どうもこんにちは、飯野です。
本日は海事新聞の【記者の視点/岬洋平】コラムから、「コンテナ運賃市況の軟化は一時的で、高止まりを念頭にしている」についてお話していきたいと思います。
2022年4月11日イーノさんの物流ラジオ
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スペース優先姿勢の荷主
今年のサービスコントラクトの交渉も、既に終盤戦に入りました。
大手BCO(実荷主)と船社の交渉では、運賃自体が争点にならなかったとのことです。荷主のスペース優先姿勢が顕著で、例年になく、複数年契約を求める荷主が多かったようです。
中小荷主、コスト増受け入れ困難
しかし、国際輸送業務に多くの人手をかけられない中小荷主などでは、適切な判断ができなかったケースもあります。
荷主の物流担当者は状況を理解していても、生産・営業など他部門に、大幅なコスト増を理解してもらえず、船社やフォワーダーの担当者に「もう少し何とかならないか」と再交渉を持ちかけていました。
船社・フォワーダー側にしてみればそのレートで積む荷主がいるため、「その価格だと積めません」と断らざるを得ない状況です。
悪循環に陥る企業も
そうこうしている間にスペースはさらに絞られ、船社やフォワーダーからの提示額はさらに上がる、という悪循環に陥った荷主もいました。
外資フォワーダーの方は「相当情報提供をしてきたつもりだが、まだ状況を分かっていただけない荷主さんがいる」と述べています。
僕もYouTubeなどの発信活動でかなり言ってきたつもりですが、まだまだ伝わっていないと認識しました。
スペース不足、運賃高止まりの解消は
コンテナ物流関係者の最大の関心事はスペース不足と運賃高止まりの解消だと思います。
4月5日付で海事新聞では「コンテナ運賃、欧米向け軟化続く」と伝えています。
見出しだけみると、「高騰した運賃がようやく下落に向かうか」と思うかもしれませんが、「軟化」と言っても上海発北米東岸向けスポット運賃指標はまだ1万ドル超の水準です。
更に、3月末からの上海でのロックダウンが生産・出荷の制約になっています。ロックダウンが解除されれば再び出荷が増えるため、需給が逼迫するという見方もあります。
運賃高騰に歯止めがかかったのは事実ですが、根本的な問題解決にはまだ至っておらず、高止まりの状況に大きな変化はないと記事は報じています。
北米西岸港での沖まち
ロサンゼルス・ロングビーチ港の沖では3月半ばには40隻台まで減少しました。
ピーク時には100隻を超えていたため、「大幅に改善した」と表現することはできますが、実際には、スケジュール遅れなどからの欠便などで、アジア側からの便数が減ったことが大きい要因です。
運賃下落を阻む要因
コンテナを搬出入するドレージもドライバー不足の問題などは続いており、状況としては「最悪期を脱した」という程度で、解決には至っていません。
ウクライナ情勢や、コロナ禍の再拡大など、国際サプライチェーンに対するリスクは増しています。
さらに、7月1日に期限を迎える北米西岸労使協約の改定交渉も控えています。
これらをみると、海上運賃が下がる要因が見られません。
ニューノーマルの運賃水準
少なくとも2022年通年では、コンテナ運賃の高止まり状況が劇的に変わることはないでしょう。
荷主も現状の運賃水準をニューノーマルとして受け入れ、短期的な運賃の上下動に一喜一憂せず、マーケットを冷静に見通す必要があるだろう、と記事は締めくくっています。
最近、運賃が軟化し、実際にスペースも取りやすくなってはいますが、一時的なものと見る方が、妥当かと思います。
このラジオ、毎日聴いてくださっている方もいれば、初めて聞くという方もいらっしゃるので、重要な内容のため繰り返しマーケット市況は伝えていきます。
引き続き情報収取に使っていただければうれしいです。
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