どうもこんにちは、飯野です。
本日は、5月17日付の海事新聞の記事から、「北米SC交渉が終了。西岸向け1,500-1,600ドルが相場か」についてお話していきたいと思います。
2023年5月17日イーノさんの物流ラジオ
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2023年北米航路SC交渉終了
2023年度の北米航路サービスコントラクト(SC)交渉が終了しました。
運賃交渉の指標となる北米西岸向けの運賃水準は、成約時期によってばらつきはあるものの、日本発では1500―1600ドルが事実上の下限レートになった模様です。
前年の1万ドル前後に比べて大幅な値下がりとなりましたが、年初の想定よりは持ち直し、採算ラインは維持できたとみられています。
その他航路のSC
また、日本発 – 北米東岸向けで2700―2800ドル、内陸シカゴ向けは4000ドル前後で決まったとみられています。
一方でアジア発では、年間貨物量が10万TEUを超える超大手荷主向けでは、北米西岸向けで1200―1300ドル、東岸向けで2200―2300ドルが中心とのことです。
契約期中の運賃下方修正
しかし、船社側が2022年度に獲得した複数年契約の場合、運賃水準は契約期中でも見直しをして、下方修正されたケースが少なくないとのことです。
長期契約は大手荷主が中心のため、事前に市況に連動した見直し条項が入っている場合が多いです。
それでも、通常であれば変動幅は限られるものの、2022年度はあまりに運賃変動が大きかったため、事前取り決め以上に下方調整されるケースもあるようです。
船社からは不満
船社にとって長期契約は本来、収益安定化の手段であるので、「これだけ下げられてしまうと、何のための長期契約かわからない」と不満の声も聞こえます。
このほか、1年間のSC契約でも期中に何度もアメンド(修正)が入り、期初に1万ドルに近かった運賃が期末には1000ドル前半まで下がったケースも続出しました。
こうしたSCの期中見直しはアジア発が中心ですが、これまで期中調整が少なかった日本発でも多少見られたようです。
期中調整が普通に
ボラティリティー(変動性)の高いコンテナ船ビジネスでは、契約運賃は安定した収益を確保する大きなツールでした。
ところが、今回のコロナ禍による極端な市況変動により、今後は契約運賃であっても期中調整が当たり前のようになる可能性がありそうです。
荷主優位の契約
コロナ中の契約とは打って変わり、荷主優位の契約となりました。
船会社も供給過多になっていくため、とにかく貨物を増やし、スペースを埋めたいのが現状です。
長期契約により、収益を見えやすくする必要があるものの、市況が下がり、契約運賃を下げるとなると、また船会社が潰れるのではないかと懸念しています。
変わらない業界構造
商品にもよりますが、商品代金のうち、輸送費用はわずか数%です。
そこを削り、利益を出すというのは、やっていることが昭和のままで変わっていません。
この業界構造は変わらないのかな、と少し残念な気がしております。
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