物流の2024年問題について。残業は年間960時間へ。

どうもこんにちは、飯野です。

本日は、「物流の2024年問題」についてお話していきたいと思います。

2022年4月15日イーノさんの物流ラジオ

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物流の2024年問題とは

「物流の2024年問題」とは、働き方改革関連法によって、2024年4月1日以降、「自動車運転の業務」に対し、年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する諸問題の総称のことです。

どのような法律かというと、簡単にいうとドライバーさんの残業は年間960時間を上限にするということです。年間960時間はざっくりと計算すると、月に80時間、1ヶ月の労働日数を22日としたら、約3.6時間/日を上限にすることになります。

現在のドライバーの平均時間外労働時間

2020年に行われた「厚生労働省」の調査によると、大型トラックドライバーの”平均” 時間外労働時間は月間 35時間、中小型トラックドライバーは月間 31時間です。

これをみると、年間960時間、月間にすると80時間という制限は、十分クリアしていると思われるかもしれませんが、これはあくまで平均時間です。

通常月の時間外労働時間

厚生労働省が2020年10月から12月にかけて実施した別の調査によると、繁忙期ではない、通常月における1日の時間外労働時間は下記のような結果となっています。

・時間外労働なし:20.8%
・1時間未満:12.7%
・1時間以上~4時間以下:48.1%
・4時間超~7時間以下:14.0%
・7時間超:4.3%

「4時間超~7時間以下」+「7時間超」=18.3%、約20%弱のドライバーさんの働き方は、2024年4月以降の基準の、残業960時間を超過することは確定となります。

ボリュームが多い「1時間以上~4時間以下:48.1%」の中にも、960時間を超過するトラックドライバーが含まれていると考えられます。

しかし、この厚生労働省の調査方法では問題があるともされています。

・比較的企業規模の大きな運送会社が調査対象の割合として多い
・1社あたりの調査対象を、6名のみに限定している

以上によって、実態はもっと違うのではないかという見立てもあります。

実際の現場は

企業規模の小さな企業ほど労働環境は一般的に悪い傾向もあり、1社あたりの調査対象者を絞れば、結果が歪む可能性も高いです。

そうすると、もっと長時間労働をしているドライバーさんの割合は多いのではないでしょうか。

2024年4月以降、ざっくり毎日3.6時間以上の残業を上限とすることが決められています。

定時を9時〜17時とすると、毎日仕事が終わるのが21時くらいとなります。現在でも20%弱のドライバーさんがこの時間以上働いており、実態はもっと多いだろうとされています。

繁忙期であれば更に長い労働時間で働いている可能性も高くなります。個人的には、上限が決まってもまだ長いと感じます。

各運送会社の対応

この2024年問題を解消するために、長距離輸送を、リレー形式にしたり、フェリーやRORO船を使ったりすることが行われています。

高速道路の自動運転はもう少し時間がかかるので、できる限りの対応をとっているようです。

北米と日本の違い

北米や日本ではドライバーさんのなり手が少ないです。

しかし、北米の場合は、長時間労働ではありますが、賃金は高く、年収800万円を超えています。

よって北米は、ドライバーの年収も高いため、物流コストを最適化するためにスタートアップの会社が自動運転の技術開発を進めています。

しかし、日本の場合は、賃金はそれほど高くはありません。

厚生労働省の調べによると、残業代なし、ボーナスなしで換算すると年収320万円ほどとのことです。

同じドライバー不足でも、北米と日本では内容が異なっています。

人件費が上がらない日本

長時間労働を法律で規制しても、人件費は安いままなので、日本は複合輸送で対応しています。

よって、IT化が北米に比べて進まないのが現状です。これはドライバーだけの話ではなく、別の産業でも同じです。

これで先進国と本当にいえるのでしょうか。

安い人件費でなんとかしようという考えは、途上国と全く同じです。

現状を嘆いても仕方ないので、自分たちで出来るところで、変えていきたいなと思います。