どうもこんにちは、飯野です。
本日は海事新聞のニュースから、「世界最大のコンテナ船社、MSCジャパン社長・甲斐督英(かい・まさひで)さんのインタビュー記事」をご紹介したいと思います。
2022年2月22日イーノさんの物流ラジオ
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MSC、海運業への投資
2022年1月、スイス船社MSCはコンテナ船の船腹量で世界トップの座に就きました。MSCは積極的な船への投資により、供給力を維持しています。
競合他社が航空など事業多角化に乗り出す中、主力の海運業での供給責任を果たすことに重きを置いています。
この1年強で約150隻の船腹を購入しました。
MSCジャパン社長インタビュー
MSCジャパンの社長は「われわれは船会社である。顧客の要望があれば、通関・内陸輸送などもパートナーを通じて提供できるが、あくまで海上輸送が中核だ」と述べています。
質問:コロナ禍からの市場をどう振り返るか?
国際物流混乱の主な要因は港湾混雑です。
北米西岸が特に注目されていますが、実際には欧州、アジア、全ての主要港で混雑が悪化しており、北米も東岸、ガルフ(フロリダ – 東南)の地域にも混雑が波及しています。
MSCジャパンの社長は「ここが変わらない限りは、状況は改善しない」と指摘しています。
日本港湾の状況
そんな中、日本港湾はこの状況でも混雑が少ないです。
荷量の問題もありますが、生産性の高さ、労働者の勤勉性といった、日本市場の強さが出ていると言えるとおっしゃっています。
サービス品質の改善
ここからが面白い話なのですが、コンテナ輸送は、サービスを買う側がサービス品質を改善できる、とMSCジャパンの社長は述べています。
例えば、港湾混雑を解消するために、早期の貨物引き取り、コンテナ返却などをすることで、ネットワーク全体の質を向上できます。
逆に、不必要に前倒しでコンテナを確保するといった行動は、コンテナの稼働率を下げ、結局は自社に提供されるサービスの質を低下させることに繋がると指摘しています。
サービスを購入する側の協力
在庫を用意していない店が良くない、と言う話ではなく、全体のことを考えて購入すれば、全体に安定して供給できるイメージだと思います。
「サービスを提供する側の責任が大きいのは当然だが、購入する側ができる部分も大きいということを理解いただき、サービスを改善していきたい」とおっしゃっています。
質問:日本市場での輸送量はコロナ禍前の19年と比較してどうだったか?
残念ながら「現在はコロナ前の水準に戻した」という程度であり、大きくは伸びていない、としています。
グローバルな市場ではMSCのシェアは約17%あり、日本では、グローバルのシェアには至っておらず、その分、供給能力に余裕はあります。
荷主にとって何が重要か
「今、荷主企業にとって何が重要なのか。「運賃」か、それとも「運ぶ」ことなのか」と述べています。
運びたいという顧客に対しては、まだスペースを提供できる余地があるとのことです。
ただ、その場合はアジアなど他のマーケットと競合できる健全な運賃水準である必要はあるだろうと続けています。
健全なマーケット
これまで日本の市場は安すぎ、他のマーケットと比べて安いと船社もそこにコンテナスペースを供給する意味がなくなります。
特に外資の船会社なら尚更です。
質問:今期の入札動向は?
今期交渉も「どれだけのスペースが出せるか」というのが核心部分であるとし、そこの合意ができれば、海上運賃は別途交渉することが可能であると続けています。
スペースに関する合意が遅れると、その荷主は最終的に、さらに高い運賃水準でスペースを探すことになる可能性もあります。
日本の運賃への意識
これは、MSCが高飛車になっていると言う話ではなく、単純にマーケットの需要と供給の話です。
先日、同業者さんとの話で、日本の大手荷主が、未だに海上運賃を叩いてくるという話になりました。コロナ前と同じで、運賃は叩けば何とかなると思っているかもしれません。
MSCは特に船に大きな投資をしており、そこに対し極端に叩きすぎるというのは、極端な話、船会社をつぶすことにもなりかねます。
これに関しては、色々と物申したいことがありますので、また別の機会にお話ししようと思います。
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