すぐには代金を回収することができません。

そのため、輸出者の立場からすると輸入者によほどの信頼がない限り避けたほうがいいかもしれません。

特に初めての取引ではリスクを考慮してL/C決済を利用するケースが多いです。D/AとD/P決済を行う場合は、包括保険への加入を検討するようにしましょう。

もし「コストを少しでも抑えたい」、「取引相手との信頼関係がまだ築けていない」、「書類の取引はややこしいから避けたい」という場合は、L/C決済やD/A・D/P決済ではなく、外国為替送金(T/T決済)の方がスムーズです。

外国為替送金についてはまた別の動画で解説させて頂きますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は海外と取引を行う上で重要視すべき決済方法について解説しました。

初めての取引で不安のある場合はL/C決済、また取引になれた企業間ではD/A、D/P決済をするというように取引に合わせた決済方法を上手く選択することが大切です。

今回ご紹介した決済方法のメリット・デメリットを理解し、ビジネスが有利に働くように心がけましょう。

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今回の内容は以上になります!ありがとうございました!


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飯野飯野

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